採用難易度が高い優秀なエンジニアを獲得するには、今現在エンジニアが何を重視し、何を求めて転職するのかを把握したうえで戦略を立案する必要があります。
今回は、2024年1月24日に開催されたエンジニア採用の最新トレンドに関するイベントレポートをお届けします。
同イベントには、株式会社ダイレクトソーシングでカスタマーサクセスマネージャーを務める高木さんと、LAPRAS社の共同創業者である二井が登壇。最新調査データをもとに、ITエンジニアのキャリア・転職に対する意識と実態を、トークセッション形式で最新のトレンドを徹底的に紐解きました。
《プロフィール》
株式会社ダイレクトソーシング/カスタマーサクセスマネージャー/高木雄平さん(写真右)
SIerから転職し株式会社ダイレクトソーシングへ入社。 前職では、会計システムの開発エンジニアとして、設計・開発・テスト・保守を製造業の顧客向けに担当。 現職ではソーシングスペシャリストとして、IT領域含む様々な採用要件に合致する候補者に向け、累計数万通のダイレクトスカウト業務を実施。 また、自社のマーケティング施策のディレクションやMAツールの導入など、マーケティング的な動きも兼任。
LAPRAS株式会社/共同創業者/二井雄大(写真左)
京都大学経済学部卒。楽天に入社し、ECコンサルティング職に従事。IoTベンチャーのQrioにて事業開発部マネージャーを経験後、株式会社scouty(現LAPRAS株式会社)を共同創業。創業以降、営業/CS/マーケティング/バックオフィスなど開発業務以外全ての領域を経験。これまでに200社超のカスタマーサクセスを担当。
目次
エンジニアのキャリア・転職に対する意識
高木さん:本日は、エンジニアの生の声から直近のトレンドを読み解き、企業側がどんなアクションを取っていくべきかを考えていきます。データとして使うのは、当社が20〜59歳の男女のエンジニア500名に向けて、2023年12月に実施したアンケート結果です。
高木さん:まずは、エンジニアの転職・キャリアに対する意識についてお話ししていきます。下記の図は、転職に対してどのような意識を持っているのかをまとめたデータです。
転職を具体的に考えている・いないに関わらず、全体の70%のエンジニアが、転職や次のキャリアに対して前向きであると回答しました。
高木さん:本格的に転職活動をしている方は25%程度ですが、「面白い話があれば聞いてみたい」と考える方が半数近くいらっしゃる点は、無視できないところです。
人事担当者は、そういった転職潜在層に振り向いてもらうためにアクションしていく必要がありそうですね。潜在層へのアプローチ方法で「今これが来ているな」というトレンドもあれば教えてください。
二井:おっしゃるとおり濃い赤のゾーン(転職を具体的に考えており、応募をしている)に進む前に、どんな行動を取るかは重要です。しかし、採用にどれだけ投資できるかは、企業規模によっても変わってきます。
まずは潜在層を気にせずに目標を追って、「潜在層も狙っていかないと、これ以上の採用は難しい」となったタイミングで投資を始めてもいいんじゃないかと、最近の採用市況を見て考えを変えました。
高木さん:積極的にアプローチをしなくても、潜在層が転職を考えたときに必要な情報が載っている媒体を用意しておいて、タイミングを見てアクションを取っていくことが重要ですね。
先ほどの図を年代別で表示したデータを見ると、20代、30代は潜在層が多いので、獲得したい年代によってアクションを変えたり、戦略を立てたりする必要もありそうです。
高木さん:転職を経験した回数別の傾向でも、全体の70〜80%くらいの方が潜在層です。転職を5回以上されてる方は転職への温度感が高いのは当然として、転職未経験者の方も前向きに転職を考えている方が一定数いらっしゃいます。
受託開発企業における採用の勝ち筋
続いて、現職での開発形態と、転職先で希望する開発形態についてのアンケート結果を見てみましょう。
高木さん:現職の状況としては、受託開発をしている方と自社開発をしている方の割合は、ほぼ半々です。一方で、転職先で希望する開発形態については、「わからない」「IT関連に転職するつもりはない」を省くと、約70%の方が自社開発を希望する傾向が見えました。
自社開発に魅力を感じているエンジニアが多いというのは、なんとなく認識していましたが、今回のアンケートでより明白になったと感じています。
二井:自社開発を希望するエンジニアの割合が高いのは、データの通りだと思います。ただし、自社開発企業は業界全体の4割程度にすぎないので、その前提を踏まえてデータを読み解くのも面白いですね。
それこそ5年前くらいのWeb界隈では「すべての会社が自社開発になっていく」という風潮もあったかと思いますが、結果としては受託開発企業はまだまだ強いです。給与水準も高いですし、自社開発じゃないと採用できないなんて事態は起きていないのでご安心ください。
ただ、受託企業はサービス内容やストーリーで訴求しにくい部分があるので、採用担当者の難易度は少し高くなると思います。
高木さん:受託企業の場合、具体的な事例やプロジェクト名を出すのは難しいケースが多いですよね。私も採用支援をするなかで、できる範囲での情報開示をしつつ、社員にフォーカスをして魅力を伝えていきましょうとお話ししています。
SIerやSESなどの受託企業が魅力を打ち出す方法としては、他にどういったものがあるでしょうか?
二井:そうですね。給与水準の高さ、働きやすい環境などは、受託企業の基本的な勝ち筋にはなると思います。
高木さん:もう少し突っ込んだお話をさせていただくと、受託企業の中でもヒエラルキーみたいなものがありますよね。例えばトップは外資系のITコンサルで、次が国内のSIer、そしてSESが続くような形で。
魅力の打ち出しで苦戦されるSES企業さんは多いのかなと思うのですが、具体的な勝ち筋はあったりするんでしょうか?
二井:ここに関しては、僕も長らく考えているトピックです。ジュニアの採用に関しては、未経験からの育成を前提としていたり、一人前のエンジニアになるまでのプロセスが構築されていたりと、しっかり機能している企業が多く、そこが勝ち筋と言えると思っています。
実際に採用で勝っているSES企業は「入社して数年働けば、実績が積めてエンジニアとしてレベルアップできる」といったメリットを上手く提示して、期待値調整ができている印象です。
ただ、ミドル以上の採用に関して、しっかり採用できているSES企業は正直に言って多くはないです。私の個人的な意見としては、ジュニアで採用したエンジニアを育成しながら、給与水準などの条件を満たして、転職されないように環境を整えていくことが勝ち筋になっていくのではないかと考えています。
高木さん:やっぱり難しい部分ですよね。私の実体験をお話しすると、当社に入る前に内定をいただいたSES企業で、シニアエンジニアの方に「なぜ、この会社を選んだのか」と聞いたことがあったんです。
その方は「SIerとSESで悩んだけど、この会社は関わりたいプロジェクトや身につけたいスキルセットを自分で取捨選択できるから」とおっしゃっていました。
SESの場合、トップダウンでアサインされるのではなく、意思を尊重してもらえる会社もあるので、キャリアプランに沿ってスキルアップしていくことも可能なんだと感じました。
n数1なので、すべての方に当てはまるとは限りませんが、そういった強みを打ち出していくのもSES企業の勝ち筋のひとつかと思います。
採用に繋げるための情報発信
高木さん:転職を考えるタイミングとして一番多いのは、他社の魅力的な部分を知ったとき、面白い会社を見つけたときという結果が出ています。
高木さん:いつどこでエンジニアに見つけてもらえるかわからないので、企業側は常に情報発信して、自社の魅力をアピールしていくことが大事になってきそうですね。
二井さんが「ここは情報発信が上手いな」と感じている企業はありますか?業態・業種別に、具体的な会社で教えていただけると嬉しいです。
二井:たくさんありますが、採用レイヤー別、業態ベースで数社を挙げるなら、まずはやっぱりメルカリさんです。
採用担当のみなさんはご存知だと思いますが、5年ほど前から情報発信に力を入れていらっしゃって、転職を検討したときに欲しい情報が全部揃っています。
最近はターゲットのレイヤーが被りにくくなっているので、他社と競合するケースは減っているかもしれませんが、お手本のひとつであることは今なお変わらないですね。
もう1社が、我々が積極的に推している会社でもあるログラスさんです。業態としては経営管理Saasなので、エンジニア採用においては「エンタープライズでちょっと面倒くさそう」と、ネガティブな印象を持たれがちです。
テキストだけでは面白さが伝わりにくい企業だと思うのですが、実際に優秀なエンジニアさんをたくさん獲得しています。
イベントでご一緒した際に、CTOの坂本さんは「自社がどう面白いのかを伝えるための努力をずっとしてきた」とおっしゃっていました。スカウトに至るまでのストーリーを磨き込んでテキストに落とし込み、カジュアル面談では1件1件フィードバックループを回し続け、それをやり切ってきたそうです。
受託企業では、ゆめみさんは強過ぎるくらい強いですね。採用広報が本当に上手いです。あとはフラーさんも、いわゆる “受託っぽさ” を削る戦略が上手いと感じています。スタートアップでクライアントワークをする企業というポジションで、候補者を惹きつける情報発信ができている会社だと思います。
高木さん:マインドだったり、組織体制だったり、情報発信が上手くて採用に成功している会社に共通している部分は何かありますか?
二井:興味を持ってくれたエンジニアに、きちんと受け止めてもらうための情報開示をしているところが、共通するHowの部分だと考えています。
マインドの部分で共通点を見出すのは難しいんですが、ログラスさんの姿勢は、どの会社も見習うべきところが多いと思います。
パッと見てすぐに伝わる、わかりやすい魅力づけができない会社は、スカウト商戦においては不利な立ち位置です。カジュアル面談などで実際に話せば面白さが伝わる可能性があっても、まずカジュアル面談に繋げるための魅力を伝えるのが難しいんです。
それでもログラスさんのスカウトメールに対する返信率が高いのは、魅力を伝えるためにテキストの精度を上げて、伝わるところまで積み重ねていく姿勢と行動力の成果だと思っています。
現場と人事で解釈を揃え、解像度を上げる
高木さん:プロセス面や書類の作成以上に、エンジニアが転職活動で苦労していると答えたのは、マッチをした求人を探すことでした。
高木さん:エンジニアに見つけてもらうために、企業側からできる仕掛けもありそうですよね。
例えば「Javaの経験3年」のような書き方では抽象度が高くてイメージが湧きづらいように感じますが、エンジニア側が「この条件なら活躍できそう」と思える求人票の作り方、情報開示の仕方はありますか?
二井:高木さんがおっしゃったとおり、「どういうミッションを持って、どういう仕事をして、どんな働き方ができるんだろう」というところまでイメージできる求人票が理想的です。
経験年数での募集が解像度を下げてしまう場合もありますが、便利な表現なので使ってはいけないわけではありません。ただ、現場から人事に「経験年数が3年以上の人」と採用オーダーをした条件を、そのまま出してしまうとミスマッチが起きがちです。
経験年数が3年の人に対して、どれくらいのスキルレベルを求めているのか、どんなミッションで働いてほしいのか、きちんと深掘りしましょう。そのうえで、現場と人事、候補者のエンジニアの間で、解釈の揺れない言葉を使って求人票に落とし込むことが重要だと思っています。
まずは内部で求める人物像を具体的な言葉で表現して、解像度を上げていくと、ターゲットに刺さる情報発信ができるのではないでしょうか。
高木さん:情報発信の種類として、最近は会社が抱える課題を開示していく取り組みが多く見られると感じているのですが、それもターゲットを意識したものになるのでしょうか?
二井:そうですね。ハイレイヤーのエンジニアは課題解決が働くモチベーションに繋がる傾向があるので、そこに向けていくならば有効な情報発信だと思います。
一方でジュニアの場合は、2〜3年でスキルアップ・キャリアアップできる見込みがモチベーションに繋がる傾向があるので、どんな環境で、どんな働き方ができるかといった部分を押し出した情報発信が有効だと思います。
高木さん:レイヤーごとに求人を分けて、開示する情報を変えることで、求人票の内容をターゲットにフィットさせていくんですね。
エンジニアは転職を考えるとき、複数のサイトから企業情報を得ている傾向がありますが、企業側は「まず何から手をつけていけばいいのか、どこにどんな情報を載せていくべきなのか」など、悩むケースもありそうです。
二井:エンジニアの場合、自分で一から企業を調べるのではなく、スカウトされたり、エージェントからすすめられたりといった何かしらのきっかけをもとに情報収集を始めるケースが多いです。
そのため、流入するチャネルをコントロールして見せたい情報に誘導できれば、どういう媒体に載せてもいいと思っています。一般的なところでは、求人票や採用ピッチ資料あたりですね。
高木さん:優先度としては、常態的な情報発信と、現場と認識を合わせた求人票の作成が第一。そこから他の媒体へ順次広げていく流れですね。
スカウト文で重視するポイント、惹かれるワード
高木さん:こちらはエンジニアが転職活動する際に何を重視しているかについてのアンケート結果です。給与・待遇はもちろん、ワークスタイルを重視する方が多い印象です。
続いてはスカウトに記載されていると興味を惹かれるワードをまとめたデータです。高木さん:何を重視するかのデータとも関連しますが、やはりリモート勤務や現年収保証、フレックス勤務あたりが上位にきています。このようなキラーワード的な文言を、スカウト文や求人票に組み込んでいくのは即効性がある方法です。
興味を惹かれるワードとは別に、スカウトが届いた際に重視して見るポイントは、「スカウトの理由」「ポジションに求められるスキル」「求人内容と自身の経験のマッチ度」で、具体的に入社後をイメージできる情報を重視していることがわかります。
高木さん:年収1000万以上のハイレイヤーになると重視するポイントも増えますが、「スカウトの理由」を重視する方は依然として多い傾向です。
高木さん:「スカウトの理由」については、やればやるだけできる領域かなと思っています。本当に表面的な「あなたの経歴を見ました」というフェーズから、「あなたのスキルに合わせて、こんな活躍の場を提供できます」といった深い内容を提示するところまで、やり方はいろいろありますが、時間効率的な観点やコストも含めて、どこまでやるべきでしょうか?
二井:そうですね。要件にフィットする対象者に送るのは大前提として、パーソナライズに時間をかけるよりも、アトラクトストーリーの磨き込みが重要になってくると思います。
スカウトをパーソナライズできない会社の課題としては、そもそもスカウトのテンプレートにバリエーションや深さがなく、アトラクトの土台がないケースが多いと感じています。アトラクトストーリーのテンプレートを磨き込むことで、自ずとスカウト理由のパーソナライズに繋がっていくイメージです。
高木さん:会社が抱えている課題やミッション、募集の背景をしっかりアトラクトとして落とし込めれば、「だからあなたにお声がけしたんです」というストーリー展開ができるんですね。
ストーリーをつくるときに、人事担当者は現場を巻き込んでいく必要があると思うのですが、現場と上手く連携するための方法はありますか?
二井:基本的にはコミュニケーションのツールを、求人票にフォーカスするといいんじゃないかと思っています。
認識のすり合わせを行いながら求人票の解像度を上げていければ、仮にエンジニア面接で不採用になった場合も、そこの差分を共通言語で言語化できます。
判断ミスだったのか、そもそもの要件定義がずれていたのか、双方の見解の、答え合わせの場として求人票が存在しているイメージです。答え合わせをしたうえでフィードバックループを回していければ、現場と人事で上手く連携していけると思います。
カジュアル面談に対しての意識
高木さん:こちらはカジュアル面談の参加時に、どれくらい転職意欲を持っているかの調査データです。
選考を受ける前提でカジュアル面談を受ける方は36.4%ですが、面談内容に問題がなければ選考に進む方と、内容がすごく面白ければ選考に進む可能性がある方の合計は約60%です。
これだけカジュアル面談の質が重視されるなかで、重要になってくるのがカジュアル面談の担当者選定です。カジュアル面談は人事が担当するケースも多いですが、こちらのアンケートでは、回答者の大半が「一緒に働くことになる上司・メンバー」を選択しています。
高木さん:面談を担当したことがない現場の方は多いと思うので、人事からナレッジを共有したり、なるべく負担にならないように実施する設計も大事になってきそうですね。
候補者にとって、より良い選考体験にするための面談の設計方法や、事例などはありますか?
二井:面談はやっぱり「人」によるところが大きいので、誰がアトラクトが上手いのか、下手なのかを把握したうえで、候補者との相性や条件を考えて組むのが大事ですね。
カードゲームのデッキみたいなものをイメージしていただくといいかもしれません。どのタイミングでどう出すか、きちんと整理した状態で、最適な順番でカードを出すまでの流れを、人事がPMとしてコントロールしていくことが必要だと思っています。
高木さん:この方はCEO、この方はEMのような形で、手札を持っておいて最適なものを使っていく、コントロール中心となるのが人事になっていくんですね。
この人が面談を担当すると、選考移行率が高いなんてデータも取れそうです。
二井:結構、如実にデータとして出るんじゃないかなと思います。
高木さん:選考移行率の高い方の面談に人事が同席して、いいところをピックアップしてナレッジとして共有していくっていうアクションもとれそうですね。
Q&A
1.転職潜在層を見つけるにあたって、適しているスカウト媒体は総合型と特化型のどちらでしょうか?
二井:基本的に見つける方法自体は変わらないと思うのですが、情報の含有率の差によってオペレーションが変わるという捉え方をしています。
エンジニア採用では経歴情報から読み取れる情報量が多いので、ハイレイヤーの方であれば、総合型でもほぼ差分がなく情報を取得できると思います。ジュニアやミドルの場合は、情報量の差がそのまま判断コストに繋がるので、当社のサービスのような特化型が適しているかもしれません。
高木さん:ユーザー目線で考えると、総合型はスキルセットが見えにくいので、UIの観点から特化型を選びますね。
LAPRASさんのような特化型だと経歴やスキルのレベル感がパッと見てわかるので、エンジニア側も開示がしやすいですし、企業側からも見つけやすい特性があると思います。
2.必須要件で解像度を上げていく難しさを感じています。お任せしたい仕事内容を、求人票に詳細に記載するだけでは弱いのでしょうか?
二井:どれくらい詳細に書けるのか、だと思います。
例えば「将来的にPMになってもらって、プロジェクトを任せたい」「既存サービスの開発・運用をしてほしい」と書いてあった場合、いくらかみ砕いても情報が薄く、スカウトを受けるかの判断が難しいです。
エンジニアは、どの会社に入っても仕事のスタイル自体はそこまで大きく変わらない部分があるので、どういうサービスを触るのか、どういったプロジェクトにアサインされるのかなど、エンジニアとしての一般的な仕事の内容以外の部分を具体的に明記する必要があります。
高木さん:他社との差別化を図るための方法として、組織やキャリアパスの部分にも触れていくのもいいと思います。
3.SES企業でスキルセットを細かくしすぎると、複数の求人を立ち上げる必要があり、運用が煩雑化してしまいます。どんな運用が理想的でしょうか?
二井:個人的には、求人はある程度細かく分けた方がいいと考えています。運用が複雑化したとしても、採用できなければ元も子もないので、やった方がいいです。
SES企業の方は、抽象度が高いまま出さざるを得ないと考えているケースが多いですが、一旦できる限り細かくやってみてから収束させるという方法は取ってみてもいいと思います。
高木さん:私も基本的に同じ意見ですが、運用が大変という意見もすごくわかります。
スカウトを送る際に、自社にマッチしているのか悩んだり、情報を詳細に読み取ったりするのは負荷が高いので、「おそらくここら辺だろう」というエリアへ一旦投げてもいいと思うんです。
もし少しズレていたとしても、「こんな職種も募集しています」と参考情報として他の求人票を添付しておくなど、リカバリーやフォローができる仕組みを整えておくことが大事だと考えています。
4.アトラクトストーリーのテンプレートは、職種あたりどれぐらい用意しておくと効果が高いのでしょうか?
二井:3パターンほど持っておけるといいと思っています。3つそれぞれ用意するのではなく、全部のせのテンプレートから削り出していくような運用フローのほうが楽です。
例えばアトラクトストーリーが10個載っていて、何個か削らないと文章として成立しないようなテンプレートのつくり方をすることが多いです。
5.テックブログがある企業と、ない企業では、スカウトの返信率や応募数に差はあるのでしょうか?
二井:あるにはありますが、工数と実際の効果が比例するとは限りませんし、負荷が重すぎるので、迷っているうちはおすすめしません。
3〜4ヶ月に1回程度、採用広報関連のイベントをやってるので、聴きに来ていただけるとテックブログのロジックに関してもお話しできるかと思います。
まとめ
エンジニアの転職・キャリアに対する意識、スカウトへの意識、カジュアル面談への意識を軸に、エンジニア採用に関する最新トレンドについてお届けしました。
パーソナライズよりもアトラクトの磨き込みを優先すること、カジュアル面談の質を向上する方法など、当イベントで共有した情報を貴社のエンジニア採用に活かしていただけますと幸いです。