求人広告だけではもう限界!?〜タレントプール運用のススメ〜

この記事をシェアする

はじめに

近年人手不足が深刻し、人材獲得の競争は熾烈なものとなっています。経済産業省が2018年6月に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、日本国内には約72万人のITエンジニアがいる一方で、約19万人ものエンジニアが不足しており、この差はますます拡大していくと言われています。

そんな中、どのように採用候補者にアプローチをし、採用すれば良いのでしょうか。そこで効果的なのがタレントプールを活用した採用手法です。タレントプールを活用することで、約49万人存在すると言われている転職潜在層に上手くアプローチでき、今まで出会うことのなかった人材も獲得できる可能性があります (転職潜在層についてより詳細に知りたい方はこちら:「エンジニア採用担当が知っておくべきマクロな採用環境の今とこれから」) 。

そこで今回は、タレントプールの運用方法を説明していきます。運用方法だけでなく、実際の効果についても触れているので、この記事をきっかけにぜひチャレンジしてみてください。

タレントプールとは何か

タレントプールとは、「自社の採用候補となり得る才能ある人材をストックしておけるデータベース」のことです。近年タレントプールを取り入れる企業は増えつつあり、LAPRASが実施した調査の結果、「すでにタレントプールを導入している企業」「導入したいと考えている企業」は合計で50%を超えていることがわかりました。

過去に採用活動を行っていく過程で、優秀だけれど空きポジションがなく惜しくも不合格になってしまった候補者や、転職時期が合わなかったという理由で選考に進まなかった候補者をリスト管理しておくことで、採用枠が空いたり、候補者が転職を考え始めたりしたタイミングで応募を促すことができます。

このように、中長期で入社してくれる候補者予備軍を常に確保しておくのがタレントプールを活用した採用手法です。

タレントプールのメリット

タレントプールを運用することで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つの主なメリットを紹介します。

① 採用コストの削減

タレントプールにストックしてある人材が採用候補者となるため、自社で採用ニーズが発生した場合に新たに求人媒体等で候補者を集める必要がなく、採用にかかる金銭的コストを削減することができます。また、人材をストックし中長期的な関係を維持しておけば、必要な時に人材に直接アプローチでき、“時間”という意味でもコストを削減できます。例えば、採用募集記事や求人サイトから候補者を募集する場合には、短くても数週間かかってしまいますが、人材をストックしておけば毎回ゼロベースで候補者を探す必要がなくなります。

このように、第三者を介せずに自社の要件に合った候補者にアプローチできるため、採用の費用や時間を削減することができます。

② 採用ミスマッチの減少

一度カルチャーやスキルを確認した上でタレントプールに入れることにより、自社の採用要件にマッチしていることを予め認識できているため、採用のミスマッチが生じにくくなります。
せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまったら元も子もないため、採用ミスマッチの解消は大きな課題です。

エン・ジャパン株式会社が2018年5月に公表した「「入社後のギャップと満足度」実態調査2018」によると、転職者の4人に1人は入社後にギャップを感じています。タレントプールを構築し、継続的なコミュニケーションを取ることで、自社のカルチャーをじっくり伝えたり、候補者も社員のクオリティを確かめたりできます。

③ 優秀な人材の獲得

特にベンチャー企業では、将来的に必要な優秀な人材でも、目下必要でない場合は採用するコストを払えないものです。しかし、タレントプールで繋がっておくことで、企業と候補者のタイミングが一致せず、採用に至らなかった場合でも会社のフェーズ等が変わったタイミングで再度アプローチできます。

こうすることで、優秀な人材を見逃す機会を失くし、獲得の機会を増やすことができるでしょう。

タレントプールの運用方法

次は実際の運用方法をステップ毎に紹介していきます。

① 人材をプールする

まずはタレントプールに人材をプールします。プールする人材を確保する方法は、自社の採用サイトやSNS、他にもイベントやリファラル等もあるでしょう。
また、タイミングが合わず採用を見送った候補者や内定辞退者もしっかりと管理し、それぞれに合った方法で積極的にアプローチし、繋がりを築いていきます。

② 継続的なコミュニケーション

ただ人材をプールするだけでなく、継続的なコミュニケーションを取ることが重要です。先程も述べたように、中長期的なコミュニケーションを取ることでお互いを理解し、関係を深めることができるでしょう。さらに、自社の採用情報や自社イベントの情報等をメールやSNSで定期的に発信し続けることで、アプローチ当初は自社に魅力を感じていなかった候補者も、興味を持ってくれるかもしれません。

LAPRASのKIT (Keep In Touch) 施策としては、毎月の最終金曜日に社外の人も交えたイベントを開催し、そのイベントに候補者を招待して関係構築を行っていました。 (詳細はこちら:「タレントプール採用の手法 #1 〜LAPRASのTGIF〜」)

③ リクルーティング

そして、候補者が自社に興味を持ったり、転職意欲が湧き出したりしたタイミングでリクルーティングに移ります。大切なのは、そのタイミングをきちんと把握すること。ただ一方的に情報を発信していても候補者の状況の変化には気づけません。LAPRASが2018年8月に行った「タレントプールの利用実態に関するアンケート調査」でも、タレントプール運用上の課題として、「リストに入っている候補者への適切なアプローチタイミングがわからない」が49.4%といったように、最も多い課題という結果になりました。SNSで定期的にコンタクトを取ったり、自社イベントに招待したりして近況を伺う方法もありますが、ツールも活用することでこういった課題を解決し、効果をより高めることができます。

例えば、『LAPRAS SCOUT』では、候補者の経歴情報やSNSのプロフィール変更などを基に候補者の転職可能性を分析し、転職可能性が高まったと判断されたらその根拠となる事柄と共にアラートで通知する「転職アラート機能」があるため、先述した課題を解決できます。

タレントプールの効果

タレントプールの運用方法はわかったものの、本当に効果があるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
当社では、2017年10月〜2018年10月の1年間で10名のエンジニアを採用し、そのうち8名はタレントプールを活用し、転職潜在層の時点から中長期的にアプローチして採用した人材です。

タレントプールには様々な施策経由で流入してきた候補者がいるため、効果計測が難しくはありますが、中長期的なスパンでの採用に確実に貢献しています。
また、転職潜在層よりも転職活動をアクティブに行っている転職顕在層の方が採用しやすいイメージがあるかとは思いますが、適切なアプローチをしていけば転職潜在層の採用も特別難しい点があるわけではありません
(当社の、タレントプールを活用した具体的な採用手法を知りたい方はこちら:「採用者の8割が転職潜在層!LAPRASのエンジニア採用手法と実績」) 。

まとめ

いかがでしたでしょうか。人材との繋がりを一度きりのものと考えずに継続していくのが、タレントプールの基本的な考え方です。候補者と継続的な関係を築き、ぜひお互いにとって有意義な採用活動を行ってみてください。
 


ダイレクトリクルーティングのノウハウを網羅したebookを公開中

ダイレクトリクルーティングをこれから始める方向けに、ダイレクトリクルーティングのノウハウを詰め込んだebookを公開しています。

ITエンジニア採用に特化して、他施策と比べたメリット/デメリットや具体的なノウハウ、ダイレクトリクルーティングが注目される背景をデータを交えて解説しています。

<コンテンツ一例>
・ダイレクトリクルーティングが注目される社会的背景
・他の施策と比べた「ダイレクトリクルーティングを導入するべき理由」
・理想の運用体制とは
・具体的なノウハウを解説
・ダイレクトリクルーティングのアンチパターン
etc.