中途採用社員のための新入社員オンボーディング設計・改善の5つのヒント

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新たな事業年度が始まるタイミングで、新入社員を迎えている人事の方も多いのではないでしょうか。採用したメンバーに早期に活躍してもらうために必要なのが、新入社員オンボーディング(受け入れ研修)ですが、他社のノウハウは意外と知る機会が少ないものです。そこで今回は、LAPRASの中途採用メンバーの新入社員研修の担当者に、オンボーディングを改善するための視点を聞いてきました。

オンボーディングを担当されている方や、これから受け入れの準備をされる方のご参考になると幸いです。


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中途採用社員のためのオンボーディング設計のヒント

中途採用の場合、ある程度スキル等がある方を採用するため、新卒社員のオンボーディングに比べて、どうしても「仕事の引き継ぎをしながら」「適宜分からないことがあれば聞いてほしい」といった、現場中心の立ち上げになりがちです。

しかし、いくらスキルのある中途社員でも、自社で働くのは初めてで、足りない情報はたくさんあります。そのため、できるだけ最初の時期に必要な情報を満遍なくお渡しできるよう、LAPRASでは最初の1週間を”集中講義期間”とし、業務に優先していろいろな研修を受けてもらっています。その後、現場配属後も1ヶ月ごとにフォローを実施する等して、新入社員の早期の立ち上げを目指しています。

とはいえ、急に「オンボーディングを設計する」と言われても、どこから着手するべきかは非常に難しいものです。そこで、今回はオンボーディングを設計し、改善をしていく中で気をつけている視点をいくつかご紹介させていただきます。

入社後の社員から「あの時欲しかった情報」を集める

オンボーディング設計にしても、改善にしても、実際に入社して立ち上がった社員から情報を集めることは非常に重要です。「この情報があって良かった」「もう少し早く知りたかった」「情報が足りなくて困った」「正直、今でもよく分かっていない」等の声が集まることで次の新入社員の受け入れに向けて、オンボーディングを改善していくことができるようになります。

誰しも最初は新入社員なのですが、社内で慣れてくると、当時の気持ちや感覚を忘れてしまいます。そのため、すでに手触りのないメンバーで推測して作るのではなく、今まさに立ちあがろうとしている新入社員の「生の声」からオンボーディングを設計・改善した方が、研修と現場の乖離を起こさずにすみます。

LAPRASでは、入社して1ヶ月は毎週、その後は2週間に1度、新入社員にアンケートを実施することで、情報の過不足を洗い出し、次の月の新入社員には前の担当者が感じた負を改善した状態で提供できるようにしています。そのようなサイクルを2年以上ずっと回してきたことで、入社した新入社員から「ベンチャーとは思えない」「立ち上がりやすいような支援が充実している」といった感想をいただくことが増えてきました。

最初は、自分が作ってみたプログラムや研修に対して毎回フィードバックされることになり、担当者としては少し心が痛むのですが、リアルな声を元に改善を繰り返していくことで「求められていない研修で余分な時間を奪う」ことや「情報のない中で現場にいきなり出ることで、パフォーマンスが出ずに、離職してしまう」リスクも抑えることができます。また、ある程度改善が進んでくると「思ったより丁寧だった」「助かった」等の声も届くので、それをモチベーションにしていました。

“ウェルカム感を出す”施策から手をつける

足りない情報がわかっても、そこに対して研修を作り、社内で講師ができる人をアサインし…と手順を踏むことを考えると、すぐに全ての情報不足に対してケアができない場合もあります。そのような時は、新入社員にが歓迎されていると感じられる”ウェルカム感”のあるイベントや施策から手をつけていました。

新たな組織で働く際に「自分が組織に受け入れられている、歓迎されているという」意識を得てもらえることで、その後の立ち上がりにプラスに働くことが多いです。特に最初は業務に馴染むためとはいえ、色々なメンバーから「教えてもらう」「指導してもらう」立場になるので、そこで「馴染めなかったらどうしよう」「能力が低いと思われてたらどうしよう」といった悩みを新入社員は抱えてしまいがちです。そこに対して感情面のケアをすることで、より社内で質問しやすくなったり、小さな失敗を恐れずにチャレンジしやすくなったりすることを狙っています。

LAPRASでは「入社式」という形で、入社初日に全社員で10分だけ集まり、新入社員への歓迎会を実施しています。そこでは、会社の紹介も兼ねたWelcome Movieを流したり、社長からの歓迎の言葉を伝えてもらったりして”ウェルカム感”を演出しています。

また、入社前にもWelcome BOXという形で、会社のパーカーや備品などを入れたBOXをご自宅にお送りしています。BOX自体がデザインされており、メンバーからの熱いメッセージや、おすすめの書籍等が入っているため、そのBOXを受け取ることで、入社前から”ウェルカム感”を感じることができます。

他にも、あらかじめ社員に呼びかけて、新入社員の投稿にはたくさんのSlackのリアクション絵文字をつけるようにする、MTG等で会った際には声をかける等、小さな工夫で”ウェルカム感”を伝えることができます。

立ち上がりに必要な情報の全体像を把握する

新入社員のリクエストに応じて必要な研修を考える際には、1つ1つのリクエストへの答えにこだわりすぎず、オンボーディング期間全体の情報の全体像についても考えることも重要かと思います。新入社員がパフォーマンスを発揮するために最終的に必要な情報をまずは洗い出して、それをどういう順番で配置していくか、優先度をどうするか等についても考えながら進めています。

同じ内容でも、順番によっては学ぶ側の負担が変わりますし、事前情報が足りないと研修を受けたことでかえって混乱を生むこともあります。新入社員が気になる情報や、社内で仕事をする際の土台になる情報を先に伝えた後に、発展的な内容や少し細かいルール等を伝えた方が、よりインプットする側も楽にインプットできるということが改善を続けるうちに分かってきました。全体像を把握することで、抜けている情報や重複している情報にも気づきやすいので、おすすめです。

また、運営する側だけでなく、研修を受ける新入社員側も、最初に全体像を示されないと「不明点をいつ質問すべきか」が難しくなります。「この後の研修で聞けるなら今は質問しなくて良いが、もし聞けないから情報が足りないから聞いておきたい」という、少し不安な状態で研修を進めることで、最初から非常に細かい質問を繰り返してしまったり、逆に理解できていないのにスルーしてしまったりといったことが発生しやすくなります。

そのため、運営する側で全体像を把握・設計しつつ、最初に新入社員にも全体像を説明することで、お互いに安心して研修期間をスタートすることができます。ぜひ挑戦してみてください。

情報に再度アクセスできる環境を整える

新入社員は入社した日から色々な情報を一挙に与えられます。例えば、組織に関する情報や組織のルールに関する情報、事業に関する情報等です。当然、それらの情報をすべて研修で理解し切るのは難しく、後になって見返したり復習したりして、自分自身に定着させていく必要があります。

そのため、研修で使用した情報や入社後すぐに必要な情報に、再度アクセスできるような環境を整えておくことも重要です。情報が集まっていることで、新入社員がすぐに調べて見返すことができますし、研修中もメモを取ることより内容を聞くことに集中できます。

実際にどのような情報がまとまっていると便利なのかについては、プログラムの設計同様アンケート等を回収して、実際の新入社員に聞きながら進めると良いかと思います。研修の担当がそれぞれ異なる場合でも、資料のLink集だけでもどこかにまとめておくと、すぐに新入社員に渡すことができます。

LAPRASでは、入社して最初の日にオンボーディングの全体像をお伝えする際に、資料集としてLink等をまとめてお渡ししています。先に手元で資料をざっと見てから研修を受けたいという声を受けて、このようなスタイルにしています。最初に整えるのは大変ですが、資料へのアクセス環境が整うだけでも新入社員の研修に対する理解度は深まるので、ぜひチャレンジしてみてください。

オンボーディングの”ゴール”を祝う

研修等の企画を終えたら、最後にオンボーディングの「ゴール」を決めることも重要です。ゴールは「この期間が過ぎたら」「この条件を満たしたら」等、自社として「新入社員」として扱う必要がなくなるラインを基準に考えると良いかと思います。

新入社員と既存社員のゴールのイメージがズレてしまうと、新入社員は会社から提示された研修をこなしているのに、既存社員が「まだ独り立ちしないの?」と評価がすれ違ってしまう恐れもあります。また、多くの場合新入社員の方は「早く結果を出さないと!」といった焦りを抱えており、そのような中で研修ばかりが続くことで「本当に研修ばかり受けていて、自分の実力が評価されるのか」とさらに焦ってしまうような場合もあります。そのため、ゴールを設定した上で新入社員と受け入れる既存社員の間での「期待値」をしっかりと合わせることは重要です。

また、ゴールに辿り着くと、そこから先はもう「新入社員」としてのケアが受け入れられない期間となり、研修期間が終わることに対する不安を抱える方もいます。そこで、LAPRASではゴールを設定した上で、ぜひゴールに辿り着いたことに対して、みんなで祝うことで、本人の背中を最後に押す雰囲気を作っています。具体的には、全社に対してSlackで卒業を宣言することで、みんなで節目をお祝いしています。

入社してしばらく経つと、会社に馴染むあまり当初感じていた”ウェルカム感”を感じにくくなるため、最後の節目でもう一度盛り上げることで、自分が期待されている価値を発揮するフェーズに気持ちよく移れるようにしています。

おわりに

新入社員のボーディング設計・改善についての視点を記事にしましたが特に中途社員の場合、これまでのバックグラウンドの違いやポジションの違いなどもあり、非常に設計が難しいと思います。一方で、せっかく採用したメンバーを早期に戦力化することは、人事採用担当にとっての1つの大事な仕事でもあります。

採用するだけではなく、その後の立ち上げまでを しっかりとフォローすることでより採用した方の活躍の幅を広げることができます。この記事がオンボーディング設計の参考になると幸いです。


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