ハイスキルエンジニア採用は、かつてないほど厳しさを増しています。採用市場の競争激化、慢性的な人材不足など、多くの課題に企業は頭を悩ませています。
そんな中、あらためて注目されているのが「アルムナイ採用(Alumni Hiring)」という選択肢です。
「一度辞めた人を、もう一度迎え入れる」
これまでの日本型雇用とは異なる発想ですが、企業文化の柔軟さや関係性の持続性が求められる今、極めて合理的かつ戦略的な手法といえるでしょう。LAPRASでも「円満なオフボーディング」を通じてアルムナイ採用のチャンスを広げる取り組みをおこなっています。
本記事では、アルムナイ採用の概要やLAPRASが考える成功のポイント、実際の取組みを通じて、「戻りたくなる会社」とは何か?を考えていきます。
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目次
アルムナイ採用とは?
アルムナイ採用とは、過去に会社で働いていた人を、再び迎え入れる採用の方法です。
エンジニア採用市場ではすでに一般的な方法で、日本でも近年注目が高まっています。
背景にあるのは、人材不足や働き方の多様化、そして転職が当たり前の時代になったことです。 エンジニアのように高い専門性が求められ、経験やチームワークも必要とされる職種では、「新規の方に入社してもらう」よりも「一度自社を去った方とまた一緒に働く」方が合理的な場合も少なくありません。一緒に働いた経験があるから、お互いのことをよく知っている方へ「また一緒に働こう」と言える関係性が大きな意味を持ちます。
アルムナイ採用でエンジニア確保に取り組むメリット
ここでは、アルムナイ採用で実際に期待できる5つのメリットを紹介します。
(1)即戦力化・採用コストを削減が期待できる
元社員であれば、事業やプロダクト、開発フローやカルチャーといった社内事情もすでに十分理解しているため、入社後のオンボーディング期間を短縮し、速やかに即戦力として活躍してもらえます。
以前働いていたときと比べて社内に変化があったとしても、完全にゼロの状態からキャッチアップするのに比べれば、受け入れに必要な期間・工数を抑えることが可能です。
社外に出ている間に、新たに得られた知見や技術を活かして、組織に新しい風を吹き込んでくれる効果も期待できます。
(2)企業ブランディングの強化
アルムナイ採用で「一度辞めた人材が戻ってくる」という事実は、それだけで企業ブランディングの強化につながります。「一度辞めても、また働きたいと思える会社である」というメッセージは、社内外にとって大きなプラスイメージとなるからです。
また、既存メンバーにとっても、「自分の退職も円満に受け入れてもらえるかも」と感じられることで、組織に対する信頼や心理的安全性が高まります。
(3)採用ミスマッチの抑制
過去に働いていた経験がある方は、仕事内容だけでなく、社内文化や価値観への理解があるため、入社後のギャップも小さく、定着しやすい利点があります。
企業側も「以前の様子を知っている」ことで、適切なポジションや働き方を提案しやすくなります。「お互いにとって無理のない再スタートを切れること」が、ミスマッチ防止の鍵になります。
アルムナイ採用を成功させるためのポイント
様々な利点があるアルムナイ採用ですが、単に「一度退職した方に転職のオファーをする」だけでは成功するとは限りません。成功率を高めるために、次のポイントを抑えておくことが重要です。
退職時の円満なオフボーディング
まず重要なのは、「そもそも、退職した段階で良い関係性が築けているかどうか」です。成長やライフステージの変化に伴う転職は、今やごく自然な選択肢のひとつです。それを否定的に捉えるのではなく、個人の意思としてきちんと受け止め、丁寧に送り出す姿勢が、再び関係がつながる可能性をつくります。
途切れない関係性構築の工夫
次に求められるのは、退職後も「元社員」との円満な関係を維持することです。SNSグループや社内報、イベントへの招待、情報発信など、適度な距離感でつながり続ける工夫が、再雇用の際の心理的ハードルを下げてくれます。
社内の受け入れ体制の整備
そして、戻ってきたときにスムーズに活躍できる環境も欠かせません。たとえば、期待する役割や迎え入れるポジションの設計、既存社員の理解・納得感、復職後のサポート体制など、受け入れ側の準備が整っているかどうかは、アルムナイ採用の成否を大きく左右します。
エンジニア採用でアルムナイ採用が重要である理由
他の職種に比べて、ITエンジニア採用で特にアルムナイ採用が重要な理由についてご説明します。
人材の流動性が高くステップアップのために転職する人が多い
近年、注目を集めている生成AI技術に代表されるように、ITエンジニアは技術トレンドの変化が非常に速い業界です。そのため、そこで活躍するエンジニアの方々も「どんな言語・フレームワークを習得すれば自身の価値を高められるのか」について、常に関心を持っている方が多いです。
また、新しい技術に携われる機会・環境を求めて転職に積極的な方も多く、結果として人材の流動性が高い業界になっています。
キャリアパスと経験を積む業務領域の多様性
エンジニアの転職では、学歴よりもスキルや経験が評価されます。また、キャリアパスも非常に多様で、主要なものだけでも次のような選択肢があります。
- 特定の技術領域で経験を積み、スペシャリストを目指す
- 開発者から、EMやスクラムマスターなど、マネージャー的役割を目指す
- 大企業からスタートアップ、受託から自社開発など、企業規模や業態・事業ドメインが異なる企業へ挑戦する
そのため、エンジニアの方々は将来のキャリアビジョンを前提に「次はこういう経験を積みたい」という理由で転職したり、「今までとは違う分野に挑戦して自身の見識を広め、市場価値を高めたい」といった理由で転職するなど、他の業種に比べて「ステップアップのための転職」を意識するきっかけ・動機が生まれやすいと言えます。
売り手市場のため、より良い待遇を求めて転職する人も多い
Dudaの調査によると、ITエンジニアの求人倍率は2025年4月時点で10倍を超える売り手市場です。(https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/)
多くの企業がDX推進を進めていく中で、エンジニアの需要は供給を大きく上回っています。そのため「ステップアップのための転職」に限らず、「今より年収を上げたい」「フルリモート・フルフレックスで働ける企業に務めたい」といった、より良い待遇を目的とした転職をする人も少なくない状況です。
「転職する機会」が多いからこそ「退職時の関係性維持」が大事
このように、エンジニア採用市場には「流動性の高い」という特長があります。
エンジニアの方々が転職を経験する機会が多いからこそ「転職の前後で、いかに良い関係性を維持するか」が重要になります。
次は「退職者との関係性維持」のためにおこなっているLAPRASの取り組みをご紹介しましょう。
LAPRASが大切にしている「円満なオフボーディング」
アルムナイ採用を現実的な選択肢にするには、退職のときにどのように円満な関係を維持するかが大きなカギになります。LAPRASではこの考えを踏まえ、退職者との信頼関係を前向きに整理するために「退職ダイアログ」という場を設けています。
「退職ダイアログ」とは、関係性を閉じないための対話の場
LAPRASの「退職ダイアログ」は、退職が決まったメンバーと、社内に残るその他のメンバーが集まり、互いの気持ちを率直に伝え合う対話の時間です。送別会のような「退職者を労うことを目的とした場」ではなく、「残るメンバー、退職者のそれぞれの気持ちを吐き出して共有する場」ことが目的です。
退職は、辞める方・残る方それぞれに影響を与えるため、様々なモヤモヤ・不安を抱えてしまいがちです。退職ダイアログは、そうした気持ちを素直に伝え合うことで、互いが互いを理解し合い全員で共通認識を持つためにおこなわれています。LAPRASの開発チームでは2020年から実施されており、これまでも様々なメンバーを見送ってきました。
たとえば、次のようなやり取りが自然に交わされます。
【残るメンバーから、退職者への言葉】
- 「あの機能の開発、実はあなたの粘り強さがすごく心強かった」
- 「自分が入社したばかりのとき、Slackで声をかけてもらったのが本当に救いでした」
- 「決断を聞いたときは驚いたけれど、らしいなと思った。これからも応援しています」
【退職者から、残るメンバーへの言葉】
- 「実は言い出すまでにすごく悩みました。でも、話してからの皆の対応に救われました」
- 「最後に、ちゃんと感謝を伝える場があってよかった。LAPRASで働けて本当に良かったです」
「また一緒に働きたい」と自然に思える関係性を残す
この退職ダイアログを通じて、退職者は応援されながら安心して次のステージへ進むことができるようになります。一方で、残るメンバーも「またいつか一緒に働きたい」と心から思えるような関係性を維持し続けることができます。
このような「前向きな別れ」があるからこそ、退職後も自然に連絡を取り合えたり、アルムナイとして再びLAPRASに関わる未来が、違和感なく描けるのです。
退職ダイアログを経て退職した社員の声
実際にLAPRASの退職ダイアログを経て退職した元社員の体験談をご紹介しましょう。
https://zenn.dev/lapras_inc/articles/0fe161a13ba533
単なる手続きではなく、人と人との関係を丁寧に締めくくる時間があること。それが、LAPRASにとってのオフボーディングであり、アルムナイ採用の土台でもあります。
退職時から始まる採用戦略
エンジニア採用の難易度が高まる中、アルムナイ採用は、信頼関係を軸とした新たな選択肢として注目されています。「また一緒に働きたい」とお互いに思える関係性があれば、単なる人材補充ではない、価値ある再会を実現することができます。
今回ご紹介したアルムナイ採用成功のためのポイントや「退職ダイアログ」を参考に「円満なオフボーディング」ができる仕組みづくりに取り組んでみてください。また「元社員にスカウトを送りたいが、どんな文面にすればいいかわからない」など、アルムナイ採用に向けたアプローチでお悩みがある方は、ぜひLAPRASにご相談ください!
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