freeeのエンジニア人事に訊いた「エンジニア採用は誰のシゴト?#1」

エンジニア採用は企業にとって、重要な経営課題です。
一方で、その経営課題に対して全社を上げて取り組んでいる企業は決して多いとは言えません。
多くの企業では、エンジニアリング知識のない採用担当者が、エンジニアや経営陣からの十分なサポートを受けられずに手探りでエンジニア採用に孤軍奮闘しています。

本連載では、エンジニア採用に関わる様々な方々にお話を伺い、エンジニア採用は誰の仕事なのか、どのような体制で取り組んでいくことが有効なのかを考えていきます。

第一回目の本記事では、freee株式会社でエンジニア専門の人事採用を担当している岩井雄大さんにお話を伺いました。

エンジニアとして10年以上のキャリアを持つ岩井さんが、エンジニア採用担当になって考えた理想の採用チームの体制についてお話いただきました。

《プロフィール》
岩井雄大さん:
テスターからエンジニアへと転向し、ソーシャルゲームのスタートアップで初期メンバーとして、開発業務だけではなくプロジェクトのマネージメント、労務、中途・新卒採用、少数チームのマネジメントなどの幅広い業務を経験。

2017年9月にfreee株式会社に入社し、『人事労務freee』のエンジニアとして業務にあたる。2018年7月からは『エンジニア専門の人事採用担当』へと業務領域を変更。チームの課題解決をするのが好きで、ディレクション業務やチーム内での壁当て役を好んで働いている。

エンジニアを直感的に理解できるのはエンジニア出身者

– どういった経緯でエンジニア専門の採用担当になったんですか?

もともとはエンジニアとして働いていたんですが、採用チームから「中途のエンジニア採用をやらないか」って声をかけられて採用担当になりました。誘われたのは、エンジニア経験がある人がエンジニア採用をした方がいいのではないかというチームの想いからでした。これまではエンジニア経験がないメンバーが採用を担当していたのですが、彼女の中でもエンジニアとより近い距離で接するにはエンジニア経験者じゃないといけないという実感があり、私に声がかかったというわけです。

エンジニアとしてのキャリアパスや、エンジニアにどういうものを与えると喜んでくれるのか、ということを直感的に理解できるのはやはり同じエンジニアだと思います。

– エンジニアから人事になって業務のキャッチアップはどのくらいかかりましたか?

実は前職では創業メンバーとしてソーシャルゲームの会社のエンジニアからエンジニアマネージャー、労務、採用まで経験していたので、概ね採用のフローなどについても理解していました。なのでfreee独自のもの、例えば会社として大事にしている価値観など、を再認識するくらいで業務にキャッチアップすることができました。期間にするとおよそ3ヶ月くらいですね。

でも、通常、採用を経験したことがないエンジニアがいきなりアサインされる場合は、そもそもスカウトってどうやって送るのか、どういう文章で送るのがいいのか、やり取りする時に気をつけないといけないこと、リスクはどこにあるのか、というようなことをインプットしていかなければいけないので、キャッチアップに6ヶ月くらいかかることもあるんじゃないかと思っています。

肩書以外の評価ができるのは、エンジニア人事だからこそ

– エンジニアが採用担当になってよかったことってありますか?

私が採用担当になってまだ6ヶ月くらいなので、良かったと堂々と言えるのはこれからだと思います。でも、現状でも変わってきているところはあります。例えば書類選考の基準は変わりましたね。

– どんなふうに変わったんですか?

今までは、スキルを重点的に見ていくことよりも、前職の社名などの優先度が高くなっていたんです。
それもあって、freeeにはメガベンチャーから入社する人が多いという状況がありました。それ自体は悪いことではないんですが、例えばSIerにいた人でも、こういった事業をやってて、こういうコードを書いてて、こういう技術スタックなら、うちでも活躍できるんじゃないかということで選考を通過していく人が多くなりました。こういった肩書以外の技術的な評価は、エンジニア出身者が採用を担当することによって見極められるようになったと思っています。

繰り返して言いますが、有名な会社にいた人の中、有名ではない会社で叩き上げで成長した人の中にも、どちらにもfreeeに入ってほしい人はいます。でも、エンジニア経験がない担当者が採用を行うと有名な企業の在籍経験がある候補者にフォーカスしがちなのではないかと感じています。

– 岩井さんはエンジニア出身の採用担当として活躍されていますが、エンジニア出身の人みんなが採用担当をうまくやれるわけではないと思っています。どんなエンジニアが採用担当に向いているんでしょうか。

私がリクルーティングチームに入って明確に感じたエンジニアと採用担当の仕事の違いがあります。

エンジニアリングは積み上げの仕事なんですね。今まであるものに機能を足すとか、不具合が起きたら修正するとかっていうのは、基本的に上に積んでいく仕事なんですよ。そういう意味では直列で続いていく仕事なんです。

でも、採用の仕事って並列なんですよね。スカウトを書く、送る、面接する、採用するという一連のフローが上には積み重ならないんです。次の候補者に対してはまた一から始めないといけない。この並列の仕事の感覚に苦痛を感じてしまう人や、プロダクトの成長などに向けて機能を積み上げていきたいっていう人は向いてないかもしれないと思います。

結局のところ、簡単に言ってしまえば採用の仕事って単調なんですよ。じゃあ、採用の仕事の面白みがどこにあるのかと訊かれたら、「その人の人生を変えられるかもしれない、変えてしまうかもしれない」というところだと思います。

人にフォーカスすることを楽しめないとしんどいと思いますね。
候補者に対して責任感をもって、自信をもってオファーしたことで、その人が実際にうちの会社で活躍している状態を見ることを楽しめるかどうか。

エンジニアは、良くも悪くも機械やプロダクト、使う技術にフォーカスしがちです。人を見る方を楽しめる人じゃない採用担当には向いていないでしょうね。エンジニアチームの中でも、ピープルマネージメントしてる人などの方が楽しんで取り組める仕事なんじゃないでしょうか。

採用はエンジニア組織がやるべき。freeeもまだそこに向かう途中

– ずばりお聞きしたいんですが、エンジニア採用は誰のシゴトだと思いますか?

エンジニア採用は、エンジニア組織側でやるべきだと思っています。
もちろん、体制変更することでいろいろな問題が出てくるとは思いますが、それでもその体制の方がいいでしょう。

理想なのは、エンジニアの組織の中にエンジニアを採用するチームがあって、そのチームとリクルーティングの専門性をもった別のチームが連携して採用に取り組むことだと考えています。

– freeeさんは今そういう体制なんですか?

まだまだそうじゃないんです。
私はもともとエンジニアですが、現在はリクルーティングチームにいるのでエンジニア組織から離れていて、連携の難易度は高いです。もちろん、元エンジニアということもありエンジニアたちとのコミュニケーションパスはありますが、それでも難しいです。

やっぱり理想としては、エンジニアチームがエンジニアの採用目標を持つべきだと思っていますね。
どこが目標を持つか、どこが数字の責任を持つかっていことは、すごく大きな問題です。現在はエンジニアチームのマネージャーと採用チームが数字を持っている状態です。エンジニアチームのマネージャーだけでなくチームのメンバー毎にも採用に向けた目標設計などが浸透してくるともっと採用は進化するのではないかなと感じています。

– そうですよね、エンジニア採用には社内エンジニアのコミットが重要ですから、なるべく動きやすい体制にしたいですね

そこで難しいのは、本当はエンジニアはエンジニアリングに集中すべきだということです。開発に注力しなければいけないエンジニアに全く違う採用という目標を追ってもらうことで、開発のスピードが落ちるのは問題です。なので、開発に注力するチームとは別に、採用に注力するチームをエンジニア側に作るべきなんじゃないかと思っています。

社内のエンジニア全体に数字を乗せるというよりは、チームを分けるという考えです。
今はまだfreeeもそういう体制ではないですが、そういう体制にすることでエンジニア採用はより効率的になると考えています。

– ありがとうございました!

 

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