エンジニア採用において、スカウトメールは非常に重要な立ち位置を占めています。自社にとって魅力的なエンジニアがいた場合、記載されている経歴や希望条件と自社の求人内容が少し違っていても、スカウトを送ってみたくなるかもしれません。一方で、マッチしてないスカウトメールを送信することで、かえって企業に対してネガティブなイメージを抱かれることもあり、どのようなスカウトであれば送って良いのかについては、採用担当者のバランス感覚が求められます。
そこで今回、ITエンジニアに特化したダイレクトリクルーティングサービス「LAPRAS SCOUT」を通じて、直近1年以内に5件以上のスカウトを受けたユーザー約100名を対象に実施したアンケート調査をもとに、エンジニアがスカウトメールに対してネガティブな反応をする可能性が高い場面について、ご紹介しようと思います。
嫌われる可能性の高いスカウトメールの内容や注意点を知ることで、スカウトメールの送信の参考にしていただけると幸いです。
目次
スカウトメールのネガティブパターン6選
「やりたいこと」との関連性がない
アンケートでは、64%のユーザーが、「やりたいこと」との関連性がないスカウトに対して「送らないでほしい」を選択しています。エンジニアにとっての転職は、自身の市場価値を高め、業界で生き残るための戦略でもあり、どのような職種、役職、プロジェクトに関わっていくかの選択は非常に重要です。
これまでのキャリアを活かしながら今後のキャリアを構築していくために、エンジニアは“転職先でやりたいこと”を考え抜いて自身のプロフィールに記載しています。その点を理解せず、関連のないスカウトを送ってしまえば、「プロフィールを読まずに送っているのではないか?」「エンジニア個人の志向を考慮しない会社なのではないか?」等と誠意を感じられない・ネガティブな印象を与えてしまう恐れがあります。
現時点では直接的な関連性のない求人内容の場合は、いずれ希望している業務に繋がる可能性を示唆するなど、キャリアプランを考慮した文面を意識しましょう。また、アウトプットや過去の業務内容に触れる等の方法で、プロフィールを確認して送っていることが伝わるよう工夫しましょう。
転職への温度感が合っていない
先方が転職したいと考えているタイミングに合わせて毎回スカウトメールを送れるとは限らないため、転職に対する温度感が合わない場合もあります。しかし、転職を考えていなくても、魅力的なスカウトメールが届けば興味を持つケースもあるので、タイミングが全てではありません。
つまり、転職意欲が高くない時期に送られてくること自体が問題なのではなく、相手の状況に寄り添っていない一方的なスカウトメールを送ることが問題なのです。
「LAPRAS SCOUT」では転職意欲を「高・中・なし」の3段階で表示できますが、それを考慮せずに送られるスカウトメールにネガティブな印象を抱くエンジニアもいます。とくに「高」にしていないのに転職活動中である前提で送られてくる文面に対しては、アンケートでも約半数が「送らないでほしい」を選択しています。
せっかくエンジニアが入力している情報を読まずにスカウトメールを送ってしまうと、相手の都合を考慮せず自社主導で話を進める会社だと思われてしまうかもしれません。
プロフィールから読み取れる情報はしっかりと把握した上で、それぞれの転職意欲に沿った文面を心がけましょう。
求人に関する詳細が記載されていない
どんなプロジェクトの、どんなポジションに関する求人なのか記載がなければ、興味の持ちようがありません。なぜ自分がスカウトされたのか、どの部分が評価されたのかわからないため、誰でもいいからエンジニアがほしい会社という印象を与えてしまいます。
ユーザーアンケートでも、求人内容やポジションの詳細について記載がないスカウトメールに対して、70%が「送らないでほしい」を選択しています。
求人の詳細を明記するのは大前提ですが、スカウト時点ではプロジェクトの全容が見えず、どのポジションを募集するか決まっていない場合などは、事業全体や現在進行中のプロジェクト、求めているエンジニア像について詳細に説明しましょう。
できる限り自社の情報を共有し、スカウトした理由を明確にできれば、興味を持ってもらえるかもしれません。
年収上限が希望以下、曖昧な表現をしている
スキルが正当に評価された年収は、働く上でのモチベーションに直結します。エンジニアは転職によってスキルと年収をアップさせていくケースも多く、希望年収のクリアを転職の最低条件にしている方も少なくありません。
スカウトメールで提示した年収が希望額以下だった場合、エンジニアの希望を軽視して、スキルや経歴などの自社に必要な部分しか見ていないと感じさせてしまいます。
年収の上限が希望年収より低いケースに加え、年収に関する記載がないスカウトメールにも約70%が「送らないでほしい」を選択しています。隠す意図がなかったとしても誠意が感じられず、面談後に年収額を提示すると伝えれば、値踏みをされているようで不快にさせてしまいます。
年収はスカウト時に明記すること、希望年収以下の場合はスカウトしないことが前提です。希望年収は出せないものの、自社にとって非常に魅力的なエンジニアに話だけでも聞いてほしい場合は、正直に条件を明示した上で、その方のキャリアやスキルが自社の成長に必要不可欠だと真摯に伝えましょう。
希望の働き方と合っていない
フルリモート、週5出社、またはハイブリッドなど、さまざまな選択肢がある昨今において、働き方にこだわりを持っているエンジニアは少なくありません。
説明や配慮もなく希望に合っていない働き方を提示すれば、ネガティブな印象を抱かれる可能性は必然的に高くなります。
希望する働き方が提示できないがどうしてもスカウトを送信したい場合は、自社の考えやカルチャーをきちんと説明し、納得できる理由をスカウトメールに提示してください。
可能であれば一部リモートや一部出社といった柔軟な働き方について譲歩するなど、自社のルールを押し付けるだけでなく、歩み寄る姿勢も重要です。
職種が希望したものではない
プロフィールに記載している現職や、希望する職種に関連しないスカウトメールを送ると、相手にはスカウトされた理由がわからず「プロフィールを読まずに適当に送ったのでは?」不信感を持たれてしまいます。
なぜ現職や希望職種と違うのに求人を送ったのか、なぜ「あなたをスカウトしたのか」を理解してもらうために、これまでのキャリアとスキルを評価してのスカウトであること、現在会社が抱えている課題や、活躍を期待する具体的な業務内容について明記しましょう。
まとめ
年収アップやスキルアップ、ワークライフバランスの充実など、エンジニアが転職を考える理由はさまざまです。一人ひとりの状況や希望条件に寄り添い、過不足なく自社の情報を伝えることができれば、エンジニアに嫌われる可能性は下がり、返信率はアップします。
一人一人のプロフィールを確認し、寄り添ったメールを送る。当然のことのようですが、丁寧に対応するのは案外難しいものです。本記事を、貴社のエンジニア採用にお役立ていただけますと幸いです。
また、エンジニアに寄り添ったスカウトを作成したいが、社内ではなかなか難しい…という方のために、LAPRA SCOUTではスカウト代行のオプションもご用意しております。エンジニアに嫌われないスカウトを送りたい方、採用負荷を減らしながらハイスキルエンジニアの採用に繋げたい方は、お気軽にご相談ください!
(ライター:成澤綾子)