LAPRASのマーケティング担当の染谷です。
エンジニア採用市場では、転職活動中の候補者は熾烈な獲得競争となっています。一方で、それ以上に多くの候補者が転職意欲を抱えながらも転職活動をしていません。いわゆる転職潜在層と呼ばれる層です。
しかし、この層へのアプローチを継続的に行っている企業は多くありません。そのため、この転職潜在層へのアプローチがうまくいくと他社と競合することなく、採用に成功することができます。
しかし、転職潜在層のエンジニアを対象にした効果的な採用活動の手法とは、どのようなものでしょうか?
LAPRASの自社採用では、この1年間(2017/10〜2018/10)で入社したエンジニアの8割が転職潜在層へのアプローチが実ったものです。
この記事では、LAPRASが実際にどのように転職潜在層の採用を成功させているのか、具体的な手法と実績についてご紹介します。
目次
転職潜在層とは?
まずは、転職潜在層の定義について確認しておきましょう。
転職活動中のエンジニアはほんの一握り、多くのエンジニアが転職意欲はあるが転職活動をしていない
こちらの記事でも書いたように、転職活動をアクティブに行なっているのは国内のエンジニアの2%足らずとごく一部です。一方で、約7割のエンジニアが「より良い仕事があれば転職したい」と考えていながらも、特に転職活動等のアクションを起こしているわけではありません。
転職潜在層とは、転職意欲はあるものの転職活動を行なっていない人
このような、転職意欲がありながらも転職活動を行なっているわけではない層を転職潜在層と呼んでいます。
より具体的には、転職意欲はありながらも、転職サイトや人材エージェントを通じた活動を行なっていない方を指しています。
※国内のエンジニアの転職意向別の割合(IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果をもとに推計)
LAPRASのエンジニア採用実績
実際にLAPRASではどれくらい転職潜在層を採用出来ているのか。採用実績をご紹介します。
この1年で10名のエンジニアを採用、うち8名が転職潜在層採用
LAPRASでは2017年10月〜2018年10月の1年間で10名のエンジニアを採用していますが、採用の経路の内訳は以下のとおりです。
- LAPRAS SCOUT…5名
- リファラル…3名
- Wantedly…1名
- 人材紹介…1名
このうち、LAPRAS SCOUTとリファラル経由の8名については、候補者が転職潜在層の時点からアプローチをした採用です。
一般的には、転職潜在層よりも転職活動をアクティブに行なっている転職顕在層の方が採用しやすいイメージがあるかと思いますが、適切なアプローチをしていけば転職潜在層の採用も特別難しい点があるわけではありません。
妥協せず、本当に欲しい人を採用するための転職潜在層採用
LAPRASがメインの採用経路を転職潜在層に置いているのには理由があります。それは、「本当に欲しい人」を採用するには、転職潜在層をターゲットに置くのが最適だったからです。
LAPRASでは、「少数精鋭」を掲げ、人材は一流にこだわるというポリシーを持っています。この、妥協せず一流の人材を採用するという目的に照らすと転職潜在層をターゲットにするというのは合理的な選択だと考えています。
LAPRASから見た転職”顕在層”向け施策のデメリット
LAPRASでも、人材紹介やWantedly、Paiza、moffersなどの転職顕在層向けの採用施策を活用しています。
しかし、どうしても対象が転職活動中の方に絞られるので本当に欲しいスキルを持った方がなかなかみつかりませんでした。また、知名度が低いために応募の数が集まらないこと、競合が多いため選考の途中で他社に流れてしまうことも多くありました。
LAPRASから見た転職潜在層向け施策のメリット
LAPRASで採用している転職潜在層向け施策は、LAPRAS SCOUTを通じたダイレクトリクルーティングとリファラル採用です。これらの施策が良いのは、本当に欲しい人にアプローチできるという点です。
LAPRAS SCOUTを使えば、WEB上(GitHub、Qiita、ブログ等)での発信活動をしているエンジニアの中から欲しいスキルを持ったエンジニアにアプローチできるので、妥協せず「本当に欲しい人」を探すことが可能です。
また、リファラル採用についても繋がりのある人から、本当に一緒に働きたい人にのみアプローチが可能です。
これらのアプローチは基本的に転職潜在層が対象になるため、アプローチに成功すると、他社と選考で競合する確率が低くなります。
実際に、LAPRASがLAPRAS SCOUT経由で採用した5名中4名は他社と選考が競合することなく採用できています。
また、その4名についてはスカウトメールを最初に送信してから、2ヶ月以内に内定受諾まで進んでいるので、転職潜在層だからといってリードタイムも特に長いわけではありません。
※右に行くほど本当に欲しい人へのアプローチが可能、かつ、他社と競合しにくい
そして、ダイレクトリクルーティング、リファラルといった施策の効果を最大化するためにタレントプールの運用を行っています。
タレントプールを正しく運用できると、今すぐ転職しないものの、本当に欲しい人と漏れなくつながり続けることが出来ます。この間に、アトラクトに成功すると、その人が転職するタイミングで選考に乗ってくれる可能性が高くなります。
転職潜在層時点からアプローチすることの重要性
エンジニアの転職活動時の動きを理解すると、転職潜在層へのアプローチの重要性がより理解しやすくなります。
こちらの記事でも紹介した、上のグラフはエンジニアとエンジニア以外の転職活動の方法を比較したものです。エンジニアはそれ以外の職種と比べて「友達の所属している会社に訪問した」「友達に人事担当者を紹介してもらった」など、エンジニアは転職活動時に「つて」を頼る傾向が強いです。
そして、エンジニアの優秀層ほどこの傾向が強いです。
つまり、転職活動を始める前から自社の求めるスキルを持ったエンジニアと良好な関係性が築けていることは非常に重要なのです。
転職潜在層採用を実現するダイレクトリクルーティングとタレントプールの手法
このような転職潜在層向け採用を実現するためにLAPRASが採用している主な手段がダイレクトリクルーティングとタレントプールです。
ここからは、具体的な手法をご紹介していきます。
※LAPRASの採用活動の概要
転職潜在層採用のためのダイレクトリクルーティング手法
こちらは基本的にLAPRAS SCOUTを活用した取り組みです。LAPRAS SCOUTを使えば、WEB上(GitHub、Qiita、ブログ等)での発信活動をしているエンジニアの中から欲しいスキルを持ったエンジニアにアプローチできるので、妥協せず本当に欲しい人を探すことが可能です。
ただし、ダイレクトリクルーティングで成果を出すには、ただツールを使うだけでは不十分で、スカウトの質と量を担保する必要があります。
LAPRASでは、スカウトの質を担保するために社員全員の入社研修時に一定の質を担保したスカウトメールが送れるようになるまで、ひたすらスカウトメールを作成する研修を行なったり、Slackに#mail-review という他の社員にスカウト文面についてのレビューをもらうためのチャンネルを作っています。
また、スカウトの量についても、全社員参加のスカウトメール作成タイムを毎週1時間設けていて、人事担当だけでなく、エンジニアやビジネスサイドや管理部門も含めてスカウトを作成しています。
その結果、2017年5月から2018年11月16日までに894通のスカウトメールを送信し、122件のカジュアル面談を獲得しております。また、これ以外にも、LAPRAS SCOUTで見つけた人にTwitter経由でDMを送ることもあります。(Twitter採用についてはこちらの記事もご確認ください)
そのため、実際に転職潜在層をターゲットにしたダイレクトリクルーティングで獲得できているカジュアル面談の数はそれ以上に多くなっております。
※実際に採用に繋がったスカウトメール
※毎週、社員全員で参加するスカウトメール送信タイムを設定
転職潜在層採用のためのタレントプール活用法
転職潜在層を採用するもう一つの取り組みがタレントプールの活用です。
LAPRASでは、主にダイレクトリクルーティング等でカジュアル面談やランチをしたものの、直近で選考にのることが難しい候補者をタレントプール運用のメインターゲットに置いています。彼らは、「本当に採用したい人」ではあるものの、転職を検討するタイミングは少し先という人達です。
このようなステータスの人たちと良好な関係を築き、LAPRASについてアトラクトを行ない、彼らが転職を検討し始めたときにはLAPRASもその選択肢と認識してもらうというのがLAPRASがタレントプールを構築している大きな狙いです。
※求めるスキルを持っているものの、すぐに選考に乗るのは難しい候補者をタレントプールで管理してKIT(Keep in Touch)している
※LAPRAS SCOUTのタレントプール機能を活用して、候補者のステータスをカンバン管理している
タレントプール運用の具体的なやり方
実際の運用ではLAPRAS SCOUTのタレントプール機能を活用しています。LAPRAS SCOUTのタレントプール機能ではカンバン方式で候補者を管理できます。
このタレントプールではスカウトメールを送る予定の候補者や選考フローに乗っている候補者も管理していますが、スキルマッチはするものの今すぐ転職をしない候補者を管理するために、KIT(”K”eep “I”n “T”ouch)というステータスを用意しています。候補者の転職までのおおよそのリードタイムから「KIT1(半年以内稼働)」「KIT2(長期)」に分けています。
また、運用上の工夫として「KIT1(半年以内稼働)」には必ずネクストアクションを定義するようにしています。
KITの人達へのアクションはランチ・飲み会といった個人的な活動だけでなく、会社主催のイベントにも呼んでいます。
会社主催のイベントと聞くと勉強会などの大掛かりなものをイメージされるかもしれませんが、LAPRASが行なっているイベントは月に1回、自社オフィスでお酒を飲み、ピザなどをつまみながら、ただボードゲームを一緒に楽しむというシンプルなものです。
これなら、企画や準備の手間もたいしてかからず、継続的にイベントを開催することも負担になりません。目的はあくまで、その場でお話して好印象を持っていただくことなので、このようなイベントでも充分目的を果たすのです。
タレントプールの効果
タレントプールは様々な施策経由で流入してきた候補者に対する間接的な効果になるので、なかなか効果の計測が難しいですが、中長期的なスパンでの採用に確実に貢献しています。
ダイレクトリクルーティング経由の候補者では、2017年10月にスカウトメールを送った方にその後、KITを継続的におこない約1年後の2018年9月に入社しています。
また、リファラル経由の候補者ではネクストアクションが明確になるなどのメリットがでており、リファラルの3名採用への貢献もありました。
まとめ
このようにLAPRASでは転職潜在層向けのダイレクトリクルーティング、タレントプールといった施策を通じて、転職潜在層のエンジニアの採用を成功させています。
その中でも、転職潜在層を採用するメリットは以下の2点がとても大きいと考えています。
- 妥協せず、本当に欲しい人材の採用ができる
- 他社と選考で競合することが少ない
これは、ごく一部の転職活動中のエンジニアの採用を多くの企業が争っている転職顕在層をターゲットとした採用では、得がたいメリットです。
またLAPRASの採用の取り組みを踏まえると、転職潜在層のエンジニアを採用するためには、以下がとても重要になってきます。
- 潜在層向けにアプローチできるツールの導入
- ダイレクトリクルーティングの質と量の担保
- 今すぐでない層への継続的な接点構築とアトラクト(タレントプールの活用がおすすめ)
この記事をお読みになった方も、ぜひ転職潜在層の採用にトライしてみてください。
なお、LAPRASでは定期的に採用担当者向けイベントを開催しております。イベントでは、このようなLAPRASの採用ナレッジや他社の採用ナレッジを共有したり、他社の採用・人事担当者とのつながりを作る可能です。ご興味あれば、こちらのconnpassのページから、イベントをご確認ください。
また、LAPRAS SCOUTについてご興味あれば、こちらの採用担当者向けページをご確認ください。なお、ご質問等はお問合せフォームより、お気軽にお送りください。
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