【まとめ】エンジニアの心を掴む求人票の作り方~「自由入力項目」を活用して他社と差別化する方法

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この記事は、LAPRASがピックアップした「魅力的な求人票」をお手本に、候補者の心を掴むためのポイントを解説するシリーズのまとめです。

これまで4回にわたり、求人票の主要な項目について、それぞれエンジニアの心に響く書き方を解説してきました。

本記事では、これまでのシリーズのポイントを簡潔に振り返るとともに、4つの記事では紹介しきれなかった「自由入力項目」について、他社と差をつけるためのアピール術と具体的な実例をご紹介します。

求人票の書き方「4つの重要項目」の振り返り

このシリーズでは、「エンジニアの心を掴む求人票の作り方」をテーマに、求人票で特に重要な4つの項目を解説してきました。(※過去記事では毎回「魅力的な実例3選」も合わせて紹介しています)

関わるサービス

候補者が「何を作るのか」を理解する項目です。プロダクトの魅力や社会的な意義、市場でのポジションを伝えるポイントを解説しました。

関わるチーム・募集背景

誰と、なぜ働くのか」を伝える項目です。チームの文化やメンバーの雰囲気、そして募集の背景にある前向きなミッションを伝える方法を紹介しました。

仕事内容

具体的に何をするのか」を示す項目です。単なるタスクの羅列ではなく、入社後の具体的な業務や挑戦的な課題をイメージさせる書き方を解説しました。

求めるスキル

候補者が「自分はこのポジションに応募できるか」を判断する項目です。必須スキル(Must)と歓迎スキル(Want)の記載を戦略的に使い分け、「どんな場面で、どんなスキルを発揮してほしいのか」をイメージできるように伝える重要性を解説しました。

以上は、LAPRASに求人票を掲載する際に、標準で入力する項目でもあります。

LAPRASではさらに、これらの項目に当てはまらない内容を「自由入力項目」として付け加えることもできます。

「自由入力項目」で他社に差をつける3つのポイント

「自由入力項目」は、標準の項目だけでは伝えきれなかった、その企業「ならでは」の魅力をアピールするのに役立ちます。転職先候補の複数社を比較検討する際に、このセクションが決め手になって転職先に選ばれることも十分に考えられます。

ここでは、「自由入力項目」でどんな内容を伝えるべきか、3つのポイントをご紹介しましょう。

(1)働く姿がイメージできるよう、具体的なロールモデルを示す

スキル・経験など条件面から「求める人物像」を説明するのは有効な方法です。それに加えて「社内ではこんな人が活躍している」という具体的なロールモデルを示すことができれば、候補者はさらにリアリティを持って入社後の姿をイメージできます。

例えば、以下のような切り口で「どんな人が、どんな点に惹かれて集まっている組織なのか」を具体的に示すと、リアルなカルチャーが伝わります。

  • メンバーのバックグラウンドや専門性:業界エキスパートが多い、OSSコントリビューターが在籍しているなど
  • 技術的な志向性:新しい技術への好奇心が強い、競技プログラミングが盛んなど
  • 仕事に対する価値観:技術をビジネス貢献に活かすことを重視する、プロダクト志向が強い など
  • チームの雰囲気や人柄:穏やかな人が多く議論を重視する、自律的に動く人が多い など

このように「活躍できる人物像」を具体的に示すことで、候補者も「自分と価値観が合いそうだ」と判断しやすくなります。それが解釈の違いによるミスマッチを防ぐことにも繋がります。

(2)「キャリアパス」と「オンボーディング」の解像度を上げる

多くの候補者は、「転職後、新しい環境にうまく適合できるか」「その後、自分のキャリアが開けていくのか」に関心があります。

例えば、以下のように入社後の具体的なイメージが湧く情報を記載すると効果的です。

  • オンボーディング(入社直後)について
    • メンター制度や定期的な1on1など、具体的なサポート体制
    • 新卒採用・育成の実績や、中途入社者向けの研修プロセス
    • 入社後のタスクの進め方の具体例
  • キャリアパス(中長期的)について
    • マネージャー、テックリード、スペシャリストなど、組織内で目指せる具体的なキャリアの選択肢
    • 実際にキャリアを歩んだ実例(N年で◯◯のポジションへ昇格、など)

「入社後のサポート」と「その先の多様なキャリア」を具体的に示せれば、候補者の不安を払拭し、転職後の明るい未来をイメージすることにつながります。

(3)「ユニークな制度」の背景にある「思想」を語る

福利厚生など、自社独自の「ユニークな社内制度」を強みとしてアピールしている企業は少なくありません。ただ、過去には独自性が強かった制度でも、多くの企業が導入した結果、現在では差別化するのが難しくなっている、ということもありえます。

そのため、単に制度の存在を伝えるだけでなく、その制度が「なぜ存在するのか」という背景にある思想もセットで伝えることが重要になります。

例えば、「社員のスキルアップ」や「自由な働き方」を支援する制度があるなら、「社員の自主・自律性を信頼する社風があるから、このような制度を作っている」という背景まで説明すると、自社の価値観と結びつけた強力なメッセージとなります。

このように「制度(What)」と「思想(Why)」をセットで語ることで、候補者は自身の価値観と企業のカルチャーがフィットするかを深く判断できます。カルチャーフィットする候補者へ、強い共感を呼び起こすのに効果的です。

以上が、「自由入力項目」で差をつけるための3つのポイントです。

「働く人のリアルな姿」や「入社後のキャリア」、「制度の背景にある思想」などを具体的に語ることで、候補者はその企業で働く姿をより鮮明にイメージできるようになります。

魅力的な「自由入力項目」3つの実例

それでは、これらのポイントを実践し、各社の「ならでは」の魅力を効果的に伝えている3社の実例を見ていきましょう。

※編集部注:企業の特定を防ぐため、元の求人票にあった具体的な数値や固有名詞を[ ]で置き換えています。本記事の[ ]内に記載している数値や規模、業界を表す名称等は仮のものです。

A社の求人例


◯[当社の]テックカルチャー

■マネジメントのない組織づくり
序列や役職がなく、また、自己決定の給与制度により、評価者がいないため、真に対等な議論ができる文化があります。

■テックリードチーム
社内には登壇経験があるテックリードが在籍しています。複数のテックリードから構成されるテックリードチームがプロジェクトを横断して支援しており、丁寧なレビューが、あなたの成長を促進します。

■技術選定
オープンソースを中心に、安定した定番技術から先進的なテクノロジーまで、幅広く積極的に取り入れ、プロジェクトに合わせたシステム設計・開発を行なっています。今後スタンダードとなりうる技術に、実践的に触れることができる環境です!

■レビュー文化
あらゆるプロセスにおいてペアワークを大事にしており、レビュー文化が浸透しています。各プロジェクトで開催される設計レビュー会などは、オープンレビュー形式になっており、自由に他のチームも参加可能になっています。

【[当社]で働くメリット】
《成長環境》 [当社]にはセルフマネジメント力が高いメンバーが揃っており、管理職はいません。スキル習得に必要な費用を会社が100%負担する「スキル習得支援制度」や「副業支援制度」があるのもポイント。経歴や社歴は関係なく、さまざまなことに挑戦できる土台が整っています。

《安心して働き続けられる》
結婚や妊娠、子育てといったライフイベントに関する制度が充実。また入院や手術に関わる費用を会社が負担する「医療費サポート制度」や無制限に有給が取得できる「柔軟な有給制度」、「給与の自己決定に関する制度」など、メンバーが安心して生活できるよう、大胆な制度を用意しています。

《[数年]前にリモートワーク先端宣言》
オープンなドキュメントにおける徹底的な透明性、[特定のチャットツール]の活用度が高いなど、リモートワーク先端企業としてリモートワーク体験や生産性向上を追求し続けています。 出社方針( https://●●●● ) も[最近]更新しましたが、その意図や狙いはぜひカジュアル面談で聞いていただければと思います。

B社の求人例


◯オンボーディング・キャリアパス

[当社]は若いエンジニアのオンボーディングに自信があります。というのも、新卒採用を[10年]以上続けながら数多くの若い方の成長を見守って来たためです。 ご本人様のいまのレベルに合わせたタスクを割り振り、こまめに行っているグループ・チーム内のMTGで素早く状況を把握。もちろん[チャット]などのツールでのカジュアルなやり取りも行っていますし、グループリーダーによる月次の1 on 1の時間で達成度の振り返りや目標設定を一緒に行っています。

また、入社後のキャリアパスは、ご本人様のスキルや性格によって異なってきます。 じっくりとキャリアを歩んでいくことが合っている方もいらっしゃれば、早くからリーダーとして活躍することが合っている方もいらっしゃるでしょう。 後者の例としては、新卒[数]年目でチームリーダー(開発プロジェクトのリーダー)となって新規プロダクトを開発したり、リアーキテクチャリングを行っているエンジニアもいます。

◯[当社]のエンジニアはどんな人たち?

 [当社]のエンジニアは基本的に[若手]です。 しかしながら、新卒入社[10年]目前後のエンジニアをはじめ、[特定業界]システム開発のエキスパートを数多く抱えています。 エンジニアは[現在]概ね[数十]名おり、そのうちキャリア入社が[数十]名程度、女性エンジニアが約[十数]名となっています。

[当社]のエンジニアに共通する特徴としては、下記点があげられます。

[1] 物事を論理的にしっかりと考えられる
元々高速検索を軸とした事業を展開してきており、高度なアルゴリズムを理解したり実装したいと考えるエンジニアが集まっています。

[2] 性格は穏やかで物腰が柔らかい
手前味噌ですが、[当社]のエンジニアは優しい人が多いです。 人の話をじっくりよく聞いて、建設的な意見を提示することができる人が多いです。

[3] 技術がとても好き
[当社]のエンジニアは知的好奇心が高く、「様々な領域の技術を学び、システム開発を楽しみたい」という思いの強いエンジニアが多いです。その結果としてフルスタックエンジニアが多いです。 また、特に若いエンジニアたちの間では競技プログラミングの活動が盛んです。

[4] 技術の力でビジネスを支えていきたいと考えている
技術が大好きな[当社]のエンジニアですが、技術の追求そのものを自己目的化させることはありません。 [当社]では創業以来『技術は[ビジネスに貢献して]初めて技術となる』という考えを大事にしており、自分たちの技術を使って社会にどんな価値を提供することができるかを考えることを全ての出発点としています。

以上、「こんな人たちと働きたい」「自分もそうありたい」そのように考えていただける若いエンジニアの方にぜひ仲間に加わっていただきたいです。

C社の求人例


◯大切にしている価値観

[当社]が目指すプロダクト開発や完全自動化システムの開発は“技術の総合格闘技戦”が求められます。AI、Webソフトウェア、組込みソフトウェア、ハードウェア/回路系といった多用なバックボーンを持つエンジニアに加え、事業開発チームやコーポレートスタッフが適切に融合し、基準を高め合う文化が大切です。

そのため、社員数が[数十]名を超えたタイミングで、社員全員で集まり、以下4つのバリューを定めました。

  • 「[まず動く]」
  • 「[率直に話し、深く聞く]」
  • 「[誠実である]」
  • 「[信頼性を最優先に]」

理想の候補者に「選ばれる」求人票を作るために

本シリーズでは、5回にわたり「魅力的な求人票」の書き方を、項目ごとに解説してきました。

  • 「関わるサービス」から「求めるスキル」までの標準項目
    「何を作り」「誰と働き」「何をするのか」という土台を具体的に示す
  • その他の「自由入力項目」
    社内のリアルなロールモデルやキャリアパス、制度の背景にある思想といった「その企業ならではのカルチャー」を伝える

これらが揃っていると、求人票は「単なる募集要項」ではなく「候補者の心を動かすメッセージ」として機能します。

求人票は自社のエンジニアリング文化や働く環境を伝える「情報開示」の場です。エンジニア採用が「企業が候補者を選ぶ」時代から「候補者から企業が選ばれる」時代に変化したこともあって、今後ますます採用で重要な役割を担っていくことになるでしょう。

本シリーズで紹介したポイントと実例を参考に、自社の求人票が「本当に会いたい候補者」から選んでもらえる内容になっているか、見直してみてください!