世界最大のリモートワーク企業から学ぶベストプラクティス

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前回ご紹介した「LAPRASが居住地不問のリモート採用に踏み切ったわけ 〜これからのリモートワーク〜」の記事で、

フルリモート +「失われる何か」 = オフィスより良い新しい働き方

という指針をご説明しました。

この指針に基づくと、組織開発のアプローチとしては「最高のリモートワーク組織の追及」と「失われる何かの定義と補填する仕組みの導入」という2つに絞られてきます。

今回の記事では前者の「最高のリモートワーク組織の追及」について、LAPRASがどんな取り組みをしているのか少しご紹介していきたいと思います。

最高のリモートワーク組織の追及

皆さんは、世界最大のリモートワーク企業をご存知でしょうか。

GitLabは2014年から世界67か国、1200名以上がオフィスを持たず全員がフルリモートで働いている企業です。(海外ではフルリモートではなく、All-Remoteと言っています)GitLabは、GitHubのようなGitリポジトリマネージャーサービス「GitLab」を提供しています。

MNTSQのCo-Founder安野 貴博さんのnoteでもGitLabについて語れていたのでご存知の方もいるかもしれません。

GitLab社は、彼らの持つリモートワークのノウハウをGitLab Remote Playbookとしてebookで公開しています。

彼らが6年間フルリモートで蓄積してきたノウハウを惜しげもなく公開してくれるという非常に太っ腹なコンテンツです。車輪の再発明という言葉があるように、上手く行っているものがあるならつくり直すより先人の知恵からスタートしたほうが効率的でしょう。

ただし、上手くいっているやり方を取り入れるときは、表面的な方法論だけを真似してもうまくいきません。全体像を掴み、思想を解釈しながらポイントを押さえて真似していく必要があります。

そこでLAPRASではGitLabのRemote Playbookを和訳(約3万文字/原稿用紙75枚分)し、全体観を持って取り入れることでリモートワーク環境の基盤を構築することにしました。

和訳したドキュメントは、社内のドキュメント共有ツールで閲覧可能にしています。GitLab社がebookで公開しているものなので、外部公開はできませんが興味があればお尋ねください。

重要なポイントの抜粋

Remote Playbookのなかから、特に重要なポイントをいくつかピックアップしてみます

コミュニケーション(フォーマル/インフォーマル)を設計する

コミュニケーションのスタンス、スケジュールの抑え方、Slackの使い方など業務でのコミュニケーションのルールをすべて明文化して決めています
また、リモートワークではインフォーマル(非公式な)コミュニケーションは自然発生しないので、意図的に用意する必要があります

リモートワーク前提の業務プロセスを設計する

同じ時間にオフィスに顔を合わせるのではなく、タイムゾーンが違う世界中のメンバーとコラボレーションするために、GitLabは非同期の仕組みを導入しています。
例えば、会議はすべて録画され、議事録に余すことなく起こされ、会議の参加は本当に重要な人以外任意です。
人間工学に基づいたリモートワークに適したデスク環境などの指針も会社が示し、誰もがリモートワークに適応できるよう支援します。

ドキュメント文化がすべて

リモートワークのモットーは「かすれた鉛筆の方が、鮮明な記憶よりも優れている」です。
すべてをドキュメント化することで、オフィスに居た頃にタイミングを見計らって「ちょっといいですか?」と質問していたことが必要なくなります。
また、誰がいつ何処で読んでも同じ情報を得ることができます。
オンボーディングは簡単になり、毎回同じ質問を繰り返さなくて良くなるでしょう。

リモートワークに向いたカルチャーを醸成する

リモートワークではローコンテクストコミュニケーションが必須ですが、テキストコミュニケーションはすれ違いを生む可能性も含んでいます。
お互いが信頼し協力し合える、健全なコラボレーションを行うために、
Valueが根付いたカルチャーを育む必要があります

翻訳をしていて感じたこと所感

ダイバーシティ&インクルージョンを推進するうえで、ローコンテクストコミュニケーションが不可欠だということが良く伝わってくる内容でした。

日本で過ごしているとあまり実感しませんが、世界の様々な人と仕事をするという事は国によって価値観・考え方・風習などが違う人たちでコラボレーションすることになります。

当たり前の基準が違う人たちが集うわけですので、どんな価値観の人でも理解の出来るコンテクスト(文脈)をテキストに落とすことで、あらゆる国の入社間もない社員でも理解が出来る様になります。

また、絵画や図は人によって解釈がいくらでも膨らみますが、テキストはそれと比較すると解釈は分かれづらいものです。書かれていることがすべてであれば、書かれていないことに怯える必要もありません。

空気を読むとか、地雷を踏むとか、それは前話した事だと知らずに蒸し返してしまうとか、そういうことがローコンテクストコミュニケーションでは起こりづらいと言えます。

日本の様に比較的画一的な価値観の人だけで仕事をする場合であってもこれは有効です。空気を読むのが苦手な人や歴史をあまり知らない新入社員でもコンテクストが満たされたドキュメントをベースに仕事をするのであれば、不安が少なくなります。

思っているだけでは伝わらないことがあるように、言葉に出して言語化することでお互いの解釈の差を埋めて行くことがコラボレーションの第一歩と言えるでしょう。

ローコンテクストコミュニケーションを導入する際の注意

テキストコミュニケーションは、相手の顔が見えなかったり、文章だけだと冷淡に見えることがあります。

ハイコンテクストコミュニケーションに慣れている人には、テキストコミュニケーションが攻撃的に見えたり、相手が意図していないことも想像してプレッシャーに感じてしまうことがあります。

これを避けるためにも、テキストの発信者は受け手に十分配慮した発信を義務付ける必要があります。また、テキストコミュニケーションではテキストで表現されている以外の事は気にしなくて良い(不文律はない)ことを宣言し、またそれが守られること。それ以外の部分でもお互い親愛を育めるようにインフォーマルコミュニケーションを意図的に設計していくことなどが必要です。

ハイコンテクストコミュニケーションに慣れてきた人たちにも、徐々にローコンテクストに慣れてもらい、相互に一致していないところを発信してもらえるように努力していきましょう。

まとめ

LAPRASでは、GitLabのリモートワークのノウハウを取り入れ、最高のリモートワーク環境を目指すために歩み始めました。

試行錯誤を続けながら、少しずつ変化し、より洗練されたものになってくるはずです。

そうなってきたら、またLAPRAS版のRemote Playbookを出していけたらなと思います。


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