20人の壁を乗り越えるためにLAPRASが行った組織開発手法「ダイアログ」

スタートアップ、ベンチャーが必ずといっていいほどぶつかるのが「●人の壁」と呼ばれるメンバー増加に伴う組織崩壊の問題です。

組織とは、同じ目的をもった人々の集まりのことを指します。
人数が増え、目的や方向性がバラバラになるとそれはただの人間の集まり、つまり集団になり、目的達成は難しくなるでしょう。
組織崩壊とは、社員の退職が相次ぐことはもちろん、退職こそ多くないけれど組織内の機能が不全になり、思うような方向に進めない状態を指します。

本記事では、●人の壁がなぜ起こるのか、また実際に20人の壁に直面したLAPRAS(ラプラス)が解決のために行った手法「ダイアログ」について解説します

成長企業が直面する人の壁とは?

拡大する企業では、メンバーの数も増えていきます。
一般的には20人(30人の場合も)、50人、100人という人数を越える際に問題が起こると言われています。
それぞれのフェーズで起こる問題について解説していきます。

【20人の壁】経営者とメンバーの交流が希薄化する

社員が10名ほどであれば、経営者が全員とコミュニケーションをとって会社の方針や直近の課題について共有することもできます。いわば、経営者がメンバー全員をマネジメントしている状態です。
また、業務もチームと呼べるほどには体系化されておらず、属人的に行われることが多いフェーズです。

ところが、社員が20名を超える頃には経営者が全員とコミュニケーションをとることが難しくなります。業務は体系化されていき、チームが生まれ、チームをまとめ経営者の声を伝えるマネージャーが現れます。
10名ほどの頃と異なり、代表とメンバーが直接コミュニケーションをとらないことによりメンバーの中でも認識がぶれてしまいます。

その結果、気がついたら異なる方向に進んでいるメンバーが現れたり、経営者との認識の行き違いでトラブルを起こすことがあります。

【50人の壁】部門マネジメントの力が求められる

50人規模になると、チームの体系化が更に進み、マネージャーの重要性が増していきます。マネージャーには、プレイヤーとしての能力ではなくチームの力を最大化するマネジメント能力が必要です。会社の方針をメンバーに浸透させ、より正しい方向性にメンバーを導かなければいけません。

多くの企業では、成長に貢献した優秀なメンバーをマネージャーに起用しますが、メンバーとマネージャーでは求められる役割が異なるため、能力を発揮できないことがあります。そういった状況では、マネジメントへの不満などからチームの不和や信頼関係の欠如といった問題が発生します。

【100人の壁】経営者の声が行き届かなくなり、統制が必要になる1

100人規模に成長した企業では、経営者はもちろん経営者直下のマネージャーでも全メンバーをマネジメントすることはできず、リーダーのように小さいチームをマネジメントする役割が生まれます。
マネジメントを行うメンバーが増えることで、50人の壁と同様の問題が発生する機会が増えます。

また、多くの場合、100人規模の会社では統制が必要となります。厳格なルールや手順によって、最下層のメンバーの行動を会社の方針に合致させ、マネジメントします。
統制は、これまで会社の方針とぶれることなくやってきたメンバーにも当てはまります。ここで、「これまでの会社と変わった」「ルールが厳しくなってやりにくい」という不満の声があがることが多くあります。
ルールを窮屈に感じる雰囲気や、昔から在籍しているメンバーの離反を引き金にして退職者が連続するケースも見られます。

なぜ●人の壁が起こるのか

人の壁が起こる原因の1つは、社員が増え、組織が体系化されていくにつれてマネジメント能力の問題に直面するからです。プレイヤーがマネージャーになり、部門をマネジメントする能力が欠如していることはもちろん、ピープルマネジメントのように優れた人格が必要とされるなど、急成長する組織にメンバーが追いついていないことによってひずみが生まれます。
一方で、マネジメントの問題については、マネジメント能力があるメンバーの存在やホラクラシーのようなマネジメントを必要としない組織体制によって解決されることもあります。

マネジメント以外の問題については共通認識のずれが挙げられます。

共通認識のずれが新旧メンバーの隔絶を生む

在籍歴が長いメンバーと浅いメンバーでは、同じ言葉であっても認識が異なります。
例えば「うちの会社らしさ」という言葉が何を示すのか、「●●の案件と同じ感じ」という曖昧な表現、社内で作られた造語の意味が新しく入社したメンバーには伝わりません。
そうすると彼らはわからないことをいちいち聞くことはせず、抽象的な議論に対して消極的になります。同じ話題で盛り上がれないこともあるでしょう。
それに対して、初期から在籍しているメンバーは「文化が薄れている」と感じ、場合によっては仲の良いメンバーで固まってしまいます。
こうして新旧メンバー間の隔絶が生まれます。
隔絶は派閥や、経営者とメンバー間のビジョンのずれなどに繋がり、組織の崩壊を引き起こします。

共通認識は、新しいメンバーが増えるたびに見つめ直し、伝えていかなければいけないのです。

LAPRASが行った、共通認識を醸成する手法「ダイアログ」

組織拡大に伴う問題にマネジメントが大きく関係しているということは先程述べたとおりですが、LAPRASではホラクラシーという組織体制を採用しているため、マネジメントは存在しません。

残る組織崩壊の問題点は、共通認識のずれでした。
共通認識のずれを起こさないための手法として、LAPRASが行ったのがダイアログという手法です。

ダイアログとは、メンバー同士で共通認識を醸成するための対話のワークショップです。ディスカッションが議論なのに対して、ダイアログでは一切の議論を禁じています。
ダイアログでは、相互理解。言い換えれば、理解できていないことを明らかにすることを目的としています。

ダイアログのやり方

ダイアログの進め方は厳格には定まっていません。
ここでは、LAPRASが行った経営者とメンバーの認識を共有することにフォーカスしたダイアログのやり方を紹介します。

LAPRASでは、3ヶ月に1度オフサイトミーティングを行っています。
普段の業務を一切行わず、組織のこと、事業のことについて全社員で話し合ったり、共通認識を深めたりしています。
ダイアログは主にこのオフサイトミーティングで実施されています。
ダイアログでは、まず社員全員が集まって輪になり対話を始めます。

LAPRASが実施したダイアログの様子

① チェックイン
自分の心を占めていることを言葉にして吐き出します。
「朝からご飯を食べていなくてお腹が空いた」「昨日のタスクを忘れていて焦っている」など、どんなことでも構いません。
言葉にすることで頭から雑念がすっと消えていきます。

② 最初のテーマの提示
経営者から、会社のこれまでの沿革や、起業のエピソード、会社として大事にしていきたいことや今後の計画について話します。
ダイアログ全体ではどんなテーマについて話をしても構いませんが、まずは話すためのきっかけづくりとしてテーマを提供します。

③ メンバーが思いのままに発言する
テーマについてでも、テーマ以外のことを唐突に話しても構いません。
自分の立場や役職に関わらず、メンバーの発言を真剣に聞いて、自分が思っていることや感じていることを真剣に伝えます。
繰り返しになりますが、議論をしてはいけません。また、他人の言葉を否定してはいけません。
これまで言っていなかったけれど実は思っていたことを”ぶっちゃける”ということを歓迎しましょう。

④ 結論が出ることが終わりではない
LAPRASでは決まった時間になったらダイアログを終了することにしています。
ダイアログでは、結論やネクストアクションを決めることがゴールではありません。メンバーそれぞれの認識の違いが明らかになり、相互理解が深まれば良いのです。

実施後にはアンケートをとると良いでしょう。
「○○さんがあんなことを感じていたなんて知らなかった」「思っていたことをみんなに共有できてすっきりした」「不安に感じていたことをみんなも同じように感じていたのを知れた」といった感想が出てくればダイアログを実施した価値があるといえるでしょう。

ダイアログで大事なこと

ダイアログでは下記のことを念頭に置いて進めなければいけません。

  • 議論はNG。結論を出すのではなく、自分が思っていることを発信し、周りはそれを受け止める
  • 認識の不一致があったら、それを合わせるだけでなく「なぜ不一致が生まれたのか」を話し合う
  • 経営者も新入社員もフラットに扱う
  • バカげたこと、無知を歓迎する
  • ファシリテーターが上記のことを守るようにコントロールする

最後に

人の壁による組織の崩壊は、企業が体系化されたチームになる過程での試練です。マネジメントの問題に加えて、人数が増えても共通認識を持ち続けてメンバー全員が同じ方向に進めるように導くことがこの試練を乗り越える鍵になります。

今回紹介したダイアログをはじめ、共通認識を保つように意識して取り組む必要があります。まだこの課題に直面していない企業も、組織が小さい時期から組織開発に取り組んでみてください。

 

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