人とAIが協力して採用業務の効率化と採用スピードアップ!新しい採用のカタチ「AIサポートプラン」とは?

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採用活動におけるAIの活用が注目される中、LAPRASでは「AIサポートプラン」を提供しました。

このプランは、採用活動の全てを「AIに全自動にお任せ」いうコンセプトではなく、採用プロセスを人とAIがそれぞれの得意分野を活かして担当することで、採用活動の質の向上と効率化が実現の両方を追求できるプランになっています。

今回は、このAIサポートプランの開発者である廣瀬さんと運用担当者の辰巳さんに話を伺い、AIサポートプランの開発意図や運用者ならではの良い点をまとめてみました!

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<インタビュイー紹介>
LAPRAS株式会社 LAPRAS SCOUT Pro事業部 辰巳夢治/Yuji Tatsumi

東京大学工学部を卒業後、2014年からITコンサルティング企業でキャリアをスタート。総合商社向けシステム導入案件でエンドユーザー側のPMOを務め、自社採用業務も含めて5年間の経験を積む。その後、IT人材の採用と転職支援に強い関心を持ち、バイリンガル人材向けの転職支援に従事。求職者と企業の両方とコミュニケーションを取りながら、ITエンジニアの転職支援を行う。

2023年1月にLAPRASに入社し、キャリアエージェント部門の責任者を経て、現在はLAPRAS SCOUT Pro事業部にて企業のエンジニア採用を支援している。

LAPRAS株式会社 プロダクトマネージャー 廣瀬鮎美/Ayumi Hirose

顧客満足度・従業員満足度向上支援のコンサルティング会社を4年、総合コンサルティング会社を3年経験後、カスタマーサクセスマネージャーとして2019年10月にLAPRASに入社。2023年7月よりプロダクトマネージャーに転身。


「AIサポートプラン」とは?

「AIサポートプラン」は、LAPRASリクルーティングに新しく追加されたプランです。

LAPRASには、採用活動を行う企業が、求める人物像に合致していると思われる候補者にワンボタンで「興味通知」を送付する機能があります。

ただ、ときに複雑な候補者のプロフィールを正しく読み取り、タイムリーに興味通知を送付し続けるオペレーションに難しさを感じていらっしゃる声もいただいております。

こういった課題に対し、LAPRASの担当者にて興味通知の送付を代行させていただくのが、このAIサポートプランの概要です。

このプランの主な機能は以下の通りです。

  • 求人ごとの条件設定: 企業は、求人ごとに「経験職種」「経験言語」「マネジメント/リード経験の有無」といった、興味通知を送付したい候補者の条件を細かく設定できます。
  • AIによる候補者抽出サポート: 設定された条件に基づき、AIが候補者の経歴から必要なスキルを抽出し、候補者ピックアップをサポートします。
  • 「人」の手による通知代行:LAPRASの専門チームが毎朝、サービス上で活動的になった(ホットな)ユーザーをチェックします。AIがピックアップした候補者の中から、設定された条件に合致する人を選び、企業の代わりに興味通知を送付します。

これらの機能によって、候補者ピックアップ~興味通知送付の部分を効率化できます。

また、一定以上のマッチ度を実現した「興味通知送付者」のプールができることにより、企業によるスカウト候補者ピックアップの時間を短縮し、結果的に効率的なスカウトを届けることができるようになります。

候補者は、マッチ度の高い求人のみ連絡を受け取れるため、興味関心をもってもらいやすく、結果として返信率UPも期待できます。

開発で気をつけたこと

―AIサポートプランを開発で気を付けたことはなんでしょうか?

(廣瀬)AIサポートは名前の通りなのですが、AIだけで回すのではなくて、人間、AI、そして既存のLAPRASのシステムを組み合わせてサポートを実現することを目的にしました。

後ほど詳しく説明しますが、候補者ピックアップ~興味通知送付業務をするにあたって、最終的には人の総合的な判断は欠かせないと思ったためです。

なので、開発で重要視したのは、人間とAI、そして既存のシステムの得意領域を見極めてどこに何のプロセスを求めたらパフォーマンスが最大化するか?というところでした。

そこで開発チームだけでなく、運用担当者やセールスチームなど、実際に採用業務に関わるメンバーにヒアリングを行いました。人間がどういう流れで、どういう判断基準で候補者を選定しているのか、などその業務の裏側にある思考プロセスを深く理解するためです。

そうすることで、AIに求める役割が見えてきたのですが、それは候補者ピックアップの「判断を共通化」することでした。

具体的には、エンジニア採用経験の豊富な弊社の運用担当が、市場ニーズの高いハイスキルエンジニアをどのような経歴情報から見つけ出すか、その判定基準をAIに学習させました。これにより、一定の判断が誰でも共通化されるようになり、「暗黙知の形式知化」を図ることができました。

―なるほど、AIが得意なことを定義してその範囲内で任せ、そうでない領域は人やシステムに預けて全体プロセスを最適化したのですね。

運用担当者が語る「AIサポートプラン」の特徴

―実際に運用している辰巳さんはAIサポートプランをどう見ていますか?

(辰巳)AIでの候補者ピックアップの精度と効果には、高い満足度を感じています。人が候補者のプロフィールを読み解く際には、どうしてもバイアスがかかります。かつ、担当者によって候補者の評価も変わってくるといった事象が日常茶飯事です。

こうした中で、AIによる候補者ピックアップは、属人化をある程度防ぎ、かつ幅広くアプローチできるようにピックアップしてくれる点が良いなと思っています。

私はエージェントの経験もあるのでその経験則でいうと、アプローチも「求める要件にドンピシャだからアプローチする」というパターンと、「ちょっとマッチしているかどうかわからない、けれども一度こちらの興味を伝えてみたいな」という温度感でアプローチするパターンとに分かれます。

前者のアプローチをするためには、経歴の細かい情報を読み取るというアナログな部分が必要です。これは引き続き人間の得意領域であると思います。

ただ、後者に関しては「まずは興味通知を送ろう」という目的になると思うので、それをAIがある種淡々と広くピックアップしてくれる点はありがたいです。

職人技でプロフィールの細かな機微を読み取るのではなく、一定の条件に従い広くお話ししたい人を探せる」というのがポイントかなと思っています

また、AIサポートプランのもう一つの強みとしては、社内データを用いて転職意欲が高い「ホットな」ユーザーを見極めてアプローチができるところです。

LAPRASには、多くの転職媒体と同様に、ユーザーが自身の転職意欲(高い、中ぐらい・・・など)を入力してくれるのですが、意欲が「高」であってもまずは情報収集がしたいという温度感のユーザーさん、意欲が「中」であっても積極的に企業の話を聞いて回っていらっしゃるユーザーさんがいます。

そうした中で、LAPRAS上の行動、求人閲覧や興味通知/メッセージへの反応などを踏まえて、転職に対して前向きかを確認し、タイムリーにアプローチしています。

こうした内部の行動データはLAPRASの運用担当者だからこそ見ることができます。データに基づき、ホットなユーザーへアプローチできる点はRPO(採用代行)さんや自社でアプローチするよりも強いところなのではと思います。

AIサポートプランを運用しているときに注意しているポイント

―逆に気を付けている点はどんな点ですか?

(辰巳)AIが「なぜこの方にアプローチしたいのか」を答えられない、アプローチ理由がブラックボックスな状態であってはならないと思っています。

仮にAIにお任せしたとして、運用側が根拠をもってそれをこたえられるようにする、は注意すべき点だと思っています。

当たり前ですけど、運用担当者が「なぜこの人が選ばれたんだろう?」と疑問に思うようでは、その後のお客様に説明する際にコミュニケーションがうまくいきません。

これに対しては、AIが候補者をピックアップする際に、興味通知を送る理由が運用担当者に示される設計になっています。例えば、AIが候補者のスキルや経験(例:リーダーやマネジメント経験の有無)を判定し、その理由も明確に分かるようになっています。

これにより、人間はAIが提示する根拠に基づいて判断を下し、「人間が最終的な責任を負う」という点を抑えるようにしています。AIはあくまで強力なツールであり、意思決定するのは人間であるというスタンスを大切にしています。

AIと人の役割分担

―二人ともここまでありがとうございます。総じて「AIサポートプラン」では人とAIはどういう風に役割分担していますか?

(廣瀬)今回のAIサポートプランでのAIの役割は、エンジニア採用経験が豊富な専門家が、ニーズの高いハイスキルエンジニアの探し方をAIに学習させて、誰でも一定の判断ができるようにすることです。これは先ほど述べた、LAPRAS社内で採用実務をやっている運用者の職人技に依存した判断を共通化すること、つまり「暗黙知の形式知化」ですね。

(辰巳)AIにどこまでやらせるか、はすごく難しい問題です。全自動にしようと思えば、興味通知やスカウトをどこまでも大量に送ることはできます。

しかし、最終的な精査は必要で、人間らしい文章を送ることや、型にハマらない文章を考え出すという点では、人間の方が優れています。

AIが人間のアプローチをどうサポートするかという「主従」の関係を意識しないと、「文章が、他でも見るような『それらしい』文章になってしまい、いいスカウトが送れない」という事態になりかねません。

(廣瀬)辰巳さんの言う部分を大切にするために、AIサポートプランでは今回、その人にアプローチすべきか、相互に納得感のあるアプローチができるかという総合的な判断は、人の頭に委ねました。

AIは、特定領域の言語化された情報を高速で整理・スクリーニングして判断するのは得意だな、と思っています。一方でいろんな変数を総合的に判断するのは、現時点ではやっぱり「人」が得意なんだろうな、と思っています。

それぞれの得意な部分を自分の中で明確にして、サポートをする領域を定義したことでAIと人がパフォーマンスを最大化できる良い連携が生まれてほしいなと考えています。

これまでの運用から進化したことと成果

―なるほど、ありがとうございます!実際にAIと人の総合的な力で運用を進めていくにあたってどんなポジティブな変化がありましたか?

(辰巳)AIサポートを取り入れた運用で、運用チームの仕事の進め方は結構変わったと思います。以前は、担当者が求人の自然言語(各社の採用要件)を読み解いて、各々が頭の中で考えて、興味通知やスカウトの送付判断をアナログに行っていました。

これは多くの企業の求人をお預かりする当チームとしては、非常に時間のかかる業務でした。記憶力も求められるし、自分の中でも明快で再現性のある判断基準を常に持てるかと言えば、100%Yesとは言い難いでしょう。

しかし、AIサポートプラン導入後は、業務の効率や、再現性が大きく上がりました

例えば、求人の求める要件が「テックリード」であり、候補者のプロフィールに「テックリード」といった単語が記されていれば、マッチングは簡単です。

でも、そうは書いておらず、職歴の中の1文章で「⚪︎⚪︎領域のリードをしていた」「中心人物として⚪︎⚪︎を推進していた」などと書かれている場合があります。

数百文字の文章から該当の表現を探すのは大変な作業ですが、AIはすぐに見つけてくれます。

この結果、「アプローチのスピードが上がった」のは明らかです。AIサポートプランを実装※してくれている企業に関しては、興味通知の送付数は約1.7倍に増加しました。

このスピードアップはクオリティを維持しながら実現されており、興味通知の返信率は大きく変わらない状況ではあるものの、返信数は格段に伸びました。単なる量的な拡大だけでなく、質的な安定化も同時に達成できたことは、大きな成果だと思っています。

※「LAPRAS リクルーティング BPaaSプレミアムプラン」を導入のお客様には、織り込み済みの機能になっています。

今後の展望

―最後にAIサポートプランの今後の展望を教えてください!

(廣瀬)今後は、引き続き品質面の改善をしていきたいです。特に、AIの判断精度をさらに高めていくことが重要だと考えています。現在は「興味通知を送れる基準の判断(経歴の中から、企業様で指定したスキルを判定)」が可能ですが、AI自体の進化のスピードも非常に早いため、それをより進化させて「より親和性のある方なのかの判断」ができればなと思っています。

例えば、「必須スキルと歓迎スキルの両方を加味した判断」や、候補者の「できること」だけでなく「やりたいこと」も含めた判断などです。

もっと多角的な視点でのマッチングを目指せるように頑張りたいなと思います。

―お二人ともどうもありがとうございました!