エンジニアが転職活動をする際、自社情報を発信しているエンジニアのSNSやテックブログ、カンファレンスへの登壇などをきっかけに新しい会社を知るケースが多く見られます。
中でもテックブログは知ってもらうきっかけであるとともに、自社の取り組みや技術、今後の課題や姿勢について理解を深めてもらうツールとしても有効です。
採用活動において非常に重要な役割を担うテックブログを始めるにあたって採用担当者が気をつけるべき点、採用活動において得られるメリット、継続のコツなどを解説します。
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テックブログを運営するメリットとは
テックブログを運営する採用担当者と、実際にブログを書くエンジニアの双方にとってのメリットを解説します。
採用担当者のメリット:採用活動の認知拡大、確度の高い応募者
採用担当者がテックブログを運営する最大のメリットは、採用活動の認知拡大です。カンファレンスへの登壇やイベント出展などの機会は限られていますが、テックブログであれば努力次第で露出を増やせるため、エンジニアの目にとまる機会を増やせます。
ターゲットであるエンジニアに対して、興味を持ってもらえる情報をテックブログを通じて発信することで、自社の技術やカルチャーを理解したエンジニアが応募してくる可能性も高まるでしょう。
また、プロダクトやサービスを知ってもらうきっかけにもなり、会社のブランディングにも繋がります。
エンジニアのメリット:良質な振り返りとコミュニケーション促進
実際にテックブログを書くエンジニアにとっての大きなメリットは、アウトプットによる良質な振り返りと、チーム内のコミュニケーション促進です。
成果だけでなく反省点や今後の課題までありのままブログに書くことで、良質な振り返りがおこなえます。ブログを書くにあたってチームメンバーとプロジェクトについて意見交換をする機会も増え、コミュニケーションが活性化し、相互理解も深まります。
副次的なメリットは、エンジニア個人の認知拡大です。書いたブログは会社が運営するメディアに掲載され、公式SNSなどで拡散されるので、個人での発信よりも効率のいい認知拡大が期待できます。
テックブログを始める際の注意点
テックブログを始める際、採用担当者が注意すべきことは以下の2点です。
・エンジニアと信頼関係を築く ・数字ではなく継続を重視する
エンジニアと信頼関係を築く
テックブログに記事ネタを提供するのも、実際に記事を書くのもエンジニアであり、書かれた記事を読むのもエンジニアです。テックブログに限らずエンジニア採用にはエンジニアの協力が不可欠ですが、信頼関係が築けていない状態では気持ちよく協力してもらえません。日常的にコミュニケーションを取り、現場の声をしっかりと拾い上げる姿勢を示しましょう。
エンジニアも、採用目的でテックブログを運営する重要性は理解しています。自主的に協力したいと思ってもらえる関係性を築いてから依頼しましょう。
数字ではなく継続を重視する
記事数やPV数は確かに大事ですが、それ以上に大事なのは記事を継続的に公開することです。まずは「月に◯記事、◯千文字以上」などの条件をつけずにコンスタントに公開して、数字よりも露出の継続を重視しましょう。
継続には、内容のクオリティや文章の量などのハードルを上げ過ぎないことが重要です。とくに最初の記事でハードルを上げてしまうと、次に執筆を担当するエンジニアがプレッシャーで書きづらくなってしまいます。
また、テックブログ用にネタを考えるのは負担になってしまうので、実際に携わったプロジェクトについて書いてもらう形がおすすめです。エンジニアの負担を軽減しながら自ずと他社ブログとの差別化もでき、内容も深く、鮮度の高い記事が作成できます。
テックブログの始め方
テックブログを始める際、運用のプロセスづくりが一番のハードルです。一般的な立ち上げの流れを解説します。
アウトプットに慣れているエンジニアを探そう
書くことが苦手な方もいるので手当たり次第に声をかけるのではなく、すでにGitHubなどで個人的にアウトプットをしているエンジニアを探して、協力してもらえないか相談しましょう。
新規記事を一から執筆するのがリソース的に難しい場合は、個人で発信した記事をテックブログに紐づけて更新頻度を確保する方法もあります。
発信内容に適した媒体を選ぼう
記事を書いてくれるエンジニアを確保できたら、テックブログを掲載する媒体を選びます。この際もエンジニアの意見を取り入れて、どの媒体であればエンジニアの目にとまりやすいか相談して決定しましょう。
Wantedlyなどの採用メディアやnoteなどのプラットフォームといった既存のサービスを利用する方法と、自社でオウンドメディアを立ち上げる方法があります。また、技術ブログのサービスを利用する方法でも、簡単にテックブログを公開できます。なお、Qiita や Zenn を利用する場合は、個人の活動としての記事と業務で依頼した記事との境界がより曖昧になるため事前にルールを明確にしておくことが望ましいです。
⚫︎はてなブログで企業の技術ブログを運営している企業も多くあります
⚫︎Qiita の Organization の機能を利用すると、所属メンバーが発信している記事をまとめることができます
https://help.qiita.com/ja/articles/qiita-org-1
⚫︎現在はまだ公開されていない機能のようですが Zenn の Publication の機能を利用することで企業単位で投稿をまとめることができます
https://zenn.dev/zenn/articles/how-to-use-publication
既存のサービスを利用するメリットは、立ち上げのハードルの低さです。気軽に始められる点は魅力ですが、技術や採用関連だけでなくイベントレポートなどの会社情報も集約して発信できる媒体がほしい場合は、カスタマイズ性の高いオウンドメディアが適しています。
ブログサービスでは実現できないことがある場合や独自のコンテンツにより力を入れて運用したい場合には自社でテックブログを1から作ることを検討しても良いでしょう。
ブログ運営のテーマを設定しよう
記事のネタや執筆はエンジニア任せになる部分ですが、それぞれが書きたいことを書いてしまうとまとまりのないテックブログになってしまいます。
テックブログを何のために運営しているのか、何を伝えるために発信しているのかを設定し、エンジニアとの共通認識として持っておきましょう。
【例】
目的:採用、自社サービスの認知拡大
伝えたいこと:開発における姿勢、技術向上への取り組み
デザインを決めよう
エンジニアがどういった印象を持つかが重要なので、サムネイルやメディアのUIデザインを決める際にも社内のエンジニアに必ず意見をもらいましょう。
記事を公開しよう
記事の公開準備ができたら、会社の公式SNSで拡散してもらえるようにSNSの運用担当者に投稿を依頼しましょう。
エンジニアのフォロワーにはエンジニアが多いので、社内のエンジニアにもぜひSNSでの拡散を依頼してください。
振り返りをしよう
公開後はPV数などを確認して、どういう記事がよく読まれているかを分析し、今後の記事企画に活かします。
記事に反響があった際や、採用の過程で応募者からテックブログの話題が出たときなどは、執筆したエンジニアに感謝を伝えましょう。社内でもシェアして盛り上がると執筆のモチベーションも上がります。
テックブログ継続のために、採用担当者ができること
テックブログは継続することで露出が増え、採用のチャンスも増えます。継続のために、採用担当者ができることをまとめました。
エンジニアが書きたくなる環境づくり
エンジニアが自主的に書きたいと思える環境づくりをしましょう。業務が忙しい時期に依頼したり、すべてをエンジニア任せにしたりせず、執筆のハードルを下げるサポートやモチベーションを維持するためのフォローをおこなってください。
【サポート、フォロー例】 ・参考になる他社のブログや資料を共有する ・サムネイルの作成、文章の校正など、執筆以外の部分を引き受ける ・PV数や記事の反響を伝えるなど、モチベーション上げるための声かけ ・Slackなど社内ツールで、全社員に向けて記事の拡散協力を依頼する ・公式SNSを利用して記事を拡散する
発信のリスク管理をする
社内の情報を発信するにあたってのリスク管理も、採用担当者の重要な役割です。ブログの内容を意図しない形で受け取られてしまうと炎上の可能性もあるため、まずは「他社を批判しない、受け手に不利益なことは書かない」といった基本的なルールを設定します。
データやソースコードなどに関する情報についてはエンジニアが、一般的な会社情報については採用担当者が、それぞれ公開しても問題ないラインを決定し、連携して取り組む体制を整えておけると安心です。
執筆を業務として依頼する
ブログの執筆は採用担当からエンジニアへ、明確な「会社の業務」として依頼しましょう。エンジニアの善意に頼ったボランティアのような形式になってしまうと、執筆のモチベーションが保てず、記事の公開ペースも落ちてしまいます。
執筆時間を業務時間内に設けられるように、必要に応じて開発チームと稼働時間を調整し、リソース形成をおこなうのも採用担当者の仕事です。
記事数や公開スケジュールは、チームの規模感やプロジェクトの内容に応じて無理がないように設定しましょう。業務として依頼すればチーム内で話題にしたり相談したりしやすくなり、執筆のハードルも下がります。
参考にしたいテックブログを紹介
テックブログを始める際に見ておきたいオウンドメディアを紹介します。カテゴリーの分類方法やデザインなど、自社の方向性に近いものを見つけて参考にしてみてください。また、実際にスタートする際の、エンジニアとのイメージの共有にも役立ちます。
⚫︎クックパッド株式会社「クックパッド開発者ブログ」 https://techlife.cookpad.com/ ⚫︎株式会社メルカリ「メルカリエンジニアリングブログ」 https://engineering.mercari.com/blog ⚫︎株式会社ユーザベース「UZABASE for Engineers」 https://tech.uzabase.com/archive/category/Blog ⚫︎LAPRAS株式会社「LAPRAS Tech Blog」 https://tech-blog.lapras.com/
まとめ
テックブログの運営は、エンジニアの採用活動において非常に有効な手段です。定期的な記事公開で露出を継続するための体制づくりや、SNSでの拡散方法を工夫するなど、転職希望者の目にとまる機会を増やすために採用担当者ができることは多岐に渡ります。
しかし、テックブログの軸はあくまでもエンジニアです。日常的なコミュニケーションでエンジニアとの信頼関係を築き、快く協力してもらえる環境づくりをしておきましょう。
当記事で共有した情報を、貴社のテックブログの立ち上げにお役立ていただけますと幸いです。
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