エンジニア採用にあたり、スカウトサービスを導入する企業が増えています。スカウトから採用成功に繋げていくためには、スカウト業務を「継続」させていくことが重要なカギを握ります。
「せっかくスカウトを始めたが、運用が定着せずに終わってしまった」となってしまわないよう、本記事を参考にスカウト前の事前準備を行ってみてください。
目次
- 1 よくある失敗例と対策
- 1.1 失敗例その1:エンジニアリング知識があるメンバーがスカウト業務に関わらない
- 1.2 【対策:人事・エンジニアとで適切な役割分担を行う】
- 1.3 失敗例その2:エンジニア工数が取れなくなり、スカウト業務が止まってしまう
- 1.4 【対策:週次で固定のスカウト時間を確保する/週次のアクション目標数を決める】
- 1.5 失敗例その3:採用要件が深堀りできておらず、自社にとって本当に必要な人材像が不明瞭である
- 1.6 【対策:採用要件はできる限り具体的に言語化し、社内メンバーや候補者からも見えるよう整理しておく】
- 1.7 失敗例その4:スカウトメールからいきなり選考に誘ってしまう
- 1.8 【対策:応募意思を高めるためのカジュアル面談の実施】
- 2 まとめ
よくある失敗例と対策
失敗例その1:エンジニアリング知識があるメンバーがスカウト業務に関わらない
スカウトを始める企業が増えるとともに、候補者もスカウトを受け取ることに慣れてきています。
スカウトを受け取り慣れているエンジニアは、画一的なテンプレートメールはほぼ読み飛ばしてしまいます。
エンジニアにとって魅力的なスカウトを書く重要なポイントとして、エンジニアリング知識のあるメンバーが運用に入ることが挙げられます。
スカウトサービスの中には、「候補者のSNSやアウトプット記事」を保有・管理していたり、社内の友人との繋がり(リファラル)の情報を保有・管理するものもあるため、エンジニアリング知識を持っているメンバーが入ることで、上記の様な経歴以外の情報から、より精度高く今回のポジションにマッチしていそうな人物かどうかを見極める事ができます。
また、スカウトメールの中でも、エンジニア視点からその人の技術的な強みや専門性に具体的に言及することで、候補者の関心を強く惹き付けることができます。
さらにほぼ画一的なテンプレートメールを多く送付するような「数撃ちゃ当たる」戦法がうまくいかない大きな要因がもう一つあります。それは「母集団は有限である」ということです。採用成功に至る充分な返信数に至ることなく、スカウトサービスの母集団にほぼ当たりきってしまうということが発生してしまいます。
【対策:人事・エンジニアとで適切な役割分担を行う】
LAPRAS SCOUTでは、エンジニアスカウトを行う際は以下のような役割分担を推奨しています。このように分担することで、効果的なスカウト運用が期待できます。
- 人事が大まかな要件に合致する候補者をピックアップ
- 人事がピックアップした候補者に対して、エンジニアがアプローチ可/不可の判断を行う
- アプローチ可とした候補者について、技術に関して魅力に感じた点など、スカウトに盛り込むコメントメモを作成
- コメントメモをもとに、人事がスカウトメール文を作成
- 候補者からのリアクションがあった場合は人事が対応・面談調整
失敗例その2:エンジニア工数が取れなくなり、スカウト業務が止まってしまう
導入当初はエンジニアもスカウトチームに巻き込み運用を行っていたものの、徐々に開発業務が逼迫していつのまにかスカウトが止まってしまった、ということもよくある失敗例です。エンジニアは開発業務が主ではありますが、採用活動自体も中長期的に開発力を大きく前進させる投資ですので、導入前にしっかり開発部門とコミュニケーションを取っておきましょう。
【対策:週次で固定のスカウト時間を確保する/週次のアクション目標数を決める】
スカウトはすぐに成果につながるものではないため、スカウトに関わるメンバーは少なくとも2〜3ヶ月はスカウト業務に関わる時間を確保しておきましょう。
また、空いた時間にやるという方針ではなく、必ず「毎週◯曜日の◯時〜◯時はスカウト業務に充てる」「毎日最低30分はスカウト業務を行う」等、日次あるいは週次の決まった時間を予めスカウトに充てるようにし、スカウトのルーティーンを定着させましょう。
加えて、まずは「週にスカウト5通送信する」など、実際に達成できたか・できなかったかを振り返ることができるアクション目標を設定するのもおすすめです。
最初は達成できなくても構いません。その場合はなぜできなかったのか、どうすればできるのか、そもそも目標設定が適切か、など、あらかじめ目標を設定し、振り返りの場を持つことで具体的な改善策につながるためです。
失敗例その3:採用要件が深堀りできておらず、自社にとって本当に必要な人材像が不明瞭である
スカウトにおいて、採用要件の具体化は非常に重要です。
スカウトを送る際、採用要件が不明瞭だと、とりあえず「エンジニア歴3年以上」「Ruby歴3年以上」等といった広い条件で候補者を絞り、スカウトを送ってしまいがちです。その場合、時間をかけて何十人も面談したものの、結局スキルやカルチャーがフィットせず、1人も採用できなかったということが起こりえます。
採用要件を具体化しておくことで、本当に今回のポジションに必要なスキルやレベル感を明瞭にすることができ、スカウトの時点でターゲットとすべき人物像が明確になります。結果として、面談や選考の通過率も高く、効率的な採用に繋がります。
またスカウトを受け取る候補者の視点からすれば、採用要件が曖昧であったり、具体性が低いと「自分はどのような役割を担うのか?」「どのような業務に取り組むのか?」など、入社後のイメージがつきづらく、「なぜ自分が必要とされているのか」が分かりません。
【対策:採用要件はできる限り具体的に言語化し、社内メンバーや候補者からも見えるよう整理しておく】
採用要件を具体的に言語化し、候補者からも見える状態にしておくことで、候補者自身がその会社と自分がマッチしているかどうかを判断する重要な材料となります。
採用要件によく記載されている「業務内容」や「必須スキル」について、例えば以下のような書き方をしていませんか?
■業務内容
・機械学習の調査、研究
・機械学習を用いた予測システムの開発・実装・運用
■必須スキル
・Pythonに関する深い理解
・コーディング力
採用要件を具体化していくコツとしては、「そもそもなぜ採用をするのか?」といった背景から棚卸しするのがおすすめです。
事業やサービスが今どういう状態にあり、今後どのようにしていきたいのか、そのためには現在抱えているどのような技術的な課題感・挑戦に取り組まなければならないのか等を順番に棚卸ししてみましょう。そしてこれらの情報は社内メンバーで共有するだけでなく、候補者が閲覧する募集要項等にも盛り込むことで、入社後の業務イメージや期待される役割を想定しやすくなります。
また、必須スキルについては、客観的に見てクリアしているかどうかを判断できる内容にしましょう。
<採用要件の具体化の例>
■採用の背景
私たちのビジョン「すべての人にとってミスマッチのない世界」を実現するために、LAPRAS SCOUTはより精度な退職率予測アルゴリズム・企業と候補者の最適なマッチング発見アルゴリズムのようなモデル構築・実装をしていきたいと考えており、一緒に課題を解決してくれる機械学習エンジニアを募集します。
■業務内容
エンジニアスカウトサービス「LAPRAS SCOUT」について、例えば以下のような開発に取り組んでいただきます。
・スカウトメールの自動レビュー機能(修正箇所のハイライトが行われたり、実際に修正されたりする)の開発・実装
・GitHubデータなどを用いた候補者の開発能力スコアリングアルゴリズムの開発・実装
■必須スキル
・Webアプリケーションの開発・リリースを行った経験
・Pythonを用いたWebサービス開発経験
・学習モデルを実装したサービス開発の経験
こちらの記事では具体的な採用要件のフォーマットも紹介しています。
失敗例その4:スカウトメールからいきなり選考に誘ってしまう
これは、今まで自己応募やエージェント経由での採用が主だった企業でよくある失敗例です。
自己応募やエージェント経由の場合とスカウトの大きな違いは、その時点での候補者の自社への関心の有無です。
自己応募やエージェント経由の場合は、応募→書類選考→一次選考と、企業が候補者の情報を得た時点から「ふるい落とす」流れになりますが、スカウトの場合、その時点で候補者が自社に興味を持ってくれているかどうかはわかりません。そのため、候補者の転職意欲を高める・自社への関心度合いを高めるためのカジュアル面談というステップを挟むのが一般的です。
スカウトですぐに選考応募を促すのではなく、まずは互いの情報交換の場としてカジュアル面談に誘ってみましょう。
【対策:応募意思を高めるためのカジュアル面談の実施】
カジュアル面談における企業側の1番の目的は、候補者に選考へ応募してもらうことです。 そのためには、自社のことを魅力的に伝えることはもちろん、候補者の志向や状況を理解し、候補者にとって自社で働くことにどんなメリットがあるかも伝えることが重要です。
そして候補者側の1番の目的は、その企業に応募するべきかどうかの見極めです。
企業側・候補者側双方の目的を理解し、その目的を達成するための面談を設計しておくことで、満足度が高く、採用活動としても効果の高いカジュアル面談を実施することができます。
なおスカウトの場合は、カジュアル面談を実施したのち、一次選考と書類選考を兼ねて行うケースが一般的です。
こちらの記事では、LAPRASが推奨するカジュアル面談の方法も紹介しています。
まとめ
ここまで、スカウト業務開始後によく起こる失敗例と、それを踏まえた対策をまとめてきました。
改めて、事前に準備しておくべきポイントを整理します。
- 人事・エンジニアそれぞれの専門知識を活かせる役割分担を決める
- スカウト業務に関わるメンバーは、少なくとも2〜3ヶ月間は週次で固定のスカウト時間を確保する
- 週次のアクション目標数を決める
- 採用要件はできる限り具体的にし、社内メンバーや候補者からも見えるよう整理しておく
- 応募意思を高めるためのカジュアル面談の実施
スカウト導入後からスムーズな運用ができるよう、しっかり事前準備を行いましょう。
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