LAPRASの労務に聞く!社員のコンディションケアのために、HR担当者ができること

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関東では例年より遅い梅雨入りが発表されたかと思えば、猛暑日が続くなど、全国的に天候が安定しない日が続いてきます。これから本格的な夏が到来し、社員の体調維持・コンディション維持が難しいシーズンに突入します。

そこで今回、LAPRASの労務担当メンバーに「社員のコンディションケア」をテーマに、LAPRASでの取り組み事例と、HR担当ができる「組織のコンディションを維持するための取り組み」について取材しました。

LAPRAS 労務責任者 竹内巌さん 他社で、労務・総務室長や「新しい世の中を見据えた働き方の導入」などを経験後、2021年5月LAPRASに入社。LAPRASでは、労務と社内のリモートに伴うコミュニケーションの円滑化を担当。一方で、社会保険労務士として事務所を開設しスタートアップ企業の支援なども行っている。

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※記事中に「LAPRAS SCOUT」の文言がある場合は「LAPRAS」と読み替えてください。

社員のコンディションケアについての考え方を教えてください

なぜ個人のコンディショニングケアに会社として取り組むべきなのかについては、会社毎にスタンスや目的が異なる部分もあるかと思います。LAPRASでは、各個人がパフォーマンスを出して働くことが、会社の成長に直結するため、個人のコンディショニングケアを重要視しています。

LAPRASの規模感ですと、各個人のコンディションが落ちてしまうとその皺寄せが別のメンバーに行くことでチーム全体のコンディションが落ちて会社の成長を鈍化させてしまいます。また、退職者が出てしまうと、会社の成長を後退させてしまうことにも繋がりかねません。

もちろん、「個人が幸せに働けるように」「気持ちよく働き続けてもらうため」という側面もありますが、会社の目指している方向性やカルチャーを踏まえた結果、LAPRASで重要視すべきなのは「成果に繋げるための、コンディションケア」だと思っています。

ーLAPRASのようにフルリモートだと、他のメンバーの様子等が見えづらくケアが難しい点があるのではないでしょうか?

そうですね。オフィスで顔を合わせていても、何か、いつもと調子が違うなと思って「なんかあった?大丈夫?」と人事や労務担当から聞かれると多くの人は「大丈夫です。元気です!」と答えてしまうと思います。ただ、オフィスで会っていれば回答の際の様子から「ちょっと浮かない顔をしている」「無理して回答していそう」等の非言語情報をキャッチすることができます。一方で、LAPRASはフルリモートを採用しているため、そのような情報のキャッチができず、心身の不調の発見が難しい側面があります。

また、リモートワークの特徴として「プライベートの悩みとコンディションは切り離せない」ということも難しい点です。「生活の場」と「職場」が同じ場所にあるため、例えば家庭の用事や家族の体調不良等が仕事でのパフォーマンスに影響しやすい状態であり、就業時間内のコンディションケアだけに狭めてしまっては、社員の抱える問題を解決することができません。

LAPRASでの実際の取り組み例を教えてください

まず前提として、LAPRASでは「時間や場所ではなく、パフォーマンスを重視する」ということを大事にしていて、組織ハンドブックでも明確にしています。そのため、最低労働時間がなく好きな時間に好きな場所で働くことができる制度を設けており、それを運用できるカルチャーがあります。

これは決して優しいだけの制度ではなく、時間ではなくパフォーマンスで測られると言うことなので、自分を律して一定のパフォーマンスを出し続けないといけないと言う点では厳しい制度でもあります。そのため、個人がパフォーマンスを出し続けられるよう、会社としても制度を整えてケアを続けています。

仕事に集中してもらうために、プライベートの問題を解決する福利厚生

これはリモートワークに限らずかもしれませんが、ご家族の病気であったり、家事の負担であったり、仕事以外の要素で精神・肉体的な疲労が積み重なると、仕事のパフォーマンスもそれに引っ張られて低下します。リモートワークの場合は、「オフィスに来たから一旦プライベートのことは忘れて集中しよう」という切り替えがない分、プライベートの問題が仕事に及ぼす影響がより大きいと感じています。

そのため、LAPRASでは「プライベートの問題を解決する」ための福利厚生を導入しています。

例えば、健康で美味しいものを手軽に食べられる食事の宅配サービス、家事時間を節約できる家電のレンタルサービスや家事代行サービス、気分転換に外で仕事ができるシェアオフィスの利用サービス等を、割り振られたポイント内で自分が好きなサービスを選び、自由に利用することができます。

特に家電のレンタルサービスが社内で人気があり、ホットクックや洗濯機等の生活家電を借りて家事時間を節約したり、睡眠環境を整えたり、お子さんの運動会に備えてちょっと良いカメラを借りて家族行事に備えたり、色々な用途で社員のプライベートの悩みを解決してくれています。80%の社員がこの家電のレンタルサービスを使っています。

過去の会社で福利厚生制度やシステムを入れた際に、特定の人にしか利用されなかったという経験があり、LAPRASでは「自分が必要としているもの」を選べるような制度を作りました。全員が喜んでくれる制度を考えた結果、社員からのニーズに応えてChoirasで選べるサービスは増え続けています。プライベートの問題が解決され、円滑に回ることや、プライベートが充実することで、自然と仕事のパフォーマンスも上がってくると思います。

コンディションの不調をすぐに検知するための仕組みづくり

LAPRASではコンディションの不調を検知するため、月に1度全社員を対象に「フィジカル・メンタルチェック」を実施しています。こちらの結果を社内の「衛生の守り手」という役割のメンバーで確認し、過去との比較やこれまでの遷移をみて、場合によっては1on1等で本人に話を聞きに行くこともあります。

メンバー毎の悩みはそれぞれで、衛生の守り手で解決できるものばかりではないため、本人の了承の上でHRや経営メンバーにも回答を共有しています。毎月聞くことで、社員にとっても自分の今の状態を振り返る機会になっているかと思います。

一方で、この方法だと直前にあったイベントに結果が左右されてしまうため、今後もう少し頻度を増やす等の改善は必要だと思っています。また、今は回答した後に自分自身で振り返る機会はないため、今後はセルフマネジメントの役に立つよう、過去の自分の回答の推移を社員が見ることができる等の取り組みもしていきたいです。

また、フィジカルメンタルチェックは社内での悩みの共有ですが、どうしても社内では話しづらい話や他のメンバーの時間をとってしまう遠慮もあるため、Smart相談室という外部サービスを導入しています。

相談を受ける側としても、自分に相談されても適切に対処できない問題を、専門家に相談してもらえるので、負担が軽くなりました。特にスタートアップでみんなが忙しいと「なんかモヤモヤするけど、まだ言語化できないので、忙しいメンバーの時間を拘束するのも申し訳ないし相談しづらい…」という状態を抱えがちなので、外部サービスを利用することによりその状態を気軽に解消できるのが良い点だと思っています。モヤモヤしたものが積み重なって、自己認知できる「ネガティブ」となる前に対処するのが、コンディショニングのケアの大事な点ですので。

弱音を吐き出しやすい雰囲気づくり

LAPRASではSlack内に「#time-XX」という各メンバーが自由に気持ちを吐き出せるチャンネルがあり、そのチャンネルで「今日は体調が悪い」「疲れ気味である」等の弱音を吐き出しやすい雰囲気ができていると思います。そのような投稿に社員から「休みたまえ」「お疲れ」「無理せず」などのスタンプがつき、弱音が受け入れられるのも、良い文化だと思います。「個人としてパフォーマンスを出すために、休むべき時は休む」という雰囲気作りは大事にしています。

労務としては「会社のために頑張れ」というメッセージではなく、「個人の人生を優先して考えていいよ」というメッセージングも大事にしています。フルリモートで孤独を感じやすく、パフォーマンスで評価される分、オンライン上で弱音を吐ける関係性や雰囲気作りを重視しています。

一方で、今後組織の人数が増えていく際に今の「労務」だけでメンバーのちょっとした変化を察知し、フォローしケアに繋げていく動きは限界がくるとも思っています。とはいえ、マネージャー層にそのような関係性・雰囲気作りまでを担ってもらうのは大変なので、組織が複雑化した場合に、どうやって会社として不調をキャッチして、労務にエスカレーションして対処していくかは、今後また仕組みを作り直すタイミングがくると思っています。

HR担当者が、社員のコンディションケアに取り組む際に押さえておくべきポイントはありますか?

小さなモヤモヤの段階で解決する

人がコンディショニングを崩す際には、前兆として必ず小さな、漠然とした、なんだかモヤモヤする気持ちがあると思います。それが積み重なることで、大きなコンディション不調になったり、休職や退職に繋がったりする可能性が高くなります。そのため、その”モヤモヤ”を検知して、解消することが重要です。

具体的には、モヤモヤの段階で吐き出せるようなアンケート等の仕組みや、雰囲気作りが必要です。また、小さなモヤモヤを抱いている人を見逃さない、個人としてのスキルの習得も必要になるかと思います。スキルの習得については時間がかかりますが、まずは注意深く社員を観察して、いつもと違う点等に敏感になろうとするところから、始めてみてはいかがでしょうか。

例えば、いつも綺麗な服を着てきている人がくしゃくしゃの服を着ていたり、最近遅刻が目立つ人がいたり、そういった「らしくない」行動等の裏には小さなモヤモヤがあるかもしれません。間違い探しのような気持ちで、観察してみると、意外と大事なポイントに気づくことがあります。

これから重要になるのは「予防」

HR担当として社員のコンディションの問題を解決する事はもちろん大切です。しかし、起きた事象一つ一つに対応していても、組織全体から見たら対処療法でしかなく、いつしか自分が疲弊してしまっているという事が起きかねません。そこで、今後大切になってくるのが「予防」という観点です。

人は自分のコンディション不調に鈍感です。特にメンタル面になると尚更です。そこで、自身の不調に早い段階で気づけるように、そして、気づいたら直ぐ行動にうつせるように、研修などを通して「セルフケア」の手法を社員に学んでもらうことが大切です。そうすることで、社員の間で「最近調子悪そうだけどHRに相談してみたら?」というコミュニケーションが増えることを目指すと良いと思います。

HR担当者だけで解決しようとしない

個人の抱えているモヤモヤが、HR担当だけで解決できることはほとんどありません。稀に「話を聞いてもらうことでスッキリした」と解決する場合もありますが、多くの場合はその裏に組織的な課題が隠れており、マネジメント層や経営層とHRの連携が重要であることを忘れないようにしたいものです。

また、窓口として色々な社員の悩みを聞くことで、自分のメンタルが引っ張られないよう、社内のリソースや外部サービス等をうまく活用するのも手かと思います。LAPRASでも「衛生の守り手」の役割は労務担当だけでなく、話を聞くのが上手なエンジニア等の他のメンバーにも担ってもらっていますし、外部サービスも活用しています。

HR担当だけで全てを解決しようとせず、他のメンバーにも支援を頼み、マネジメント層を巻き込みながら進めましょう。HR担当者も一人の人間です。特に1人HR担当の場合、社員のコンディションケアについての内容は外に相談できる内容でもなく、自分で抱えてしまい、HR担当者のコンディションが下がってしまうこともあります。そのため、HR担当者自身が相談できる場所を見つけておくのも社員のコンディショニングケアにおいて大切な事だと思います。

ー本日はありがとうございました!


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