【2025年最新】LAPRASデータから見る、ITエンジニアの職種別・希望年収調査

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ITエンジニアの求人で「どの程度の年収を提示するか」は、企業が採用競争を勝ち抜く上で、ますます重要な関心事となっています。本記事では、LAPRASが保有する企業の求人と、登録ユーザーのデータを基に、2025年のITエンジニアの年収トレンドを徹底分析します。

企業が提示する「エンジニア求人の年収」と「エンジニア側の希望年収」という2つの異なる視点から採用市場のリアルな実態に迫ります。

2025年エンジニア求人の平均年収

はじめに、2025年6月30日時点でLAPRASに掲載されている1,000件以上の求人データを分析し、年収の最新動向をまとめました。

2025年6月時点のデータでは、上限の平均値が1059万円下限の平均値が659万円となりました。職種などの細かい条件を抜きにして全体で見ると、企業から提示される年収帯の平均はこの範囲内に収まることが示されています。

求人の年収下限分布

次に、求人の年収の「下限」がどの年収帯に分布しているかを見ていきます。

グラフを見ると、最も割合が大きいのは600万円~699万円の範囲で、全体の約30%を占めています。次いで500万円~599万円が多く、この2つの範囲で全体の半数以上を占める結果となりました。 このことから、多くの企業がエンジニア採用において、最低でも500万円以上の年収を提示していることがわかります。

求人の年収上限分布

続いて、求人の年収の「上限」の分布です。

こちらは下限の分布とは異なり、より高い年収帯に広く分散していることが特徴です。 特に1000万円~1099万円と1200万円~1299万円の2つのゾーンがそれぞれ約20%と大きな割合を占めており、複数のピークが見られます。 また、1500万円以上を提示する求人も10%以上存在しており、スキルや経験によっては非常に高い年収が期待できるハイクラスな求人が一定数あることが見て取れます。

求人の年収の全体分布

最後に、求人の年収が全体としてどの年収帯をカバーしているかを見てみましょう。

※このグラフは、提示年収の範囲内(下限〜上限)に特定の年収額が含まれる求人の割合を示したものです。全体の分布として、ある年収が求人の提示年収の範囲に含まれる割合を算出しています。(例えば、700万円のゾーンには下限年収と上限年収の間に700万円が含まれている求人をカウント)

最も多くの求人がカバーしている年収帯は800万円~899万円で、全体の約15%を占めています。次いで700万円台、900万円台が多く、全体的に見ると700万円台〜1000万円台にボリュームゾーンがあることがわかります。このあたりの年収が、現在のエンジニア採用市場における一つの目安となっている可能性が考えられます。

職種別 エンジニアの希望年収

ここまでは「求人の年収分布」を見てきましたが、次は視点を変えて、「ITエンジニアが希望する年収額」を見ていきましょう。

LAPRASに登録している3.5万人のITエンジニアのうち、「転職意欲があり、かつアクティブなユーザー」に絞って職種別の希望年収を分析しました。具体的には、調査時点(2025/07/30)で、以下の条件に合致するユーザーの希望年収を職種ごとに集計しています。

  • 集計対象:以下A・Bのいずれかに当てはまるLAPRASユーザー
    • A:設定ページに対象職種の職歴を記載
    • B:Careerページに対象職種の職歴を記載(過去5年以内のもののみ有効)
  • 希望年収:プロフィールで設定済
  • 転職意欲:高・中に設定
  • 最終ログイン:12ヶ月以内

【集計対象とした職種】
フロントエンドエンジニア
バックエンドエンジニア
Webアプリケーションエンジニア
インフラエンジニア
SRE
モバイルエンジニア

フロントエンドエンジニア

はじめに、フロントエンドエンジニアの希望年収の傾向を見ていきましょう。

グラフを見ると、希望年収のボリュームゾーンが500万円〜900万円の範囲に集中していることがわかります。

なかでも、最も割合が大きかったのは600万円~699万円で約20%を占めました。次いで500万円~599万円が約18%となっており、転職を考えているアクティブなフロントエンドエンジニアの多くが、この範囲の年収を一つの目安としていることが伺えます。

一方で、1000万円以上の年収を希望するエンジニアも一定数存在します。1000万円~1099万円が約5%、1500万円以上も約3%見られ、より高い報酬を求める層がいることが伺えます。

バックエンドエンジニア

こちらは、バックエンドエンジニアの希望年収の傾向です。

グラフを見ると、最も割合が大きいのは700万円~799万円で約17.5%を占めています。次いで600万円~699万円(約16%)、800万円~899万円(約14.5%)と続きます。

ボリュームゾーンは「600万円〜900万円」にあり、この範囲で全体の半数近くを占める結果となりました。先に分析したフロントエンドエンジニアの希望年収(ピークが600万円台)と比較すると、ボリュームゾーンが一段高い年収帯にシフトしている点が特徴的です。

また、1000万円以上の高年収を希望する層も厚く、1000万円~1099万円を希望するユーザーが約9%存在するなど、高い専門性を持つエンジニアがそれにふさわしい報酬を求めていると推測できます。

Webアプリケーションエンジニア

次はWebアプリケーションエンジニアの希望年収の傾向です。

最も割合が大きいのは600万円~699万円で20%を占め、次いで500万円~599万円が約17%と続きます。

ボリュームゾーンは500万円~900万円であり、これは先に見たフロントエンドエンジニアと非常に近い分布です。全体の3分の2近くがこの範囲に集中しており、Webアプリケーションエンジニアの多くがこの年収帯を現実的な希望ラインとして設定していることが考えられます。希望年収の傾向としては、フロントエンドエンジニアと近い感覚を持っているユーザーが多いと見て取れます。

インフラエンジニア

続いて、インフラエンジニアの希望年収の傾向を見ていきましょう。

これまでの職種とは異なり、特定の年収帯への集中が緩やかで、分布が広めになっているのが特徴です。

その中でも最も割合が大きいのは800万円~899万円で、これまで分析した職種のピーク(600万円台、700万円台)よりも高い水準にあります。500万円台から800万円台までがそれぞれ13%〜15%で分散しており、幅広い年収帯で働くエンジニアがいることが伺えます。

また、1500万円以上を希望する層が5%と、他の職種と比較して高い割合を占めている点も注目すべきです。クラウド技術の高度化などを背景に、高い専門性を持つインフラエンジニアの市場価値が上がっている可能性が示唆されます。

SRE

今回分析した職種の中で、最も希望年収が高い傾向が見られたのがSREです。

グラフは800万円~899万円をピーク(約23%)として、全体的に年収帯が高くなる右側に大きく偏っています。特に800万円~1100万円の範囲に全体の半数以上が集中しており、1000万円を超える年収を希望するエンジニアがインフラエンジニア以上に多いことがわかります。

1500万円以上を希望する割合も6%超と、全職種の中で最も高くなっています。サービスの信頼性に貢献するという事業継続に不可欠な役割を担う専門職として、非常に高い市場価値が認識されていることが明確に表れています。

モバイルエンジニア

最後に、モバイルエンジニア(iOS/Android)の希望年収の傾向です。

グラフの最も顕著な特徴は、800万円~899万円の年収帯に約32.5%と、極めて強い集中が見られる点です。今回分析した職種の中で、単一の年収帯にこれほど割合が集中しているのはモバイルエンジニアのみでした。

このことから、経験豊富なモバイルエンジニアの希望年収は800万円台が一つの大きな基準になっていると推測できます。次いで600万円台にも山があり、経験年数やスキルセットによって希望額が変わる様子も見て取れます。

また、高年収帯では1200万円~1299万円や1500万円以上にも一定の割合が存在しており、専門性を極めたエンジニアに対する高い需要が伺えます。

年収帯の比較から見えてくる企業・エンジニアそれぞれの視点

今回は、LAPRASのデータを基に「企業が提示する求人年収」と「エンジニアの希望年収」の両面から、2025年のITエンジニアの年収トレンドを分析しました。その結果、現在の採用市場における年収の全体像と、職種による期待値の違いが明らかになりました。

企業側の提示年収では、最も多くの求人がカバーする年収帯が800万円台でした。

一方、エンジニア側の希望年収は職種によって異なり、Webアプリケーションエンジニアなどでは600万円台が中心であるのに対し、SREやモバイル、インフラといった、候補者の母集団が希少、かつ高い専門性が求められる職種では800万円台以上を希望する層が多数派を占める結果となりました。

また、今回の分析から、LAPRASというプラットフォームならではの興味深い傾向も見えてきました。企業が提示する年収帯の平均値と、専門性の高いエンジニアが期待する年収帯が合致している背景には、次のような動向があると考えられます。

「LAPRASを利用する企業は、登録エンジニア(ハイスキル層の割合が多い)のスキルを評価し、それに見合う年収を提示して採用成功を目指している」

「LAPRASに登録するエンジニアは、自身のスキルを正当に評価し、企業もそれに見合う報酬を提示してくれることを期待している」

ITエンジニアの市場価値は、今後も技術の進化とともに変化していきます。LAPRASは、これからもデータを通じて、エンジニアと企業双方にとって有益な情報を提供してまいります。今回の分析が、ご自身の市場価値を把握したいエンジニアの皆様、そして採用戦略を立てる企業の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。