scoutyは2018年2月27日にエンジニア採用のノウハウ共有を目的としたイベント「TECH PLAY HR Meetup #2」( https://techplay.jp/event/659494?pw=t6BKIpHt )に共催スポンサーとして参加しました。イベントでは「エンジニア採用成功術!エンジニア採用における最適なコミュニケーションのあり方」というサブテーマに沿って、パネルディスカッション形式でエンジニア採用に携わる2名の採用担当者の方にお話を伺いました。
本記事ではイベントの中で紹介された「現場エンジニアを巻き込んだエンジニア採用の手法」について、編集を行いご紹介しています。
※本イベントは、社名変更前のイベントにつき、旧社名scouty名義になっております
《プロフィール》
大月 英照さん(写真右):
Syn.ホールディングス株式会社
人財開発本部 採用・ビジネスパートナー部 部長
工学修士(MOT)。学生時代にエンジニアとしてベンチャーを起業。その後エンジニアとして大手SIerにてシステム開発、PMを経験。 さらに大手人材紹介会社にてIT・Web業界向けの法人営業、テクニカルアドバイザーとして従事。 さらにHRとしてはメガベンチャーでエンジニアに特化した人事として採用や教育、広報を担当。途中ベンチャーでの役員経験を経て、現在はKDDIグループのSyn.ホールディングス株式会社にて、新卒採用、中途採用、新卒教育、技術広報、評価、組織開発、働き方改革、労務管理、ブランディング各種イベントの企画、実施等を行っている。
栗林 由季さん(写真左):
freee株式会社
リクルーティングマネージャー
情報通信関連の商社で営業としてキャリアをスタートし、2014年2月にfreeeに入社。社員数20名強の時代からリクルーターとしてfreeeの魅力について情報発信を行う。freeeテニス部部長。
目次
エンジニアの協力を得るためには「情報の均一化」が不可欠
– それでは、エンジニア採用における社内エンジニアの巻き込み方というテーマでパネルディスカッションに移っていきましょう。ズバリ先に結論を聞いていきたいと思うんですけれど、社内エンジニアを巻き込む上で重要なところって具体的にどんなところだと思いますか?
(大月さん)
最初にちょっと自己紹介させていただくと、私はもともと大手のSIベンダーでエンジニアをしていて、次にリクルートエージェント(現リクルートキャリア)で人材紹介の営業を行い、その後DeNAという会社で技術系の採用やイベント、教育などエンジニアだけに特化したHRをやっていました。なので、HRの経験は実はDeNAと現職が中心なのですが、DeNAのエンジニアさんはとても素晴らしくて、巻き込むまでもなく自分達からやってくれることがすごく多かったので、実はあんまりそこ(エンジニアとのコミュニケーション)に関して苦労した経験とかどうやったらいいかとみたいなことはあんまりありませんでした。あと今の会社もとても協力的なので、そもそもの環境作りは比較的運がよかったところはあると思います。
それでも現職では苦労もあって、当初は面接官が自部門の採用じゃなかったりとか、なんで採用するのかわからないところで急に面接にアサインされていたりだとか、面接の研修をされていないとか、面接で何を聞いたらいいのかわからないとか、どこでジャッジしたらいいのかわからない、しかもそれを誰にも聞けないっていう状態が多かったんです。そうなってくると重要なところとしてはやはり情報量の均一化です。HRで持っている情報をどこまで開示していいかってわからないとこがあると思うんですけれども、しっかり必要な情報をタイムリー開示すると言うことが重要かなと思います。
– 情報っていうとHRではどんな具体的な情報がありますか?
(大月さん)
そうですね、HRの方だと当たり前に持っている該当部門の採用計画だとか、さらに関係のない部門の採用人数などもエンジニアの方にお伝えすると「それであそこ増やしたいんだね」というように納得感が出たりするんですね。それがない中で「ここの採用だけやります。◯◯人です」と伝えて協力させてしまうと辛いのかなと感じています。
前提条件というか、なんでやるかというところに疑問が絶対あるはずなので、なんで採用するのか、なんで自部門なのか、なんで自分が面接官なのかなどをしっかり伝えてあげることが大事です。あとはおまけで、HRでしか持っていないような情報を一つ伝えてあげると喜ばれますね。例えばバッティング情報とか、HRで当たり前の情報でも面接してもらうエンジニアの方には絶対新鮮な情報が多いです。
– エンジニアでも採用の情報をキャッチアップしていたり、どんどん採用がうまくなっていったりすることもありますよね
(大月さん)
そうですね、採用に全然興味ない人は意外といないと思っています。本当に嫌な人は一部いると思うんですけど、その時はさすがにアサインを変えればいいだけです。社内のエンジニア全員が採用するの嫌だっていうこと多分ないと思うんですよ。なのでやっぱり情報開示は大きな問題なので、情報の均一化を行ったことでエンジニアの方とも採用の話がかなりしやすくなりましたね。
– ありがとうございます。栗林さんも教えていただけますか
(栗林さん)
そうですね、私は社員20名くらいの時からfreeeにいるんです。今でこそ100億近い資金調達をしていたりFintech企業なんて言われてfreeeという会社を知っている方も多くなってきたかなと思ってるんですが、20名くらいの頃は雑居ビルに入っていて「freeeってなに?」っていう時代でした。
当時は本当に人が採れない状態があって、かなり苦しい採用だったと思います。エージェントに頼んでも紹介が上がってこないとか、いろんな採用媒体に募集を掲載しても全然応募がこないという状態が続いていました。現場のメンバーも採用の難しさを見て感じてきたと思っています。
待ってもだめなら探しに行くしかないということでダイレクトリクルーティングをはじめました。エンジニア、またエンジニアのみならずすべてのポジションでの採用もこちらから声をかけ入社に至るケースが多くあります。新しいチャレンジをしている採用チームを見てそして採用の難しさも知り現場のエンジニアも「自分たちも一緒に仲間探しをやろう」っていうように、メンバーの方からかなり自発的に動いてきてくれました。
その文化はどんどん人が増えても変わらず、昔からいるメンバーみんなが採用に協力的だという背中を見ることによって、freeeには今も優秀なメンバーは自分たちで採用するという文化があるのかなと思います。
ただ、必ず新しい情報のアップデートが必要です。「みんなで協力してやろうよとか頑張ろうよ」と言う気合と根性だけだとお互いの理解も深まりません。数字ドリブンに「このぐらい面接数があるとこのぐらい人が採用できる」「リファーラルの採用決定率」など現場メンバーに伝えた上で採用の協力を得るようにしています。「大体月にこのくらいメンバーが協力すればどのくらい人が採用できる」というくらいまで伝えることでみんな闇雲に採用活動をすることなく協力的になってくれるのではないかと思っています。
あとやはり採用に関わっていただくことが、会社にとってどのくらい重要な事なのかもしっかり伝えていく必要がありますね。
社内エンジニアに聞くことで技術の知識も現場ニーズの理解も深まっていった
– エンジニア採用を行う上でエンジニアの知識、技術の知識はどこまで必要なのかということは終わりのない問いだと思います。それについてはどうお考えですか?
(大月さん)
そうですね、私の場合は元々コンピューターサイエンスを大学院で学んでいる事もあって、社内でも社外でも「エンジニア出身だからだいたいわかるでしょ?w」って言われるんですが、それは大きな間違いです。私がエンジニアをやっていたのはもう10年くらい前の話で、しかも典型的なSIerだったので、当時はRubyも触ったことはなかったですし、Perlも学生時代にちょっとやってた程度でWebの画面くらいしか作ったことはありませんでした。この部分は最近になって勉強しています。あ、でもここまで話しておいてあれなんですが、一方であまり技術スキルは必要ないかなと思っています。これはどの職種でも一緒です。経理担当者ではないので経理の知識も、法務担当者ではないので法務の知識もないのですが、採用はしますよね? それと同じで職種のヒアリングをした時にその候補者が何を言っているのかわかる程度あればいい。共通言語で話せるくらいのところまでは学ぶようにする。が私の答えです。ちなみにキーポイントは想像力と好奇心だと考えていて、この人たちは何に興味を持っているんだろう?とか私達採用担当者がまず想像して、それに興味を持つことが大切です。これはもはやエンジニアという職種に限らず全職種に対して必要かなと思ってます。
技術の知識の話に戻ると、学ぶのはキーワードだけでもいいと思っています。何がいまトレンドになっているかくらいはわりと知りやすいと思うんですよ。例えばQAの話がでたら面接でよく「Selenium」の話が出てました。最初は「何だろうこれ?」って思うんですが、わからないので、どんどん調べていくんです。でもWebで調べてわからなかったらエンジニアの方に聞きに行くと、皆さんは基本的に優しいので教えてくれるんですよ。そして、教えてくれたその単語もわからなくてまた調べて持って行くということを繰り返していくことでコミュニケーションが円滑になります。人事が知っておく知識、調べる行為はそのレベルでいいのかなと感じていますね。
(栗林さん)
私は開発の技術に関しては全然分からないです。ただ、freeeにいるエンジニアメンバーの強みやキャリア、こういう指向性があるということは知っていると思っています。候補者と誰が会えば一番いいんだろう、と考えた時に面談者を選出する必要がありますから、社内のメンバーのことを知るのは人事にとって必要なのではないでしょうか。なので技術判断というところはどうしても力を出すことはできないんですが、採用において面接からのストーリーを作ったり、適切なタイミングで連絡すること、そして未来のfreeeメンバーと長きに渡り関係性を築くことなどプロデューサーみたいな役割もしながら人事として力を発揮したいと思っています。
– 技術について全く知らないということは流石にないのかなと思っていまして、実際にはどのくらいの知識をお持ちなんですか?
(栗林さん)
うちで使っている言語だったり、フレームワークなどの技術について何を使っているかということまではわかります。
実はスカウトは私が打つんです。なので候補者がどういう経験をしてきたとか、そういうところはレジュメだったり、GitHubをみたりして大まかには分かります。ただやはり始めの頃はわからないことも多く、一緒にレジュメを見たりしながらどういうところが良い、どこがfreeeと合わないか等、エンジニアにガンガン質問していました。、エンジニアメンバーにフィードバックしてもらうことで、いまはfreeeの求めている開発者のスキルについてだいぶ理解が深まったのではないかと思います。
(大月さん)
私はすべての面接には入れないので、面接フィードバックのシートとかもよく見ることがあります。レジュメを見て、面接結果を見て、分からない言葉が出てくるんですが、分からないことは諦めないっていうこと、あと知ったかぶりをしないということが大切ですね。
– 知ったかぶりをしないということは大切ですね。栗林さんはいかがですか?
(栗林さん)
知ったかぶりはやらないですね。わからないことはストレートに分からないと言います。freeeの開発組織にどういう人が欲しいのかということ考える時にはうちのエンジニアと話すのが一番いいんじゃないかなと思います。欲しい人材はうちにいる人材だと思っているので、彼らを知ることでどういう人がエンジニアとして優秀なのか、どういう人をうちの会社が求めているのかというのを理解を深めていったのかなと感じています。
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エンジニア採用において、現場のエンジニアとの協力体制を整える企業が増えています。実際にエンジニア採用に成功している企業の事例を基にして、エンジニア採用の体制づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
scouty HR TECH LABでは今後もイベントのレポートや、オープンデータを基にした分析結果など採用担当者に有益な情報を紹介していきます!
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