採用活動において、自社の魅力をアピールすることは重要です。しかし、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「候補者の不安を取り除くこと」です。
この記事では、エンジニアが採用体験の中で抱きがちな不安の正体と、それを安心に変えるための具体的な対処法を、3つの採用フェーズに分けて解説します。
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求職者が不安を抱える原因
そもそも、なぜ求職者は選考プロセスにおいて不安を抱えるのでしょうか。
最大の理由は、転職が人生を左右する大きなイベントであり、常に失敗の不安と隣り合わせだからです。 そのため、求人票やスカウトメールで「良いこと」ばかりが並べられていると、「都合の悪い情報を隠しているのではないか」と、逆に警戒心を抱かせてしまうことさえ起こりかねません。
こうした小さな不安や不信感が積み重なっていくと、最終的に「この会社は自分には合わないかもしれない」と判断され、選考途中での離脱や内定辞退につながる可能性もあります。そうしたリスクを減らすためには、不安を払拭し、安心感を与える工夫が必要になってきます。
応募前(求人票やスカウト閲覧時)に生じがちな不安

エンジニアの方々が求人票やスカウトを目にした際、最初に生じがちな不安は「この会社に応募して大丈夫だろうか?」というリスクに対する懸念です。ここでは、その不安を生む原因と対処法を解説します。
不安の原因:スキルマッチとプロセスの不透明さ
①スキルマッチへの不安
求人票の仕事内容が「Webアプリの開発」のように漠然としている場合、エンジニアは自分のスキルが活かせるのかどうか、正確に判断できません。それが「自分にはマッチしないのではないか」「入社後に苦労するのではないか」といったネガティブな予測を働かせてしまい、応募を躊躇する原因になります。
②選考プロセスの不安
選考の全体像(回数や内容)が見えないことも、心理的なハードルを高めます。「技術選考はあるのか」「誰と面接するのか」といった情報がないと、転職活動にかかる時間や手間、スケジュール感が読めず、不安を感じてしまいます。
対処法①:現状と短期的な目標をセットで示す
仕事内容に関する不安を解消するには、定常業務の内容だけでなく、自社の率直な現状認識と直近の目標をセットで提示することが効果的です。
- 現状(As Is):現在のチーム体制や、取り組んでいること、その中で開発がどこまで進んでいるか?
- 短期的な目標(To Be):直近半年〜1年でどのような課題を解決したいか、どんな状態を目指しているか?
このように、As IsとTo Beの両方を示すことで、エンジニアは「そのギャップを埋めるために自分のスキルがどう活かせるか」を頭の中でシミュレーションできるようになります。 明確なゴールとスタートラインが示されることで、入社後の貢献イメージが湧き、不明瞭さに起因する不安は解消されます。
対処法②:選考プロセスの透明化
選考プロセスへの不安に対しては、求人票の段階で選考フローを可視化し、ブラックボックスをなくすことが重要です。
たとえば、「カジュアル面談 → 1次面接(技術課題あり) → 2次面接(現場リーダー) → 最終面接(CEO)」といったように、ステップや会う相手を具体的に明記しましょう。 選考プロセスを包み隠さず公開する姿勢は、候補者に安心感を与え、企業への信頼感を醸成することにもつながります。
カジュアル面談時の不安とその解消法

応募の意思を固める前のカジュアル面談は、お互いの理解を深めるための重要な場ですが、ここでもエンジニアが不安を抱えてしまうリスクはあります。
不安の原因:カジュアル面談の内容についての不透明さ
①対話の質への不安
「技術的な詳細を聞きたいのに、技術に詳しくない人事担当者が出てきて、表面的な会社説明で終わってしまうのではないか」という懸念です。わざわざ時間を割いたとしても、それほど得るものがないのではという不安が、面談の承諾を躊躇させる原因になります。
②実質的な選考につながる不安
「カジュアル面談と言いながら、実質的には選考として評価されてしまうのではないか」という警戒心です。「ざっくばらんに」と言われて本音を話したら、それが裏で評価され、後の選考で不採用の理由にされるのではないかという不信感が、面談受託のハードルになってしまいます。
対処法①:技術がわかるメンバーの同席と目的の明示
上記の不安を解消するには、「誰と、どんな会話ができるか」を事前に約束することが不可欠です。
- 「誰と話せるか」を伝える:「当日は現場のテックリードとお話しいただけます」というふうに技術的な深い対話ができることを明記し、保証します。
- 「何を話せるか」を伝える:「合否の判定は行いません」「まずは相互理解のための場です」と目的を明確に伝え、評価される場ではないという安心感を与えます。
対処法②:自社の本気度を行動で示す
さらに一歩進んで、候補者に「この面談は受ける価値がある」と確信してもらうためには、企業の本気度を行動で示すことも有効です。
株式会社ココペリの事例
同社では、スカウトメッセージに「CTO面談確約」であることを明確に打ち出しています。 多忙なCTOがあえて時間を割くことは、「あなたを単なる応募者として処理するのではなく、一人の技術者として尊重し、対話したい」という強いメッセージになります。 「トップと直接技術の話ができる」という魅力と、「そこまでしてくれるなら」という信頼感が、候補者の背中を押し、面談への参加率を高めています。
詳しくはこちら:
カジュアル面談後(本選考中~内定承諾まで)の不安とその解消法

選考が進み、入社が現実味を帯びてくるフェーズでは、より生活に密着したシビアな不安が生まれがちです。しかし、こうした不安こそ候補者は口に出しづらく、企業の知らないところで辞退の引き金になってしまいます。
選考中に生じがちな不安
①言い出しにくい懸念(条件面・環境面)への不安
給与や評価制度、残業の実態などは、候補者にとってライフスタイルに関わる極めて重要な情報です。 しかし、面接の場でこれらを質問することは「権利ばかり主張する人だと思われないか」「仕事の中身より待遇を気にしていると思われないか」と思われる恐れもあるため、候補者は遠慮してしまいがちです。その結果、解消できないまま抱え込んでいたモヤモヤが、後になって顕在化してくることもあります。
②現場の「空気感」への不安
面接に出てくるCTOや人事担当者が魅力的でも、入社後に「実際に隣に座って働く現場メンバー」と気が合うかは別問題です。 「現場のメンバーはどんな雰囲気なのか」「チームに馴染めるだろうか」という点は、現場メンバーとの接点がない限り、最後まで解消されない不安要素として残る可能性があります。
対処法①:アンケートで潜在的な懸念を回収する
候補者からの質問を待つのではなく、企業側から能動的に「言い出しにくい不安」を拾いに行く仕組みを作りましょう。
有効なのが、面談後に実施するアンケートです。対面では聞きづらい給与や残業に関する質問も、テキストベースのアンケートであれば心理的なハードルが下がり、本音を書きやすくなります。「聞きそびれたことや、少しでも気になることはありませんか?」と水を向けることで、企業側の誠実さも伝わります。
対処法②:懸念払拭のための「場の切り分け」
アンケート等で不安が可視化されたら、それを解消するための場を設けます。ここで重要なのは、選考の場と、懸念を払拭し安心するための場を明確に分けることです。
- 選考の場:スキルやカルチャーマッチを見極める面接・選考。
- 安心するための場:現場メンバーなどを相手に、選考要素のないカジュアルな交流
たとえば、人間関係やチームの雰囲気に不安があるようなら、選考とは別に現場メンバーとのランチをセッティングします。「これは選考ではないので、リラックスして何でも聞いてください」と伝えることで、候補者は評価を気にせず、自分が働くイメージを具体的に確認できるようになります。
候補者の不安を解消し、自社への信頼に転換する
エンジニア採用において、「選ばれる企業」になるためには、魅力のアピールと同じくらい不安の解消が欠かせません。
- 応募前: 「現状と目標」をセットで示し、スキルマッチの不安を解消する。
- 面談時: 出席するメンバーと面談目的を明示し、対話の質を保証する。
- 選考中: アンケートで懸念を回収し、選考外の場で払拭する。
転職は大きなライフイベントなので、候補者はリスクや不確実性に敏感であり、どうしても不安を抱えがちです。 しかし、その不安に対してコミュニケーションの過程で一つひとつ丁寧に対処していけば、それは「誠実な企業だ」という信頼に変わり、逆に強力なアトラクトにつながります。 ぜひ、候補者の心に寄り添った選考体験を設計してみてください。
AIが「作る役割」を担う今、エンジニアの役割は「技術で事業成長を導く」ことへと変わりつつあります。
採用市場では、従来の開発力に加え、「事業貢献」に直結するスキルの重要性が高まっています!
- 課題解決能力:顧客やビジネスへの深い理解で、技術を価値創出につなげる
- 技術応用力:新しい技術(特に生成AI)でチームの生産性を高める
- マネジメント能力:戦略策定・組織運営・人材育成で事業成長を牽引する
こうしたスキルを持つ人材は、従来の経歴書だけでは見極めが困難です。
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