この記事は、Devskiller社のブログ記事“5 ways to assess cultura fit in your tech candidates”を著者であるHarver社の了解を得て日本語に抄訳し掲載したものです。
LAPRAS published the Japanese translation of this original article on Devskiller in English under the permission from the author.
一般的にエンジニアを採用する時、候補者のプログラミングなどのスキルが募集条件を満たしているか評価します。しかし、それだけで候補者を評価すべきではありません。Forbesによると、89%の採用における失敗はカルチャーのミスマッチによるものだと言われています。つまり、候補者が自社のコアバリューと働き方に合っているかどうかも評価しなければならないのです。仕事との相性も重要ですが、カルチャーフィットも同じくらい重要であり、どちらかだけを優先させるべきではありません。
また、アメリカ合衆国労働省労働統計局は、2020年に100万人を越えるエンジニアが不足すると予測していますが、だからといって、必要なスキルだけを満たした人材を急いで採用した方が良いというわけではありません。特にエンジニアに関しては、採用後のミスマッチによるコストは想像以上に掛かります。
課題やコーディングテスト、テクニカルインタビューで候補者の技術スキルを検証することはできますが、一方で具体性がなく、より主観的なカルチャーフィットというのは、どのように確かめれば良いのでしょうか?
目次
カルチャーフィットとは何か。そしてなぜ重要なのか
カルチャーフィットは簡潔に定義することが難しい概念ですが、もしもミスマッチしていると、他の社員はすぐに気がつきます。
最も基本的な定義は、従業員と雇用主の信念、価値観、行動が並行している、もしくは密接に結びついている場合を指します。
会社の成功を望む人材を採用することは、会社の成功に不可欠です。熱心な社員は大きな成果を出し、より長く働き、仕事に対してより満足感を得ます。給料のみがモチベーションの社員は、会社に対してあまり成果をもたらしません。カルチャーフィットしない社員はすぐに廃れて、チームや会社全体に悪影響を及ぼします。
カルチャーフィットについて、注意すべき重要な点が一つあります。それは、カルチャーフィットした人材を採用することは、同じタイプの人材を繰り返し採用するということではありません。実際にカルチャーフィットした人材を採用することは、そのメンバーが様々な方法で会社に貢献することに繋がります。多様性は社員と会社の成長に不可欠なものです。
82%の採用担当がカルチャーフィットを評価するのが重要だと考える一方、実際には32%しかそれができていません。しかし、採用におけるほとんどの失敗の原因は、技術レベルの欠如ではなく、面接での印象とカルチャーのミスマッチによるものです。このため、次のようなためにカルチャーフィットが重要です。
・採用の質の向上
カルチャーマッチした人材を採用することは、すぐに企業価値を向上させ、長期的な成功を可能にします。
・社員の離職を防止
自分のやっている仕事に満足し、それが会社の成長に繋がっていると信じている社員は離職しません。チームと上手くやっていない社員は離職するか、会社に悪影響をもたらします。
・社員の満足度とエンゲージメントの向上
自身の価値観が会社の価値観と一致している社員はより仕事に専念し、より大きな成果をもたらします。
・生産性の向上
会社のコアバリューを実践する生産的なチームはより良い結果を出します。
これらはとても素晴らしいことですが、実際にどのようにカルチャーフィットをしているか確かめられるのでしょうか。
エンジニアがカルチャーフィットしているか確かめる5つの方法
1.評価する
選考プロセスの一部にカルチャーフィットの評価を取り入れ、なぜ候補者にこの質問に答えてもらいたいのかその理由を明確にします。自社で働くことが候補者のためになると明確にするためです。
ミシガン大学のロバート・クイン、キム・キャメロンらにより開発された組織文化の診断フレームワークである「Competing Values Framework」などを使って、自社のカルチャーがどのようなものか必ず知る必要があります。そうすることで候補者が望むカルチャーと実際の自社のカルチャーを比較することができます。
企業は「Competing Values Framework」を使って自社のカルチャーを分析し、候補者の望むカルチャーと自社のカルチャーを比較して、カルチャーフィットを評価します。
自社と候補者がカルチャーフィットしないことが明らかであれば、これ以上候補者を選考する必要はありません。候補者の性格を変えることはできませんし、彼らが自社のカルチャーにフィットするまで待つ余裕はないはずです。彼らが今後カルチャーフィットする保証は全くないのです。その代わりに、簡単にスムーズにカルチャーフィットした候補者だけを次の選考に通しましょう。
2.正しい質問をする
エンジニア採用の責任者として、仕事の適性を評価するための一般的な質問は知っているでしょう。しかし、カルチャーフィットを確かめるための適切な質問をすることで、彼らが以前の会社でどのように働いていたかを知ることができ、候補者自身や候補者と自社の相性をより知ることができます。
候補者をより深く理解するために、候補者の職歴、現在の会社の退職理由、その会社でのキャリアがどのようなものだったか、その会社で働くことは楽しかったのか、楽しくなかったのか、次に働きたい会社はどこか、将来のキャリアをどのように考えているのかをそれぞれの候補者に質問しましょう。技術スキルを評価するのに加え、カルチャーフィットを評価するための質問をすることで、より候補者の全体像を理解できます。
カルチャーフィットに関する質問:
・潜在的なエンジニアの候補者が既存のチームと上手くやっていけるか
・顧客との対話が上手くいくか
・会社の働き方にどれだけ早く対応できるか
・目の前にチャンスが現れたら、チャレンジするかしないか
・価値観を共有し、会社の成長を促進するか
カルチャーフィットの質問例:
・あなたが活躍する職場環境を教えてください
・どのようなマネジメントスタイルが最もあなたに適していますか?
・同僚と友達になることについてどう思いますか?
・あなたの好きな働き方はどのようなものですか?
・理想的な一日の就業を教えてください
・チームで働く時のあなたの役割は何ですか?
3.質問に答える準備をする
面接は双方向のプロセスなので、会社のカルチャー、ミッション、ビジョン、バリューについての候補者からの質問に答えられるようにしましょう。会社のカルチャーにフィットしない人材を採用したくないように、候補者も自身にフィットしないカルチャーの会社で働きたくないものです。なので、自社のカルチャーは何を表しているのか理解しておきましょう。
そもそも自社のカルチャーがわかっていなければ、候補者がカルチャーフィットしているかもわかりません。
もしもまだカルチャーないのであれば、自社のミッションステートメントとコアバリューを書き留め、常備しましょう。例えば、Slackは技術スキルよりもバリューへの共感、連帯感、クラフトマンシップ、遊び心を重視します。
また彼らは、面接前に会社について調べ質問を用意している候補者を評価します。そして、他の企業もそうすべきです。というのも表面的にではなく、本当に自社に関心のあるエンジニアを採用すべきだからです。毎月ただ給料をもらうのではなく、心から自社に関心があり、成長に貢献している人と一緒に働くことで、採用担当者自身も成長できるでしょう。
なぜそのポジションがオープンしたのか、前任者はどこになぜ転職したのか、成功に対して会社はどのように報いるのかを答えられるようにしましょう。また自身のSNSのプロフィールに載っている事柄に関しても何でも話しましょう。
4.候補者をチームに会わせる
候補者をチームメイトに会わせることを検討してください。候補者をチームメンバーに会わせることでお互いについて知ることができ、一緒に働いた際のイメージができます。
チームメイトに会うことは、カルチャーフィットを確かめるための最も効率的な方法の一つです。
さらに、候補者は採用担当に質問しづらいことも将来のチームメイトであれば質問しやすいです。
5.より自社の情報を提供する
候補者がオンライン動画を通して、社員や実際の仕事内容について知ることができるようにしましょう。
・これらの動画は、キャリアサイトやソーシャルメディアに投稿するか、候補者の選考プロセスの一環として掲載する
・社内の非公式イベントに招待し、社員と交流できるようにする
・事前に候補者と合意した条件で短時間の試用期間を設ける
面接だけでなく、様々な場面で候補者を評価します。しかし、候補者自身も経験したことが気に入らなければ、採用プロセスから自ら辞退してしまうでしょう。
おわりに
エンジニア採用は難しく、優秀な人材は不足しています。そのため、候補者の技術的な適性だけを基準にして、採用するようなミスは許されません。むしろ、仕事とカルチャーの両方の適正を評価する方が、自社にマッチしたエンジニアを採用することができます。
ダイレクトリクルーティングのノウハウを網羅したebookを公開中
ダイレクトリクルーティングをこれから始める方向けに、ダイレクトリクルーティングのノウハウを詰め込んだebookを公開しています。
ITエンジニア採用に特化して、他施策と比べたメリット/デメリットや具体的なノウハウ、ダイレクトリクルーティングが注目される背景をデータを交えて解説しています。
<コンテンツ一例>
・ダイレクトリクルーティングが注目される社会的背景
・他の施策と比べた「ダイレクトリクルーティングを導入するべき理由」
・理想の運用体制とは
・具体的なノウハウを解説
・ダイレクトリクルーティングのアンチパターン
etc.