IT技術を活かし、物流の産業変革に挑むアセンド株式会社は、2023年よりLAPRASを導入しました。技術や経験だけに頼らないエンジニア採用活動を展開し、「プロダクトエンジニア」という職種を軸に据えています。LAPRASを活用した革新的なアプローチとは。アセンド株式会社の採用活動を牽引するCTOの丹羽さんに、同社の採用活動方針や具体的なプロセス、成功事例についてお話していただきました。
《プロフィール》
取締役CTO
丹羽 健さん:
アセンド株式会社の取締役CTOとして、物流業界の課題解決に取り組むプロダクト開発のリーダーを務めている。 現場に向き合い続ける姿勢を大切にし、社会課題となる物流業界の変革・改善を目指して、プロダクトの開発と組織構築を推進している。
2021年10月、アセンド株式会社に取締役CTOとして参画、2024年11月にStartup CTO of the Year オーディエンス賞を受賞。
アセンド株式会社:
物流業界向けのオールインワンSaaS「ロジックス」を提供するテクノロジー企業である。トラック運送業における運行管理や労務管理、車両管理を一元化することで業務効率化と現場負担の軽減を実現し、蓄積した会計データを元に経営管理を同時に実現するシステムを構築している。その背景には、2030年には3分の1の荷物が運べない物流供給量不足の課題解決を目指す使命感がある。
<サービスリニューアルのお知らせ>
法人向け採用サービス「LAPRAS」(旧:LAPRAS SCOUT)が新しくなりました!◆採用課題に合わせた4つのプランをご用意
運用代行、自社運用、成功報酬特化型などバリエーション豊富!
・ミドル~シニアエンジニア採用に強い高品質DB
・コスト削減、工数削減など多様な採用ニーズに対応!
・プランごとの違いがひと目でわかる比較表アリ
※記事中に「LAPRAS SCOUT」の文言がある場合は「LAPRAS」と読み替えてください。
物流業界の深い課題を解決するプロダクト志向の人材を
― まずはLAPRASを導入するに至った経緯について教えてください。
LAPRAS導入前は、リファラルを中心にして、人柄や志向性を理解した上で採用を行っていました。また、求人媒体やエージェントを使っていたものの、この方法では物流業界の深い課題を解決できる人材を見極めるのが難しい状況でした。
弊社のエンジニアには技術力だけでなく「顧客の課題を深く理解し、それをプロダクトに反映する能力」が求められます。しかし、従来の採用手法では候補者の志向性や価値観を把握するのが困難だったのです。
そんな中、2023年10月、シリーズAラウンドでの資金調達に成功。これを機にエンジニア採用媒体を見直し、LAPRASを導入することにしました。LAPRASの「転職意欲の変化」を捉える機能は、候補者に最適なタイミングでアプローチできるようになり、またLAPRASのデータベースは候補者をを深く理解することができ、これまでに無い新しい採用が確立できるのでは、という期待感がありました。
― アセンド社では「プロダクトエンジニア」という考え方が浸透していると伺いました。具体的にどのようなものか教えてください。
「プロダクトエンジニア」は、技術力だけではなく、それを顧客課題の解決にどう活用するかを重視する職種です。物流業界では特に、課題解決に向けた設計力や提案力が重要です。
従来のエンジニアが特定の技術分野を専門的に掘り下げるのに対し、プロダクトエンジニアはプロダクト全体の価値を高める役割を担います。テクノロジー、UXデザイン、業界のドメイン知識を融合し、顧客や業界に対して最適なソリューションをSaaSとして提供することが求められるのです。
― なるほど。プロダクトエンジニアの考え方が、物流業界で必要とされる理由は?
物流業界はデジタル化の遅れから、現場ごとの課題が具体的かつ多様です。顧客課題を解決するには、現場の業務フローや業界特有の制約を深く理解する必要があるんです。一度プロダクトを導入した後も、継続的な改善を通じて顧客との信頼を構築し続ける覚悟が求められます。こうした業界特性により、エンジニアとしての技術力以上に「課題解決への意欲」と「やりきる覚悟」を持つ人材との接点を持つことが、弊社の採用活動では重要視していました。
スキルだけに縛られない、志向性を重視した採用方針
― LAPRASをどのように運用されているのか、具体的な方法を教えてください。
LAPRASの運用では毎朝、「転職意欲の変化」したすべての候補者を確認しています。候補者の志向性を重視すると、キーワードやスキルのようにはフィルタリングが機能しないため、全候補者を確認した方が結果的に早いと判断しました。当社では、LAPRASが提供する「転職意欲の変化」データを活かして、候補者の意欲変化がしたり、転職活動を始めてすぐにアプローチすることを重要視しており、アクションを起こすスピードを大切にしています。
スカウトメールを送る際には、テンプレートに頼るのではなく、候補者のプロフィールや連携している発信情報を丁寧に確認し、候補者を知った上で一人ひとりにパーソナライズした内容を作成しています。その上で、CTOとして1ヶ月に100通のスカウトを送り、大変労力は掛かりましたが、候補者の一人ひとりに向き合うことができ、良い方達と出会えたのは良かったことです。
― 通常の採用では、技術力などから候補者を絞り込むケースが多いように思いますが、アセンド社ではそのアプローチを取っていないのですね。
そうですね。当社では技術力や過去の経験で候補者を絞り込むことは基本的に行っていません。もちろん技術は重要ですが、それは学ぶことができると考えています。それよりも、候補者が持つ「志向性」や「価値観」を重視しています。具体的には、顧客の課題にどう向き合うか、社会課題やそもそもの社会に対してどのような意欲を持っているかが、私たちにとって最も重要なポイントです。
― 技術力ではなく、志向性や価値観を重視する背景にはどのような理由があるのでしょうか?
物流業界は他の分野以上に顧客視点が求められる業界です。現場で抱える課題は、単純な技術の力だけでは解決できないものがほとんどです。例えば、運行管理や労務管理といった業務改善を目指す際には、その現場で何が求められているのかを深く理解し、適切な解決策をプロダクトに反映させることが求められます。
こうした仕事には、課題を解決しようとする強い意志と、顧客視点に立った柔軟な思考が必要です。それが技術力以上に重要だと感じているからこそ、私たちは志向性や価値観にフォーカスした採用を行っています。
― 技術力を重視しないことで、候補者選定の幅が広がるのでしょうか?
その通りです。従来の採用方法では、スキルや経験に基づいて候補者を絞り込むため、非常に限られた人材プールの中で選ぶ形になっていました。しかし、当社では技術に偏らない選定基準を取ることで、転職意欲が変化したばかりの候補者や、物流業界に特化した経験がない方とも積極的に接点を持つことができます。
実際、LAPRASを活用することで、これまで接点を持てなかったような候補者にもアプローチできるようになりました。その結果、プロダクト志向を持ち、課題解決への意欲が高い方と出会うことができたと感じています。
― 採用フローについて教えてください。
カジュアル面談はCTOの私が担当し、候補者の価値観やキャリアビジョンに触れると共に、物流業界の課題解決の重要性と楽しさを紹介しています。一次面接では課題解決能力や設計力を評価し、技術を『どのように活用するか』を重視しています。次に1Dayでのトライアル入社を行い、実際にプロダクトエンジニアとしての働くイメージを持ち、双方で相性を確認しています。最終面接は、CEOが担当し志向性やカルチャーフィットについて議論します。
― LAPRASを活用して成功した採用事例について教えてください。
印象的な事例の一つに、石川県在住のエンジニアを採用したケースがあります。この方は非常にプロダクト志向が強く、顧客の課題に深く興味を持ち、それを解決する具体的な方法を提案できる力を持っていました。ただ、当時のアセンド社にはフルリモート勤務の体制が整っておらず、この方を迎えるためにゼロから環境を整備する必要がありました。
― フルリモート環境の構築にはどのような工夫があったのでしょうか?
まず、コミュニケーションロスを防ぐために、常時接続できる中継チャンネルを導入しました。これにより、オフィス勤務と同じような感覚で気軽に意見交換ができる環境を実現しました。また、2ヶ月間の副業期間を実施し、リモート勤務であっても距離を感じさせないチーム体制を構築しました。
この柔軟な対応は、当社が「人のポテンシャルを最大限に活かす」ことを重視しているからこそ可能だったと思います。結果として、この方は入社後すぐにプロダクト改善に大きな貢献をしてくれています。顧客の声を反映した機能設計やプロセス改善においてリーダーシップを発揮しており、リモート勤務であることが一切ハンデにならない、プロダクトエンジニアとしての活躍を見せてくれています。
― 他に印象に残っている採用事例はありますか?
マネジメント経験を持ちながら、現場でエンジニアとしてのスキルを磨き直したいというキャリアビジョンを持つ方を採用した事例があります。この方は、過去に初期のスタートアップに参画し、リーダーとして成果を上げてきた実績があります。
当社ではその希望を尊重し、プロダクトエンジニアの一員として開発する役割を提供しました。プロダクトエンジニアとは幅広い関係者との調整も必要な役割です。この方は入社後、スムーズなプロジェクト進行を支えるだけでなく、ビジネスメンバーとも信頼関係を築くリーダーシップを発揮しました。その結果、プロジェクトの成功はもちろん、チーム全体の結束力が向上するなど、幅広い貢献を果たしています。
候補者の可能性を広げ、新たな出会いを創造していく
― これらの事例から得た学びや、採用活動への影響について教えてください。
成功事例を通じて、「志向性や価値観に重きを置いた採用の重要性」を改めて実感しました。一般的な採用のように技術や経験だけを基準にしていたら、これらの優秀な方と出会うことは難しかったかもしれません。
さらに、特定の候補者のために組織や環境を柔軟に変えることの価値にも気づきました。リモート環境の整備や役割設計に柔軟に対応することで、候補者が持つ力を最大限に発揮できる環境を提供できたのだと思います。これからも、候補者一人ひとりに寄り添い、個々の特性に応じた対応を続けていきたいです。
― 「転職意欲に変化のあった候補者をすべて確認する」という方法のメリットとデメリットについて教えてください。
この方法の最大のメリットは、採用の可能性を広げられることです。従来のようにスキルや経験だけで候補者を絞り込むと、特定の枠に収まらない人を見逃してしまうリスクがあります。一方で、転職意欲の変化を基準に全員を確認することで、新たな視点で候補者を知り、深く志向性を捉える機会が生まれました。
特に、物流業界のように課題が多様で顧客視点が重視される分野では、技術スキルだけでなく、プロダクトエンジニアとしての「課題解決への意欲」や「やりきる覚悟」が重要です。このアプローチを通じて、従来の方法では出会えなかったような候補者とつながれる点が大きな強みだと感じています。
一方で、すべての候補者を確認するには労力が必要です。情報を丁寧に精査し、一人ひとりに個別対応するため、CTO1人だけでは大変なこともありました。今後、採用チームを少人数から始める中でも負担が大きくなることが課題です。日々、どうすれば最良の候補者体験を作れるか試行錯誤しています。大変ではありますが、一方でこういったことをCTOである私自身が考え実行していく、その実践自体がエンジニア組織に責任を持つということであるので、今後も引き続きコミットしていきます。
― この方法はどのような企業に適していると考えますか?
志向性や価値観を重視する企業に特に適していると思います。そういった企業には候補者を深く知ることができるLAPRASを勧めています。たとえば、「プロダクト志向」や「顧客課題への理解」を求める場合、スキルや経験だけでなく、候補者の価値観やキャリアビジョンも重要です。また、採用競争が激しい業界やスタートアップ企業では、迅速なアプローチや柔軟な対応が特に効果を発揮します。
― 最後にエンジニア採用に課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。
エンジニア採用は、スキルだけでなく、企業の課題解決に貢献できる人材を見つける視点が重要です。LAPRASの「転職意欲の変化を捉える」機能を活用することで、「プロダクト志向」や「やりきる覚悟」を持つ人材との出会いの幅を広げることができました。
採用は単なる選別の場ではなく、候補者との相互理解を深める場です。企業の文化やミッションに共感し、長期的に成長を支える仲間と出会う機会として採用活動に向き合っていくのが大切なのではないでしょうか。
― なるほど。本日はありがとうございました!
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