現場から学ぶ!「エンジニア目線」の採用知見キャッチアップ術

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ビジネス職とは異なる特有の知見が求められるエンジニア採用。「知識不足で、エンジニアの心を動かすアプローチができない」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。

そんな課題を解決する一番の近道は、身近な「現場エンジニアからのキャッチアップ」にあります。 この記事では、自社のエンジニアから知見を学び取り、採用活動を「エンジニア目線」へとアップデートするための具体的な方法と、選ばれる企業になるためのポイントを解説します。

社内エンジニアから知見を学び、採用に活かす

「人事になって間もなくエンジニア採用を任された」「ビジネス職の採用経験はあるが、エンジニア採用は初めて」といった状況であれば、知識不足に不安を感じるのは当然のことです。

しかし、最初から完璧な知識を持っている必要はありません。現場エンジニアへのキャッチアップにおいて最も大切なのは、「理解を深めようとする姿勢」を見せることです。積極的に歩み寄ろうとする態度を示すことで、エンジニアの信頼を獲得し、協力を得やすくなります。

ミーティングでのキャッチアップ:専門用語の「文脈」を知る

現場エンジニアを交えた社内ミーティングは、キャッチアップのチャンスです。参加できる機会があれば積極的に同席し、以下のポイントを意識してみましょう。

  • わからない用語をメモし、調べる

会話に出てきた不明な単語はメモしておき、後で必ず調べましょう。言葉の意味自体は検索すればわかりますが、重要なのは「自社ではどんな文脈で使われているか」です。一般的な意味だけでなく、「自社の開発文化の中でどう位置づけられているか」まで意識を向けることで、より解像度が上がります。

  • 難易度の高い会話は録音して後から復習する

マネジメント層やシニアエンジニアが参加する専門性の高いミーティングでは、会話のスピードや内容についていけないこともあります。可能であれば録音させてもらい、後で聞き直して内容を整理してみましょう。それでも理解が曖昧な部分は、「この理解で合っていますか?」とメンバーに直接確認するのが近道です。

1on1やランチミーティングの活用:社内の仲間として興味を持つ

ミーティングのような公式な場だけでなく、ランチや1on1といったカジュアルな場を活用し、関係性の土台を作ることも重要です。

その際は、採用要件などに直接関係する業務的な質問だけでなく、エンジニアの日常を知るつもりで会話を広げてみましょう。 例えば、「SREチームの夜間対応って、実際どのくらい大変なんですか?」といった素朴な疑問でも構いません。興味の矛先を「職種」という記号ではなく「その人自身」に向けることで、職種への理解と同時に、個人的な信頼関係も深まっていきます。

採用媒体のCSを壁打ち相手にする

もし、社内のエンジニアが多忙で聞きづらい場合や、初歩的な質問で躊躇してしまう場合は、採用媒体のカスタマーサクセス(CS)を壁打ち相手にするのも有効です。

定期ミーティングなどの場で「このポジションの理解はこれで合っていますか?」「この職種の母集団形成に苦戦していて……」などと率直に相談してみましょう。多くの事例を知るCSと話すことで、客観的な視点から知識を整理でき、社内エンジニアへの相談の質を高める準備にもなります。

「エンジニア目線」を採用に反映し、ミスマッチを減らす

現場エンジニアとのコミュニケーションが円滑になると、採用担当者も「エンジニアが何を大事にしているのか」を肌感覚でつかめるようになります。 その結果、「現場が本当に求めているエンジニア像」がクリアになり、求人票やスカウト文面にも「エンジニアに刺さる表現」を落とし込めるようになっていきます。

現場の協力で解像度が上がる

採用担当者だけでは判断が難しい「技術スキルの深さ」や「経験の質」も、現場エンジニアからのキャッチアップがあれば正確に見極めやすくなります。

表面的な使用言語や経験年数などのスペック情報だけで判断するのではなく、その候補者が「具体的に何ができるか」「どんな課題をどう解決してきたか」といった点まで解像度を上げて見極められるようになります。これにより、書類選考や面談の段階で「会ってみたら違った」というミスマッチを大幅に減らすことができます。

技術だけでなく、カルチャーマッチの度合いも見えてくる

エンジニア採用では、技術力と同じくらいカルチャーマッチも重要です。 現場エンジニアの視点が入ることで、候補者の技術的な志向性が「自社の開発文化に合うか」という判断もしやすくなります。

例えば、「新しい技術への学習意欲」や「チームワークの取り方」など、自社が大切にしている価値観を言語化し、選考基準に組み込んでいくことも可能です。 スキルとカルチャー、両面においてエンジニア目線の基準を持つことが、より精緻な志向性と価値観の一致につながります。

現場の声を元に「候補者に選ばれる提案」を

採用担当者と現場エンジニアが「エンジニア目線」を共有できるようになると、採用活動のスタンスそのものが変わっていきます。 単に企業が条件を提示して「候補者を選ぶ」のではなく、候補者に対して「自社を選んでもらうための提案」を行う。そうした視点で、求人票やスカウトを再設計できるようになるからです。

「求めるスキル」を「そのポジションの魅力」へ

求人票を作成する際、単に「経験年数◯年以上」といった条件を並べるだけでは、本来マッチするはずの優秀なエンジニアを遠ざけてしまうことがあります。

現場エンジニアの知見を借りて、スキル要件を「具体的に何ができるか」「どんな課題に挑戦できるか」という表現に変換してみましょう。これにより、候補者は自身のスキルがどう活かせるかをイメージしやすくなり、応募のハードルが下がります。また、必須スキル(Must)を現場が納得する必要最小限のラインに厳選することも、ミスマッチ防止に効果的です。

参考記事はこちら:

自社の価値観を言語化し、キャリアのロールモデルを示す

自社のカルチャーを伝える際も、「風通しの良い職場です」といった抽象的な言葉だけでは不十分です。 実際に活躍している現場エンジニアをロールモデルとして紹介し、その人がどんなスタイルで働き、どこにやりがいを感じているかを発信しましょう。そうすることで、候補者は自分自身を重ね合わせて入社後の姿をイメージしやすくなります。

また、社内制度や開発組織の仕組みについても、単に箇条書きにするだけでなく、「なぜその制度を作ったのか」という背景(Why)まで言語化して伝えるようにしましょう。背景にある価値観への共感が、候補者が転職先を選ぶ決定打になることも少なくありません。

参考記事はこちら:

信頼関係が「選ばれる採用」の土台になる

現場エンジニアから学び「エンジニア目線」を養うことは、採用担当者の自信となり、アトラクト向上にも大きく寄与します。候補者へのアプローチを「条件提示」から「選ばれるための提案」へと変えることで、信頼関係が生まれ、こちらのメッセージがより深く相手に響くようになるからです。 

現場との連携で築く信頼こそが、優秀なエンジニアに選ばれる企業の土台となります。ぜひ今日から、現場へのキャッチアップにチャレンジしてみてください。