立ち上げ期の組織にとって、エンジニア採用は容易ではありません。エンジニアリングとアジャイル開発を軸にDX支援を展開するKDDIアジャイル開発センター株式会社(以下、KAG)でも、事業戦略の実現に向けて、あえてチャレンジングな採用計画を掲げていたこともあり、採用の推進力をさらに高め、より一段ギアを上げていく必要がありました。またその中でもKAGのカルチャーとマッチする採用戦略は大事にしたいという想いもありました。そうした状況の中でKAGが導入したのが、エンジニアに特化した採用プラットフォームであるLAPRASです。GitHubやQiita、Zennといったアウトプットから、技術力だけでなく価値観やカルチャーフィットまで見極められる点に可能性を感じたといいます。LAPRASの活用を通じて採用の手応えをつかむまでの取り組みや、その背景にある考え方について、採用担当者の渡邊さんに伺いました。
※KAGの組織設計の思想については、こちらの記事もご覧ください。
《プロフィール》
リクルーティングスペシャリスト
渡邊 幸一郎さん:
新卒からHR領域に携わり、採用広告営業・採用コンサルティング・事業会社での人事立ち上げなど多様な立場で経験を積む。2024年、KDDIアジャイル開発センター株式会社に入社。リクルーティングスペシャリストとして採用業務全般を担いながら、人事組織の中核を担っている。候補者選定からスカウト送信、返信対応、そしてすべての面接・面談への同席まで、採用の「きっかけ」から「決定」まで一貫して関わるスタイルを貫いている。非エンジニアながら、ツールの機能を駆使して技術とカルチャーの両面から候補者を見極める。
KDDIアジャイル開発センター株式会社(KAG):
KDDIグループの一員として、アジャイル開発とサービスデザインの知見を活かし、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する専門組織。2022年に設立され、KDDI本体の開発組織を母体として発足した。ユーザー視点での価値創出を重視し、短いサイクルでの継続的な改善や仮説検証を実践することで、迅速かつ柔軟な開発を実現している。リモートワークや全国各地のサテライト拠点を活用し、多様な人材が地理的な制約なく活躍できる体制を整備。アジャイルな開発文化と自律的な組織運営を軸に、顧客企業や社会に対して本質的な価値を提供し続けることを使命としている。
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採用ボリューム不足の課題と、エンジニア採用に特化した媒体への期待
― LAPRAS導入前の採用状況について教えてください。
採用は職種を問わず簡単ではなく、特にエンジニアやスクラムマスターといったポジションでは、採用の勢いをさらに強めていくことが重要でした。事業成長のスピードに合わせて、採用も同じ熱量でドライブできるよう、打ち手を増やしながら加速させていく局面でした。当時はLAPRAS以外のスカウトサービス1つのみを使っていましたので、採用ボリュームを増やすためにいくつかの媒体を検討したいと考えていました。同時に、人数を増やすだけではなく、KAGのカルチャーや働き方をきちんと届け、共感を起点に出会いをつくる採用戦略も並行して推進していく必要がありました。
― 複数のサービスを比較検討された中で、最終的にLAPRASが選ばれた理由は何だったのでしょうか。
従来使っていたサービスは総合職やビジネス職も含む幅広い媒体だったので、よりエンジニア職に特化した媒体が必要だったんです。LAPRASなら、エンジニアやスクラムマスターといった職種の方に多くアプローチできる点に惹かれました。特に決め手となったのは、GitHubやQiita、Zennといったエンジニア系のプラットフォーム、それからXなども含めたソーシャルメディアと紐づいて情報を取得し、技術力をスコアとして可視化している点です。
弊社は情報発信を積極的に楽しく行なっているメンバーが多く、日々の開発でも「技術が好き」という空気感が自然とありますので、候補者の方も同じような価値観を持っているかを確認したかったんです。単に「このプログラミング言語ができる」という情報だけでなく、「どんな思想で開発しているのか」「どういった領域に関心があるのか」といった、その方の技術に対する姿勢や価値観まで見えてくる。これは他のサービスにはない強みだと感じました。
― 導入後に感じたメリットはありますか。
機能改善のスピード感も大きなメリットです。例えば「こういう機能があると便利です」といった要望をCSの方にお伝えすると、実際に機能としてリリースされることがありました。自動リマインドメール機能は、当初はなかった機能だと思うのですが、要望を出したところすぐに実装されたんです。弊社自身がアジャイル開発を軸にしている会社ですので、そういった姿勢に共感しますし、使っていて信頼感がありますね。

1人で全選考に寄り添う運用と、個別化スカウトの徹底
― 現在の運用体制について教えてください。
人事部門で中途採用の実務を担当しているのは私1人ですので、すべての候補者の選定からスカウト文面の作成、送信まで私が行っています。日程調整は派遣スタッフさんに手伝ってもらっています。カジュアル面談以降は現場のメンバーや経営陣が選考を担当します。現場のメンバーや経営陣にもLAPRASのアカウントを発行していまして、LAPRASの候補者プロフィールは常に確認できる状態で選考に臨んでもらっています。
― 1人ですべてを担当されているのは、かなり大変ではないでしょうか。
確かに業務量は多いです。ただ、1人だからこそ、候補者の方お一人お一人を深く理解できますし、一貫した対応ができるというメリットもあります。最初のスカウトから内定まで、同じ担当者が関わり続けることで、候補者の方にとっても安心感があるのではないかと思っています。実際、入社後に「最初から最後まで同じ人事の方が対応してくれたので安心できました」という嬉しい声をいただくこともありますね。
― 候補者を選定する際は、どのような観点で見ていますか。
KAGの開発は、チームによって使用しているプログラミング言語やフレームワーク、アーキテクチャなどは様々です。またフロントエンドだけ、バックエンドだけ、という切り分けではなく、必要に応じてフロントからバックエンドやインフラまで含めて一気通貫で関わる場面が多いです。そのため、言語やフレームワークの経験はもちろん大事にしつつも、これまで幅広い領域に触れてきたか、これからそういう挑戦をしていきたいかは、特に重視しているポイントです。あわせて、どんなアウトプットを積み重ねているかも大切にしており、GitHubなども含めて一人ひとり丁寧に見ています。
ただ、技術だけでなく、その方がどういった環境で開発されてきたか、どんなチームで働いてきたかといった背景も重視しています。弊社はチーム開発を大切にしている会社ですので、チームでの開発経験や、チームに対してどう貢献してきたかといった点も、丁寧に見るようにしています。
― LAPRASでは個々の候補者に対して、個別にパーソナライズされたスカウトを送ることを推奨していますが、この点についてはどう捉えていますか。
個別にスカウトを送るからこそ、一人ひとりの候補者とじっくり向き合うことができていると感じています。正直、最初は「同じ文章を一括で送ったほうが効率的なのに」と思ったこともありました。ただ、実際に個別にスカウトを送る方針で運用してみると、必然的に一人ひとりのプロフィールを丁寧に読み込むようになるんです。その結果、スカウト文面の質が上がりますし、返信率も高くなる。効率だけを追求するのではなく、質を重視した採用活動ができているのは、この設計思想のおかげだと感じています。
― 渡邊さんはエンジニア経験がないとのことですが、技術面の評価はどのように行っていますか。
確かに私自身はエンジニア経験がないため、GitHubを見てもスキルレベルを正確に判断することは難しいです。そこでスコア機能が一つの基準になっています。スコアがすべてではありませんが、例えば0〜1ポイントの方と3〜4ポイントの方では、アウトプットの量やGitHubの内容に違いがあると考えられます。非エンジニアの採用担当にとって、このスコアは有効な指標になってくれると思います。
また、技術の詳細は理解できなくても、記事の書き方や内容から、弊社のカルチャーと合うかどうかを判断することはできます。弊社はチーム開発を非常に重視していますので、1人の強いエンジニアが個人で開発を進めるというよりも、4〜5人のチームで協力して前に進むというスタイルを大切にしています。例えば、「チームでこういう課題に直面して、こう解決しました」という内容の記事を書いている方は、チーム開発への理解が深い可能性が高いですし、「後輩エンジニアにこう教えています」といった内容があれば、育成やナレッジ共有にも関心がある方だと推測できます。
― LAPRAS Social Searchも活用されているそうですね。
はい。chrome拡張機能のLAPRAS Social Searchを使ってconnpassと連携しています。弊社自身もconnpassでイベントを開催していますので、弊社のイベント参加者はもちろん、アジャイルやスクラムといったキーワードのイベントに参加している方々にスカウトを送っています。技術的なスキルだけでなく、「どんなコミュニティに参加しているか」という情報も、その方の志向性を知る上で非常に重要なんです。実際、後ほどお話しする採用成功事例の1人は、この機能を活用したアプローチによるものです。
― 返信率はいかがですか。
使い始めてからの平均は17.4%です。他の媒体と比較すると最も高い返信率で、高い月には30%を超えることもあります。一般的なスカウトサービスの返信率は10%前後と言われていますので、比較的高い水準を維持できていると思います。
― 返信率を高めるために工夫されている点はありますか。
転職意欲の高い方を優先する、プロフィールを更新した方を優先するといった基本的な工夫に加えて、スカウト文面の個別化を徹底しています。技術情報だけでなく、Qiitaの記事内容やGitHubの活動について具体的に言及し、「しっかりと拝見して、KAGのカルチャーと合うのではないか」というメッセージを伝えるようにしています。
例えば、「Qiitaで◯◯についての記事を拝見しましたが、◯◯という考え方に共感しました」とか、「GitHubで◯◯のプロジェクトに貢献されているのを拝見しました。弊社でも同じ技術を使っていますので、ぜひお話ししたいです」といった具合です。テンプレートを使わず、その方だけに向けたメッセージを書くことで、「ちゃんと見てくれている」という印象を持っていただけるよう心がけています。
― スカウトメールは渡邊さんご自身の名前で送られているのですね。
はい。他社では経営層や部門長の名前でスカウトを送り、返信後は採用担当が対応するというケースもあると思いますが、私は候補者の立場で考えると、途中で担当者が変わるのは違和感があると感じています。最初から最後まで同じ担当者が関わることで、信頼関係を築きやすくなると思っていますし、候補者の方も安心してやり取りできるのではないかと考えています。転職は人生の大きな決断ですから、その最初の接点となるスカウトから、最後の内定承諾まで、一貫して同じ人が寄り添うことに意味があると思っています。
私は中途採用のすべての面接・面談に同席しています。面談や面接の中での質問は現場のメンバーに任せますが、必ず同席しています。これは弊社の組織文化でもあるのですが、「人事は候補者の味方である」という考え方を大切にしています。人事がすべてのプロセスに同席することで、候補者の方が感じている不安や疑問をその場でキャッチして、フォローすることができます。
― 選考フローについても教えてください。
カジュアル面談、1次面接、2次面接という流れです。カジュアル面談は現場の当該職種の担当者が対応します。1次面接は部長やテックリードが担当し、技術面を中心に確認します。2次面接は経営陣が担当し、カルチャーフィットを中心に見ています。その中で、「この方と一緒に働きたいか」「弊社のビジョンに共感いただけるか」といった点を重視しています。
なお、面接は100%オンラインです。弊社は約250名の社員がいますが、リモートで働く社員も多いので、面接もオンラインで行うのが自然な流れです。

connpass経由と再アプローチで実現した、シニアエンジニア2名の採用
― それでは、採用成功事例について教えてください。
1人目は、connpassに参加された方に対してスカウトを送り、採用に至ったケースです。弊社が開催したスクラムやアジャイル関連のイベント、あるいはそうしたキーワードのイベントに参加されていた方です。2人目は、通常の検索で見つけた方ですが、弊社のことをすでにご存知で、弊社の情報発信もご覧になっていた方でした。
― まず1人目の方について、詳しく教えてください。
40代前半のシニアエンジニアの方です。エンジニアとしての実務だけでなく、今後はスクラムマスターとして組織に貢献していきたいというキャリア志向をお持ちでした。弊社のシニアクラスの等級定義には、チーム内だけでなく組織を横断した貢献という要素が含まれています。ご本人の志向と弊社が求める要件が非常にマッチしていました。
技術面では、バックエンド・サーバーサイドに強みをお持ちで、即戦力として活躍いただけると判断しました。同時に、フロント部分も強化していきたいというご意向があり、弊社が求める部分と、ご本人が学びたい部分がマッチしました。また、弊社はAI駆動開発やAI支援開発を事業の軸としていますが、この方もAI関連の開発に関心をお持ちで、この点も大きなポイントでした。
― スカウトを送る際、どのような点をアピールされましたか。
スクラム未経験のチームに輪読会や教育を取り入れて、アジャイル開発を根付かせてこられたご経験が非常に印象的でした。プロセス改善を通じてチームを成長させ、組織全体の知見を広げてこられた実績は、弊社が目指す自立的なチーム作りと重なる部分が多いと感じました。技術的なリードだけでなく、チームマネジメントや文化醸成に力を注がれている点も非常に魅力的でしたので、そうした内容をお伝えしました。
― この方のキャリアについて教えてください。
正社員として複数社でのご経験がありました。シニアクラスの方の場合、1エンジニアとして独り立ちしていることは大前提として、後進育成や技術の横展開、組織課題の解決といった領域に目線が向いている、あるいはそうした経験をお持ちの方を求めています。この方の場合、各社で技術リードやメンターとしての役割を果たしてこられた実績があり、弊社でもそうした役割を期待できると判断しました。
― 選考の中で印象に残っていることはありますか。
やや抽象的な表現になりますが、「明日から弊社のどこかのスクラムチームに入っても、違和感なく馴染んでいただけそうだ」という手応えを、オンラインでのやり取りの中でも感じました。弊社はリモート勤務の社員が多く、チームでの開発もオンラインが中心です。この方は地方にお住まいで、現在もリモートワークをされていました。そうした環境でも違和感なくコミュニケーションが取れたことは、お互いにとって安心材料になったと思います。
― 2人目の方について教えてください。
この方は、一人ひとりを見ていく中で見つけた方です。特徴的なのは、2回アプローチをしている点です。最初にスカウトを送ったのが今年の2月で、再度アプローチしたのが10月でした。1回目は開封はされていましたが返信はありませんでした。ただ、プロフィールを見る限り、技術的にも志向性としても弊社とマッチする方だと感じていたので、タイミングを変えて再度アプローチすることにしました。
― 2回目のスカウトでは、どのような工夫をされましたか。
「以前メッセージを送らせていただきました」という旨を明記し、「日にちが空きましたので、改めてお声がけさせていただきました」という内容にしました。候補者の方もプロフィールを更新されていましたので、それに合わせて文面も変更しました。新しく追加されたQiitaの記事について触れたり、GitHubでの新しいプロジェクトに言及したりして、「継続的に見ています」というメッセージを伝えるようにしました。
― この方のどのような点に魅力を感じられましたか。
エンジニアとしてだけでなく、PMやPLとしてのご経験をお持ちの点です。弊社ではアジャイル開発(スクラム)を基本としつつ、お客様のご状況やご要望に応じて、アジャイルの考え方をベースにしながら、工程を整理して段階的に進めるアプローチを取ることもあります。そうした際に、PMやPLとしての経験が活かせるのではないかと考えました。この方は7年以上のPM経験をお持ちでしたので、プロジェクト全体を俯瞰する力や、ステークホルダーとのコミュニケーション能力も高いと判断しました。
また、基本的にはテックリードとして1社で長く勤務されており、ミスが許されない堅実な環境で、品質やリスクに向き合ってこられたご経験も、とても魅力的でした。
― この方が内定承諾に至った理由は何だと思われますか。
弊社を含め4〜5社と並行して選考を進めておられたようですが、弊社が最も早く内定を出しました。ファーストタッチから内定まで1ヶ月弱で、カジュアル面談以降、毎週何かしらの選考ステップを進めていました。選考のスピード感と接触回数が、意思決定の一因になったのではないかと推測しています。
― connpass経由でのアプローチは、通常の検索では見つからない方にもリーチできるということでしょうか。
はい。通常の検索軸は技術や言語が中心ですので、そこでは引っかからない方もいらっしゃいます。connpassで検索して初めて出てくる方は、技術軸では合致しないかもしれませんが、考え方やカルチャーの面でマッチ度が高い傾向があります。実際、connpass経由でアプローチした方は、カジュアル面談の段階から話が盛り上がることもあります。共通の関心事があるので、最初から親近感を持ってお話しできるんです。
シニア層の採用強化へ
― 今後の採用方針について教えてください。
引き続き、エンジニア、スクラムマスター、プロダクトオーナーリード、サービスデザイナーといった職種がメインになります。採用人数については目標値に近い数字を実現できていますが、一方で、シニアエンジニア、テックリード、あるいはマネジメント層を目指すエンジニアといった、より高いご経験をされてきた方の人材確保は、まだ課題が残っています。
来年度の計画を立てているところですが、そうした層の採用に重点を置いていきたいと考えています。組織が成長していく中で、技術的なリードだけでなく、組織横断的な課題解決や、事業戦略にも関わっていけるような人材が必要になってきます。
― 最後に、渡邊さんにとってLAPRASはどのような存在でしょうか。
今年度は本当に助かっています。採用人数の面でも成果が出ていますし、入社された方々も活躍されています。例えば、入社2〜3ヶ月で技術選定でのリードをしていたり、外部イベントへの登壇や社内AIハッカソンなどで活躍されている方もいらっしゃいます。技術力だけでなく、カルチャーフィットも含めて丁寧に見極めることができているからこそ、入社後のミスマッチが少なく、早期に活躍いただけているのだと思います。単なる採用ツールではなく、弊社の採用戦略を支えるパートナーのような存在です。
― 本日はありがとうございました。
AIが「作る役割」を担う今、エンジニアの役割は「技術で事業成長を導く」ことへと変わりつつあります。
採用市場では、従来の開発力に加え、「事業貢献」に直結するスキルの重要性が高まっています!
- 課題解決能力:顧客やビジネスへの深い理解で、技術を価値創出につなげる
- 技術応用力:新しい技術(特に生成AI)でチームの生産性を高める
- マネジメント能力:戦略策定・組織運営・人材育成で事業成長を牽引する
こうしたスキルを持つ人材は、従来の経歴書だけでは見極めが困難です。
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