LAPRAS SCOUTを活用したエンジニアのダイレクトリクルーティング活動の結果、Goエンジニアの業務委託採用を成功させた株式会社アンチパターン。その背景には、採用に対する柔軟な考え方と、早期の外部パートナーの活用がありました。エンジニア採用において持っていた課題感から、LAPRAS SCOUT導入経緯、利用方法について、アンチパターン代表取締役の小笹 佑京さんと、同社の採用活動支援を行う株式会社ポテンシャライトの北嶋 耶絵さんより、詳しくお話を伺いました。
《プロフィール》
株式会社アンチパターン 代表取締役 兼 ソフトウェアエンジニア 小笹 佑京さん
1991年生まれ。立教大学卒業後、2014年にB2Bマーケティングオートメーションツールを提供する株式会社イノベーションに入社。新卒からソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートするも、わずか1年で全社MVPを獲得、2018年開発本部長に就任。2019年7月「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」を理念に株式会社アンチパターンを創業。現在、スクラムマスターとして開発チームとプロダクトオーナーをサポートしながら新規事業を推進。「AWS DevDay 2020 Japan」に登壇するなどソフトウェアエンジニアとしての活動を続けながら代表取締役を務める。
2019年7月創業。エンジニア向けコワーキングスペースの運営、大学生向けエンジニア教育事業、AWSエンジニアマッチングプラットフォーム事業、ソフトウェア開発支援事業、これら4つの事業を多面的に展開しています。現在、メンバーは正社員・業務委託を含めて約30名で構成。9割のメンバーがエンジニアであり、エンジニアによるエンジニアのための会社を運営。「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」という理念を掲げ、エンジニアのスタープレーヤーを輩出することで、ソフトウェア業界全体の活性化と地位向上を目指しています。
株式会社ポテンシャライト HRパートナー 北嶋 耶絵さん
1985年生まれ。株式会社ポテンシャライトへ2019年に入社。シード期〜シリーズA前半のスタートアップを中心にエンジニア採用 / 採用広報支援に従事。2020年5月からアンチパターン社の採用支援を開始。ゼロからアンチパターン社の採用を立ち上げ、採用ブランディング、エンジニア採用広報、システム導入から採用ワークフローの確立、CX(候補者選考体験)を考慮したオペレーションの構築を支援。前職は百貨店で販売、外資系ラグジュアリーブランドの人材支援、スタートアップ×女性のキャリア支援、フリーランス人事として活動。現在は、同社の採用管理システムの事業開発も兼務。
2017年4月創業。『Grow Up Ventures.』というミッションを掲げ、ITベンチャー企業様向けに採用支援事業、人材紹介事業、採用管理システム事業を展開しています。創業4年で180社超の採用支援の実績があり、そのうちの8割がエンジニア採用支援になります。年々競争が激化する企業のエンジニア採用を成功へ導くために『経営・人事・エンジニア』の三位一体となる協業体制の構築を目指して、顧客と伴走させていただき企業のエンジニア採用活動における発展の一翼を担えるよう尽力させていただいています。
目次
実力があれば雇用形態にはこだわらない。副業&業務委託採用を本格化
ー エンジニア採用において、御社が認識していた課題や問題点を教えてください。
小笹:アンチパターンは2019年7月創業で、採用活動を本格的に開始したのは2020年5月、ちょうど1年前からです。それまではPush型の採用、いわゆる「ダイレクトリクルーティング」を活用した採用は一切行っておらず、採用ブランディングによる母集団形成、採用広報などのPull型による採用が主軸でした。ポテンシャライトの北嶋さんには、採用の土台がゼロの状態から支援に入ってもらっており、理念への共感や価値観の合致を重視する私たちの採用方針について何度か議論を重ね、採用ブランディング・採用広報を中心にサポートいただきました。
北嶋:当時の私の役割は、採用広報の企画からインタビューの実施、執筆までを担っていました。採用広報の企画では、小笹さんに相談しながら、読み手となるターゲット、ターゲットのインサイトやメッセージングの設計を行い、アンチパターン社の魅力が5P+CGM(※)で偏りなく打ち出せるように取り組んできました。
(※) 5P+CGMとは、ポテンシャライトが提言している企業の魅力項目 (Philosophy、Product、Privilege、Person、Profession、Culture、Growth、Market)のことです。
小笹:採用広報を始めてから自己応募をいただけるようになりましたが、実際に候補者の方と面談を実施したりと採用活動を本格的に始めてみると、「正社員として雇用する」というのは、少々ハードルが高いなと感じました。アンチパターンはステージ的に“シード”に当たるベンチャーということもあり、現時点での事業の安定性などを考えた時に、コミットメントをこちら側に100%移してもらうというのが非常に難しい。
なので、途中から正社員採用だけではなく副業や業務委託という雇用形態で「可能な限り我々に時間を注いでいただける方」を採用する方針へ切り替えた方が、僕らも参画いただく候補者の方もリスクが低いのではないか?採用活動としてはうまくいくのではないか?と考えるようになりました。そうした時に、転職顕在層をリサーチすることを基本的な使い方とする、「一般的なダイレクトリクルーティングサービス」では、我々の採用方針との食い違いが出てきました。その点LAPRAS SCOUTは、必ずしも雇用形態にこだわらずに、エンジニアの方々と様々な接点を持つことができる。これは非常に魅力的なサービスであると感じました。
北嶋:LAPRAS SCOUTが決め手となった理由のひとつには、Twitterとの連携が強いことがあります。アンチパターン社が2020年にリリースしたエンジニア特化型のコワーキング事業「HarborS」のTwitterアカウントには、エンジニアだけで3,000名程のフォロワーさんがいます。HarborS事業のみならず、自社の採用活動においてもTwitterは有効な手段なのではないかと考え、Twitterを利用しているエンジニアへアプローチが可能なサービスを検討した時、選択肢としてはLAPRAS SCOUTしか思いつかず、利用しない理由も特に見当たりませんでした。
また、LAPRAS SCOUTには一般的な転職市場のデータベースに登録していないエンジニアにも出会える、まずは情報交換からお願いしますと気軽に声をかけられることもサービスの魅力でした。Push型での採用活動を始めてからアンチパターン社で利用しているダイレクトリクルーティングサービスは、LAPRAS SCOUTのみです。
採用活動全体のマネジメントをパートナーに一任し、エンジニア採用のコア業務をメンバーが担う
ー 現在のLAPRAS SCOUTの運用方法について教えてください。
小笹:まず採用活動全体のプロジェクトマネジメントは、北嶋さんに担ってもらい、プロジェクトが止まらないように取り仕切ってもらっています。ジョブディスクリプションの整理、採用活動の設計、求人票の作成などを含め、ダイレクトリクルーティングに直接関わらない部分も含めて見てもらっています。
LAPRAS SCOUTでの候補者のリサーチは、代表の私と取締役の信田で実施しました。信田にはTwitterやconnpass等のSNSを中心にリサーチしてもらい、私はLAPRAS SCOUTのレコメンド機能を活用してリサーチするという役割分担をしました。
今回はGoエンジニアを探していましたが、以前ネットワークエンジニアの採用を考えていた時期もありLAPRAS SCOUTでいろいろ試した経験がありましたので、だいたいどんなタグを入れればレコメンドされるか、という感覚は掴めている状態でした。また、「Clean Architectureに理解のある方」「ドメイン駆動設計に理解ある方」という要件を想定して探していたのですが、「これらの要件が個人のアウトプットなどの発信から見える方」というところも重要視してリサーチしていました。
LAPRAS SCOUTを活用したアプローチ数ですが、私と信田がそれぞれ週次で10名程の候補者をリサーチし、合計で20名程度の候補者の中から特に弊社とフィット感がある方から順にご連絡を差し上げていくという方針で進めました。
北嶋:LAPRAS SCOUTと他社のダイレクトリクルーティングの違いは、非エンジニアの採用担当だけでは完結できないサービスであることが挙げられます。具体的には、LAPRAS SCOUTは候補者の技術的な情報が多くエンジニアリングの知識を持ち合わせていない採用担当者にとっては、正直LAPRAS SCOUTの運用はハードルが高い部分があります。
しかし、自社のエンジニアを巻き込んだ採用活動の体制さえ構築すれば、エンジニアだからこそ候補者の技術力やその人の志向を理解し、カスタマイズの効いたスカウト文章の作成が実現できます。結果的にスカウトの返信率も高くなりますので、スカウト運用のコア部分はエンジニアメンバーに担当してもらっています。多くのエンジニアが、LAPRASというプラットフォームに参加し続けてくれてくださっているのは、スカウトの質の高さつまり、エンジニアだからこそ触れることができる候補者の技術力や強み、候補者のやりたいことに対して企業が提供できることをスカウトメールに記載し、候補者へお伝えが出来ているからなのではないかと感じています。
一方で、エンジニアメンバーがスカウト文章を作成すると、どうしても淡泊なテキストになりがちだったりします(笑)。そこは、エンジニアではなく採用業務をメインでやっているからこそアドバイスができる部分でもあり、小笹さんがスカウトをお送りする前に、スカウト文章のレビューを実施するフローを踏んでいます。その際に、読み手に寄り添った文章、アンチパターン社の事業を魅力に感じていただけるような文章になっているか?という観点で添削し、スカウトの返信率を最大限に引き上げられるようにサポートしています。スカウト文章の作成・添削では、前途で申したアンチパターン社の5P +CGMで設計した魅力内容をスカウト文章に落とし込んでいます。
現場連携によるフレキシブルなオペレーション設計でスピーディーな採用決定を目指す
ー Goエンジニア採用は非常に難易度が高いと思います。成功した理由は何でしょうか。
小笹:アンチパターンの場合、マイグレーション案件では無く、Goを既に事業で使っていて、Clean Architectureを採用するなどシステム設計もしっかりこだわりをもって行っているところを候補者の方にご評価いただけた、という部分はあると思います。またモダンな技術を取り入れることはもちろん、AWS上のインフラアーキテクチャも含めて、モダンな環境になっていることは魅力に感じていただけたようです。
ー 面談して1ヶ月で決定、契約翌日から稼働されています。スピード感が際立っていますね。
小笹:採用決定するに当たってスピードは非常に大切だと思っています。今回は、タレントプール追加から1ヶ月未満で稼働開始しています。アンチパターンという会社は、まだまだ知名度が低いですから、いかに早く決定できるかについてはこだわりました。
北嶋:今回、正社員採用の選考フローから選考回数や意思決定者を思いっきり少なくしたのは大幅な変更でした。選考に関わるエンジニアメンバーには、開発業務を優先していただきつつ、原則一日で決めることを意識してもらっています。経営ボードメンバー含めフレキシブルに選考フローや選考スタイルを変えることにポジティブなので、CXを考慮したオペレーションの設計も出来たことは非常に良かったと感じています。
小笹:そうですね。今回は僕と新規事業のプロダクトオーナーとの2名で最初の面談させていただいて「今回、こういうプロジェクトに入って貰いたいと思っているんです」と説明させていただきました。スカウトをお送りした段階で我々の情報はかなり伝わっているので、面談では候補者の方が気になっているポイントを丁寧にヒアリングし、1つひとつピースを埋めていくように情報を補足していきます
また、面談の中で我々も「いいな」と思ったら、その場で「ぜひ●●さんとご一緒したいのですが、どうでしょうか?」と、オファーさせていただいています。雇用形態も業務委託ということもあって、お互い「違ったね」ということになればまた別の機会にという選択をとれるので、まずは現場に入っていただいて、判断していただければと思っています。
北嶋:今回、採用が決定したGoエンジニアの方のほかにも、アンチパターン社には、既に複数名の業務委託エンジニアの方にご参画いただいていますが、現時点で契約の更新率は100%です。
この背景には、入社後にミスマッチが起きないよう面談や選考でしっかり期待値調整がなされていること、入社後のオンボーディング体制が構築されているため、業務委託の方が早期に活躍ができる環境を積極的に整備して下さっているからだと思います。シード期のスタートアップで、ここまでスムーズな業務委託&副業エンジニアの受入が実現できている企業は、比較的珍しいのではないかと感じています。
ー 今後のエンジニア採用の展望を教えてください。
北嶋:エンジニア採用の難易度は年々上がっています。最近感じることとしては、非エンジニアの人事では汲み取れない“エンジニアだからこそエンジニアの気持ちがわかる部分”が大いにあると思いますので、エンジニア採用のフロント部分はエンジニアに託し、採用担当は、エンジニアの裏側で採用プロジェクトをサポートする役割に徹した方がエンジニア採用においては成功するのではないかと感じています。その点、LAPRAS SCOUTは、機能的にも現場のエンジニアを巻き込まないと完結できないサービスとして作られていますので、エンジニアと連携した採用のワークフローの構築、プロジェクトマネジメントもしやすいサービスです。アンチパターン社の採用方針とマッチしていますので、今後も積極的に活用させていただきます。
小笹:アンチパターンは、9割のメンバーがエンジニアで構成されています。採用のプロジェクトマネジメントは北嶋さんにお願いしていますが、スカウトメールからカジュアル面談、選考面接など候補者とのタッチポイントとなる部分は全てエンジニアが行なっています。また、アンチパターンでは行動方針のひとつとして「Don’t be closed」を掲げており、雇用形態問わず情報の透明性を非常に大切に考えています。「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」という、アンチパターンの理念に共感していただけるエンジニアの方は、雇用形態にこだわらず、是非何かしらの形で接点を持てると嬉しいなと思ってます。
ー 本日はありがとうございました!