【ウェビナー書き起こし】LAPRAS共同創業者が解説する、明日から始められる「採用広報」

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※本稿はLAPRAS SCOUTの利用企業向けに「採用広報の始め方」と題して2020年12月に行ったウェビナー開催のセミナーを、一部加筆修正したものです。

「採用広報」は「マス向けアプローチ」と読み替えよう

LAPRASの共同創業者の二井です。まずは私のバックグラウンドを簡単にお話しさせて頂きます。楽天にて楽天市場事業ECコンサルタントとして3年程勤めた後、Qrioというスマートロックの会社でEC事業の立ち上げなどを担当し、その後LAPRAS(旧scouty)を共同創業して今に至ります。

つまり私は「エンジニアリング」も「採用」も、全くやったことがない状態でLAPRASを立ち上げたんですね。
「もともとエンジニアリングがわかっていた」というようなバックグラウンドは無いんです、というところは、皆さんに強くお伝えできればな、と思っているところです(笑)。

というところで、改めまして、LAPRAS SCOUTを今年もご活用頂き有難うございます。
2019年の「忘年会」では、スカウトメールの書き方など、アトラクトの手法についてお伝えさせて頂きました。この2020年「忘年会」では、我々のプロダクトやサポートが体系化されたこともあり、スカウトのオペレーションをしっかり回せる様になった企業様が多く見られました。

「スカウトは形になってきたので、次の一手が打ちたい」という企業様のご相談の中でよく出てくるワードが「採用広報」でしたので、今日は「採用広報の始め方」というテーマでお話しさせて頂きます。
内容的には、体系化されて正しいものをお伝えするということよりは、「明日から使える」ですとか、「今月や来月、採用広報をちょっとやってみたい」という時に、着手する切り口はどこなのかということにフォーカスしてお話しさせて頂きます。

「採用広報」とは、つまり「マス向けの採用アプローチ」であると思いますが、これをどのように考え、何から着手をしていくのがいいのか。いろいろな手段がありつつも、具体的なところがなかなか分からないというのが実態かな、と思います。

会社は多くの場合「立ち上げ期」「仕込み期」「(仕込みが花開く)スター期」という3ステージに分かれると理解しています。
会社の認知に関しては、「立ち上げ期」ではグッと広がり、その後は色々やってもあまり効果が出ない期間があって、また事業がグッと伸びた時に認知がさらに広がるという構造になっています。

そこで、「時間軸で区切って、着手する内容を考えましょう」というのが、今日の私からの提案になります。
それぞれの期間でどういう活動をすべきかというのを、簡単にまとめてきました。

会社単位で網羅的な情報をしっかり掲載することが重要な「立ち上げ期」

「立ち上げ期」は「候補者にとって最低限必要な情報がWEB上に載っていない」というレベル感です。
ここでは不足している情報を載せていくだけで、候補者にとって求めているものが出てくるということで喜んでもらえます。
また情報が増えていくことによって、メール返信の返信率(CVR)が上がったり、メール返信後の面談に繋がる率が上がるなど、前工程におけるCVRは上がっていきます。

では、「立ち上げ期」に発信するべき情報の切り口がどんなものであるか見ていきましょう。
LAPRASでは「技術軸」「事業軸」「チーム軸」という単位を好んで使いますので、この表もそうなっています。
また組織の単位は会社単位、チーム単位で区切っています。「技術」に関してはエンジニアの技術力についてのものですので、ビジネス採用の場合「スキル」というように読み替えられるかと思います。

「技術軸」でやるべきことは、今の技術構成や技術スタックについての情報を求人票にあげたり、記事を一本書いたりすることです。
「サービス軸」としては、例えばシード期の会社ですと、コーポレートサイトがない会社やリクルートページがない会社さんもおられます。
こういう場合は、それをまず作るとこから始めると良いですね。
「チーム軸」では、Wantedlyの活用がすごく便利です。プロフィールをまだ埋められていないのであれば、やればすぐに効きますので着手すべきポイントです。

「仕込み期」は、不足している情報をコツコツ埋めていくフェーズですので、本日参加されている採用担当の皆様が記事を1、2本書けば埋められる、足回りの軽いところになりますので、まずはこちらをやり切って頂きたいところです。
またそれぞれの軸で、常に情報が最新であるかどうかの点検も、すごく意味があると思います。

一方で、このような「会社単位」の情報が出揃っていない中で、細かいチーム別の話を広報しようとすると、ミスリーディングに繋がりかねません。
また全体が見えないため、効果がなかなか出にくいこともあります。
もし顔の見える取り組みを「立ち上げ期」にしたい場合には、社長のTwitterを育てることをオススメしています。

実は、弊社LAPRASを含めてほとんどの企業様は、この「立ち上げ期」を完全には脱していないと思っています。
何か着手しようとした時に、テックブログの立ち上げだとか、突然会社のリブランディングから入ってしまうケースが後を絶ちませんが、こういった活動は採用チームで完結させられず、かなりのコストがかかります。
一方で、網羅的な情報を最新に保つというのはコスパが良い方法です。まずは「立ち上げ期」でやるべきことをきっちりやることから始めることを、お勧めします。

来るべき「スター期」へ向け、テックブログ等のリードタイムの長い活動を行う「仕込み期」

次に「仕込み期」です。
今日ご参加の会社様は、このフェーズにいらっしゃる方が多そうですね。
一つ一つの施作の効果実感がすごく得られにくいタイミングなので、皆さん悩まれると思いますが、その原因のひとつが「仕込み期」のフェーズであることが多いと思います。

「仕込み期」にフォーカスすべきなのは、継続的な活動、リードタイムの長い活動によって資産を貯めていく、という考え方です。
会社は調達を続けてフェーズが変わっていくと、給与レンジを変えたり、カルチャーを変えるというような、時間のかかる施策が必要になってきますよね。
採用担当としては、事業がグッと伸びる「スター期」のタイミングに向けて、採用がボトルネックにならないように時間のかかる施策を仕込んでおくべき期間になります。

このタイミングでやると良い活動についてご紹介します。
代表的な例は、ブログのように継続的に発信をするような媒体や、テックイベント(Ruby会議、PHPカンファレンスなど)への登壇ですね。
また、これまでの採用活動の過程で発信しているものをとりまとめたメディア、媒体を運営するのも良いと思います。

あとは、これまでの内定辞退の理由を聞いて、その理由を一つずつ潰していくというのも、この「仕込み期」にやっておくのがオススメです。
IPOをした直後や、またその前後など、採用を沢山する必要がある時に向けて、会社全体の能力が上がっていきます。

これらを「仕込み期」にやっておくと、事業がグッと伸びて採用のボリュームの桁が一つ変わるようなタイミングの「スター期」に、採用広報資産のレバレッジが効いてきます。
例えば、月間5〜10人採用しなければいけないペースになった時、土台があれば、「この会社この技術使ってるね」→「こういうサービスをやっていて、中にはこういう人いたよね」→「今、採用をすごくやっているらしい」という流れが出来ます。
こうなることで、インバウンド応募が現実的な見込みのある経路になっていくというような理解をしています。

その後の「スター期」になりますと、何をやるべきかは会社様によって個別に違うかなと今は思っておりますので、本日はこの「仕込み期」のフェーズまでについてのお話しとさせて頂きます。

自社に対して候補者が興味を持っているポイントがどこか見極める

つい先日、stand.fmの河合社長が「エンジニア向け会社紹介資料」を公開していました。
「よく話すことや聞かれること、伝えたいことを盛り込みました」ということで、拝見したところすごく良いなと思ったポイントがあったのでご紹介します。

最初は自分たちが発信したい内容、伝えたい内容を揃えていくと思いますが、その後PDCAを回していくときは「候補者が興味を持った話にフォーカスする」というのが大事だということですね。
皆さん心掛けておられる部分だと思います。

エンジニア採用の場合、面談は社内エンジニアが行なっていることが多いと思います。
そこで採用担当の皆さんは、「何の話が刺さりましたか?」「刺さらなかったポイントはなんですか?」といった形で社内でヒアリングを行い、どんなストーリーだと自社は候補者へアトラクトができるのか、ということを、面談の質疑コミュニケーションからため込んでいくのが良いと思います。

営業やフィールドセールスが顧客から聞いた声をマーケティングやPRに盛り込み、プロダクト全体のマーケティングを変えていくというプロセスは一般的ですよね。
カジュアル面談で応募者から聞いた声を広報やマーケティングに還元していくというのは、このプロセスとほぼ同様のものだと私は考えています。
採用担当やエンジニアの方が、直接応募者と相対して得たインサイトを、記事や広報の文脈でマスマーケティング用に還元していくプロセスなのではないでしょうか。

「採用広報」をやりたいという会社さんにおかれましては、是非、今、目の前に見えているインサイトに対して、足りていないWEB上の情報をまずはアップデートすることをしてみてください。
今日、このウェビナー後、皆さんが記事を書いていただければ、来月には1、2本の情報がすぐにアップできるのではないかと思います。
これが、最後にお伝えしたいメッセージとなります。

実際の企業採用担当者様からの、各種お悩みにLAPRASが答えました。

本ウェビナーでは、参加頂きました企業さま方から、実際に採用活動での悩みや課題感を共有頂き、LAPRASとしてお答えするコーナーを設けました。
一部質疑をご紹介させて頂きます。

企業様:採用広報の中で、スター期になりかけている採用企業さんがあれば教えて欲しい。

二井:「候補者がたくさんきて捌けない」というのがエンジニア領域で起こっている企業さんが、スター期のイメージです。
そのイメージいうと、スター期になっているのはメルペイ、2020年だとベルフェイスが該当すると思います。

ブランディングが失敗していると、求めている属性とは違う方からの応募がたくさん来てしまい、大変になってしまいます。
例えばメルペイは、「仕込み期」にmercanやテックブログを長くやっていたので、スター期が来た時に、その採用目標のイメージを応募者側にも持ってもらえたのかなと思います。

企業様:採用広報は、すぐに結果が出ずインセンティブが後で返ってくるイメージがあると思います。
そういった成果は、LAPRASの持っているデータからも見ることができますか? 例えば承諾率が急に上がった等。

本庄(CS):内定承諾率まではデータが取れていませんが、例えば「興味通知」の返り方、「興味あり」の返り率やリアクションに関しては、外部に情報がたくさん出ている会社さんは反応が明らかに違うということが分かっています。

二井:具体的には、「広報をしている」「していない」で2倍ほど率が変わってきます。
逆に2倍程度で止まってしまうとも言えますので、採用広報をやっていない会社さんはダイレクトリクルーティングの方が効果が出やすい場合もあります。
とはいえ「2倍」という返り率は、採用担当としてはかなり大きな数字ですよね。
ですから、しっかりやっていった方がいいところなのかなと思っています。

企業様:テックブログは人事起点のみだと難しく、エンジニアでリードしてくれる人の必要性を感じている。
以前「テックブログが廃墟になりやすい理由」というブログ記事があって、分かりみが深かったです。何か打開策はありますでしょうか。

二井:TECH BLOG NIGHTというイベントを弊社で主催したことがあります。
テックブログで成功しているクックパッドさんの事例だと、エンジニアがKPIを背負って毎日書く、この頻度で書く、というのを1年やり切って、なんとか文化を定着させたとおっしゃってました。
そういうもの、ではあるかなと思います。

Q:広報施策は、人事が起点となりつつも空回りすることが多いと感じている。実業務のあるエンジニア達を巻き込むところに課題感を感じています。

二井:最近は「このポジションは誰と誰でやります」と明示的にアサインし、採用チームのチームビルディングするというのが良いのではないかと思っています。


本ウェビナーの内容について更に詳細にご興味のある企業様は、ぜひエンジニア採用1on1にお申し込みください。共同創業者の二井が貴社のエンジニア採用のお悩みにお応えします。

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