ワクワク感を作り自分ごと化させる。アダストリアが考える採用にエンジニアを巻き込む方法

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《プロフィール》
株式会社アダストリア 人事部 マネージャー 図司貴一さん (写真左):
化粧品会社、広告代理店の人事を経て2011年入社。週末は犬の散歩とこどもと遊ぶ事が日課。愛読書は論語。

株式会社アダストリア 人事部 飯田愛波さん (写真右):
2009年入社。リクルーターとして採用業務を担当。趣味は肉料理探索と観劇。

株式会社アダストリア:
株式会社アダストリアは、「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など、グループで20を超えるブランドを国内外で約1,400店舗を展開するカジュアルファッション専門店チェーンです。
“ファッションと人生を楽しみながら、たくさんのワクワクを世界に届けていきたい”という想いを込め、「Play fashion!」をコーポレートスローガンとして掲げています。

株式会社アダストリアは非IT企業ながらも、エンジニア採用に現場エンジニアを積極的に巻き込むことで、エンジニア採用に成功しています。実際にどのようにエンジニア採用を成功させているのか、そしてなぜ現場エンジニアを採用に巻き込むことになり、具体的にどのように巻き込んでいったのか。そのノウハウやストーリーをお話していただきました。

現場エンジニアを巻き込んだ採用体制

ー まずはエンジニア採用の体制について教えてください。

(飯田さん)
人事である私と図司に加え、データサイエンティストやエンジニアが所属するデジタル化推進部の部長と、データ分析を行うデータサイエンス・ラボに所属するマネージャーの2名を巻き込んだ、計4名でエンジニア採用を担当しています。

それぞれの具体的な役割は、私が候補者リストの作成やスカウトメールの送信をします。候補者リスト作成の際は、まず私がざっくりと候補者をリストアップし、その中から自社の要件に合うような人材を現場のデータサイエンティストが毎週約5人選定しています。その選定された候補者に対して、個々に合ったスカウトメールを送信します。

そして、スカウトメールを受信した人の中で希望者のみ選考に進んでいき、その対応を図司が担当しています。

(図司さん)
当社に興味を持っていただいた方にはまずカジュアル面談にお越しいただき、次に1次面接、そして最終面接といったステップに進んでいただきます。カジュアル面談では私か飯田の人事1名と現場のデータサイエンティスト1名が担当し、1次面接は私と、デジタル化推進部長、データサイエンティスト1名、そして最終面接を役員が担当します。

選考ステップは、よりお互いのことを理解できるよう試行錯誤中ではありますが、このように現場のデータサイエンティストを巻き込みがら運営しています。

人事だけで完結させない。現場を巻き込んでこそ要望を理解できる

ー 人事だけでなく、現場のエンジニアも採用に巻き込んでいるんですね。なぜそもそも採用に現場のエンジニアを巻き込もうとしたのでしょうか。

(飯田さん)
人事の思い込みだけで採用するのはリスクがあると思ったからです。私たちはあくまでも人事であり、エンジニアリングの知識や経験があるわけではありません。もちろん採用をするにあたって、ある程度のエンジニアリング知識の勉強はしますが、用語の意味がわかったとしても、それをどう活用するのかわからない場合があります。

人事だけで採用を進めてしまうと、現場が求める要件を完全には理解できず、たとえ採用できたとしても入社後にミスマッチが生じてしまう可能性があるので、私たちは積極的に現場エンジニアを巻き込んでいます。

(図司さん)
アダストリアでは、データサイエンティストやエンジニアのポジションに限らず、全社的に人事だけで採用を完結させるようなことはしていません。デザイナーの候補者はデザイナーが評価し、MDの候補者は同じMDが評価をします。もちろんデータサイエンティストも例外ではなく、ミスマッチを防ぐためにはデータサイエンスといったような専門性のある人を同じ専門性を持った人が評価するべきだと考えています。

理想の仲間と出会えるツール。それがLAPRAS SCOUT

ー では、具体的にどのように現場のエンジニアを巻き込んだのでしょうか。

(図司さん)
いかに採用を自分ごと化してもらえるかかが大事です。そして、そのきっかけを与えてくれたのはLAPRAS SCOUTでした。
従来の採用手法だと、紹介された人をただ評価するだけで、それをエンジニアの方は機械的に感じていました。与えられる情報も職務経歴書だけで、それだけではどんな候補者なのかもあまりイメージできない。一方、LAPRAS SCOUTなら自ら候補者を探して且つ自分でアプローチまでできます。さらにその候補者がどういった論文を執筆しているかなど、どんなアウトプットをしているのかまでわかる。

職務経歴書というのはあくまでも転職のために作られた情報であり、その人物の本当の人となりはわかりません。それに対しLAPRAS SCOUTで見れる情報というのは、本人が関心のある分野のアウトプットであり、作られていない情報です。そういった素の情報は、その人の興味や考え、価値観を表しており、それは職務経歴書には表れない真の大切な情報です。

LAPRAS SCOUTなら、将来一緒に働きたいと思える理想の仲間を自分たちで探すことができますし、さらにアウトプットを通してその仲間がどんな人物なのかもイメージできる。エンジニア自身もそこに面白みを感じていて、仲間と出会うワクワク感を楽しんでいます。

人事として、そのワクワク感を作りあげたことで、エンジニアも自分ごととして採用に積極的に取り組んでくれるようになりました。

日々の業務をルーチン化させて負担を減らす

ー 現場のエンジニアを巻き込むにあたって、何か苦労したことはありますか。

(図司さん)
会社として、採用に協力的なカルチャーがあったものの、やはり現場エンジニアのスケジュールを確保するのには苦労しましたね。

ー 特に役職の高い人だと時間が限られていますもんね。それをどのように解決したのでしょうか。

(飯田さん)
エンジニア採用に関する日々の業務をルーチン化することで解決しました。例えば、毎週月曜日と火曜日に候補者リストを作成する。水曜日に候補者リストの中から、自社の要件に合う人材を選定する。そして、木曜日と金曜日にスカウトメールの作成、送信をするといったようにプロセスをルーチン化させました。ルーチン化させることで、現場エンジニアの方も業務の量やスケジュールを把握できて、余分な時間を割かずに済みます。

お互いに敬意を持ち、会社のための採用をする

ー 現場のエンジニアを上手く巻き込めていますが、巻き込む際に何か大切にしていることはありますか。

(飯田さん)
マインドとして、データサイエンティストやエンジニアを理解したいという姿勢を持つことが大事なのではないでしょうか。私たちは人事なのでエンジニアリングの知識は乏しいかもしれませんが、何か質問する際は真っ新な状態で聞きにいくのではなく、事前にある程度質問内容について勉強していきます。その方が本当に理解したいんだという気持ちも伝わりますし、相手への敬意もより伝わると思います。

お互い敬意を持って接し、会社のために一緒に良い人材を採用していこうという想いを持ちながら日々採用に取り組んでいます。

ー 理解するために実際に取り組んでいることはありますか。

(飯田さん)
エンジニアの方の着眼点を意識して見ていますね。候補者リストを作成する際は、彼らに候補者を選定してもらう時にメモを残してもらい、そのメモを参考にしています。
例えば、「この人はSNSのデータ抽出ができるのでインフルエンサーマーケティングの業務で活躍できそう。」などといったメモがあるので、どういったエンジニアリングスキルがアダストリア内のどういった仕事に役立つのかを日々学ばせてもらっています。

デジタルとアナログを活用して、データサイエンティストの繋がりを作りたい

ー 最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

(図司さん)
しっかりと良い人材を採用することはもちろん、今後は外に発信できる体制を作っていきたいと、データサイエンティストと話しています。例えば、データサイエンスに関するイベントを自社で開催して、他社のデータサイエンティストをイベントに招待して事例共有などを行います。そうして、データサイエンティストたちが繋がれる場を共に作っていきたいです。

今まではLAPRAS SCOUTなどデジタルな手法で人材にアプローチすることが多かったですが、今後はそれだけではなく、アナログな手法でもアプローチして繋がりを増やしていきたいと考えています。
デジタルとアナログの両方の手法で繋がりを作る。そうしてより多くの人にアダストリアに興味を持ってもらいたいです。

(飯田さん)
従来の採用手法より直接コミュニケーションをとる場が多い分、入社後の満足度も高いですし、何よりもアダストリアに入社して良かったと思ってもらえると考えています。そのためにも繋がりを大切にし、採用だけでなくネットワーク作りにも挑戦していきたいです。

ー ありがとうございました!


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