目次
はじめに
近年注目を集めているのが、CX、EX、EVPです。しかし、これらの定義や違いを理解できていない方もいるかと思います。
そこで本記事では、それぞれの定義、そしてなぜこれらが注目を集めているのかその背景も説明します。
Candidate Experience (CX) とは
CXとは、採用広報や応募、面接といった採用候補者が企業と出会ってから選考を終了するまでの一連の体験を指します。たとえ待遇や仕事内容が魅力的だったとしても、選考全体の体験が悪ければ、選考途中に辞退されてしまったり、そもそも応募してもらえなかったりします。そのため、候補者に“良い”体験をしてもらうことが重要です。
CXを高める施策
CXを高める施策として、主に以下があります。
1.面接官のトレーニング
ロールプレイや座学を通じ、面接官としてのスタンスなど、面接官自身の質を高めます。
2.採用要件の明確な定義
採用要件を明確に定義することで、候補者は自分が求める要件と会社が求める要件がマッチしているか確かめられるため、応募へのハードルが下がります。
3.候補者からのフィードバック
選考を終えた候補者から面接についてのフィードバックをもらい、選考プロセスや方法の改善に活かします。
なぜCXが重要なのか
CXが注目されている背景に、人材採用の激化があります。「doda転職求人倍率レポート」によれば、エンジニアの求人倍率は2019年11月で10.29倍の超売り手市場で、常に1人の候補者を複数の企業が奪い合うという構図になっています。そのため、いかに自社の魅力を感じてもらえるかが大事です。
※「doda転職求人倍率レポート」を参照
また、CXを高めることは転職潜在層へのアプローチにも有効です。エンジニア不足がますます拡大している中、エンジニアの転職潜在層が約49万人いるのに対し、転職顕在層は約1万2,000人しかいません。なので、転職潜在層に対しても自社の情報提供や関係構築をする必要があります。
CXが良ければ、候補者はその時の良い体験を知人等に伝えてくれるため、それが転職潜在層へのアプローチの一つになります。現代において、選考体験をSNSや転職口コミサイトに書くのが当たり前になってきているため、これまで以上に良い体験を提供するのが重要になるでしょう。
実際に、良い体験をした候補者の97%が知人に応募を勧めるというデータもあります。
Employee Experience (EX) とは
EXとは、職場でのコミュニケーションやIT環境など、社員が働くことを通じて日常的に得られる体験のこと。EXを高めることで社員のモチベーションや生産性の向上、定着に繋がります。せっかく採用した社員にすぐ離職されてしまっては採用コストが無駄になってしまうため、EXを高めて社員に定着してもらうことが大切です。
EXを高める施策
EXを高める施策として、主に以下があります。
1.快適な職場環境の提供
健康的で美味しい社食、最新テクノロジーの導入、オフィスやリモート環境の整備などをし、社員が快適に働きやすい職場環境を作ります。
2.ダイアログ (対話) の導入
正直にお互いフィードバックし、皆で問題解決を行うことで組織の一体感を高められます。
LAPRASでも相互理解と価値観理解を目的に、クォーター毎にダイアログの場としてオフサイトを実施しています。
Employee Value Proposition (EVP) とは
EVPとは、企業の業績に対する見返りとして社員が受け取る報酬と福利厚生、ワークライフバランスやキャリア開発など、企業が社員に提供できる価値のことです。優秀な人材を獲得することは今まで以上に難しくなっているため、EVPを一貫して効率的に伝えることがとても重要になってきています。
EXとEVPの違いは、EVPは報酬やワークライフバランスなど企業が社員に提供できる価値なのに対し、EXは社員が働くことを通じて日常的に得られる全体の体験を指します。つまり、EVPはEXを高めるための一つの手段なのです。
なぜEXとEVPが重要なのか
高齢化社会により労働人口が減少しており、ますます人材の獲得・定着が重要になってきているためです。また、中途人材やフリーランス市場の活発化、グローバル化による様々なバックグラウンドを持つ人材も増加しているため、多様な働き方に対応し、働きやすい環境を整備する必要があります。
アメリカにおける「働きがいのある会社100社」にリストアップされている企業は、同業他社よりも年間2.3%から3.8%高い株式利益率を達成したというデータもあります。
CXとEX (EVP) 向上をセットで考えるべき理由
※「Dose Your Employee Experience Strategy Improve Performance?」をもとに作成
それは、面接〜入社・定着まで一貫したUXを提供するためです。たとえ選考時の体験が良く入社への期待値が高かったとしても、入社したら想像と違っていた場合不満が生じてしまい、ミスマッチが起きてしまいます。それを防ぐためにも、認知から入社、定着までの体験を通して期待値調整を行い、一貫したUXを提供することで、ミスマッチを防ぐことができます。
おわりに
CX、EX (EVP) のどちらにも注目が集まっている背景として、優秀な人材獲得の難しさがあります。労働人口が減少している上、需要と供給に大きな差があるため、なかなか人材を獲得できません。また、たとえ獲得できたとしても、入社後にミスマッチが生じてしまえばすぐに離職されてしまうため、人材の定着にも取り組まなければなりません。そこで近年多くの企業がCXとEX (EVP) の向上に取り組んでいるのです。
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