採用活動というと「人事・採用部門の仕事」というイメージを抱いている人も多いことでしょう。しかし、ことエンジニア採用界隈に関しては「社内のエンジニアの方が採用活動に協力する」というケースは決して珍しいことではありません。この記事ではそうした「エンジニアが関わる採用」について、LAPRAS SCOUTのいくつかの事例をもとに2つのパターンに分けて解説していきます。エンジニアの方を巻き込んだ採用活動を行いたい担当者は、ぜひ参考にしてください。
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目次
1 「エンジニアの方々が採用活動に協力する企業」がなぜ増えているのか?
そもそも、なぜ「エンジニアの方が採用に協力する企業」が増えているのでしょうか。理由は「従来業界で主流だったリファラル採用から、ダイレクトリクルーティングを重視する企業が増えてきたため」です。
1.1 ITエンジニア業界で一般的な採用の手法
ITエンジニア業界における主な採用の手法としては、以下の4つが挙げられます。
- 求人掲載:求人ポータルに求人情報を掲載する。
- 採用エージェント:人材紹介業者に依頼して条件を満たす候補者とマッチング。
- リファラル採用:社内にいる別のエンジニアから知り合いを紹介してもらう。
- ダイレクトリクルーティング:候補者プールを作り、個別にスカウトを送る。
求人掲載は企業のブランドや求人の魅力で「多人数へアプローチする」のに向いている方法です。大企業など組織の規模が大きい場合に適したやり方です。
採用エージェントは求人掲載と比べ、エージェントが間に入り採用を推進してくれるのが良い点です。企業側で求める人物像が定まっていると良いのですが、ことエンジニア採用においては間に立つエージェントがエンジニアのスキルについて詳しくないとアンマッチが発生しやすいのが難点です。
そのためスキルのアンマッチを避けるためにも、特に「スタートアップ企業」ではリファラル採用に重きを置くことも多いです。
2 ダイレクトリクルーティングにエンジニアが協力するメリット
しかし、事業規模が拡大してくるとリファラル採用だけでは人材確保が追いつかなくなってしまいます。そこで注目されたのが「ダイレクトリクルーティング」という手法です。
ダイレクトリクルーティングでは、候補者になりえる人物をあつめ、候補者へ直接連絡できるよう情報をプールする必要があります。その際は、候補者のSNSや連絡先はもちろん、技術スタック、過去のアウトプットや技術趣向、パーソナルな情報(将来のビジョン、キャリアプラン、自社の理念に共感してくれるかなど)を知り、多角的に候補者と自社とのマッチ度を測る必要があります。
これを人事部門だけの力で行うのは困難です。特に技術スタックや過去のアウトプットは専門知識を持つエンジニアの方でなければ評価しにくいです。そのため「採用活動に社内のエンジニアさんが協力する」という流れが生まれることになりました。
3 ITエンジニアが採用活動に協力する2つのパターン
エンジニアの方に採用活動へ協力してもらう方法、主に以下の2つのパターンに大別されます。実際に過去の記事で取り上げてきたLAPRAS SCOUTユーザー企業の取り組みを具体例としてご紹介しましょう。概要を見て興味を惹かれた場合は、リンクから過去記事をご参照ください。
3.1 社内のエンジニアの方、一部が採用活動に協力するパターン
「エンジニア部門のマネージャー層」「エンジニア部門の中の一部メンバーのみ」など、社内でも特定のエンジニアだけが採用活動に協力するパターンです。
AIを活用した情報収集・市場調査サービスを展開するストックマークさんでは、エンジニアリング各部門のマネージャーが求人要件の整理やスカウトメールの作成に協力する体制を敷いています。
ダイレクトリクルーティング関連のサービスを提供するi-plugさんでは、人事採用担当とエンジニア組織の開発マネージャーがタッグを組む体制で採用に取り組んでいます。候補者プールへのピックアップは2人で行い、候補者個別の精査は開発マネージャーが担当する、という流れです。
企業向け研修やeラーニングなどの事業を展開するグロービズさんは、人事部のリーダーとVPoEが協力し、定期的に社内エンジニアに候補者探しを手伝ってもらう体制を作っています。
ヘルスケア領域の開発支援を手がけるispecさんでは、CTO、VPoEが中心となって採用部署からの要望を取りまとめ、候補者の選定条件を絞り込んでいます。実際の採用フローは採用部署のエンジニアや採用担当が担当しています。
AI・データサイエンスによるDX推進を営むJDSCさんは、VPoEが主導して一部エンジニの方々に採用活動に従事する時間を設け、カジュアル面談など初期段階まで一貫してエンジニアの方々に対応を任せる方法を採用しています。
3.2 社内のエンジニアの方々全員が採用活動に協力するパターン
社内のエンジニア全員が業務の一部として採用活動に協力するパターンです。
建築業などノンデスクワークのDX支援を営むアルダグラムさんでは、エンジニア全員が何らかの採用媒体を担当・週1で定例MTGを行い採用活動に取り組む体制を築いています。
経営管理クラウドの開発・提供を行うログラスさんは、CTOが毎朝採用活動のための時間を確保しているほか、週に1度正社員エンジニア全員が採用に取り組む時間を設けています。
オンライン医療関連サービスを提供するドクターメイトさんでは、プロダクト開発グループが候補者プールへの追加を担当しています。加えて、コーポレートデザイングループがスカウトメール作成など候補者へのアプローチを受け持つ役割分担になっています。
登山アウトドア向けWebサービス・アプリを提供するヤマップさんは、配属先のチームリーダーが中心となって候補者プールへのピックアップを行っています。カジュアル面談はCTOが担当。技術課題は配属先のチーム全員でレビューするなどの役割分担で採用活動に取り組んでいます。
4 エンジニアの方に採用活動へ協力してもらう体制づくりのポイント
先にご紹介してきた企業の例を参考に「エンジニアの方が採用活動に協力する体制」を作るためのポイントをご紹介します。
4.1 採用活動は自分ごと、全社的な課題であるという意識を関係者全員が持つ
エンジニアの方の一部が協力するパターンでも、全員が協力するパターンでも、採用活動に関わるエンジニアさん自身が採用活動を「自分事である」「全社的な課題である」という意識を持って取り組むほうがうまくいきます。
たとえば、グロービズさんでは採用は事業拡大のため「採用したい部門の仕事」と捉えています。また、JDSCさんでは採用活動は「人事の手伝い」ではなく「一緒に働く仲間探し」と表現しています。
4.2 一定頻度で採用活動のためのMTGを行い目線合わせをする
週1回程度の頻度で、エンジニア、採用担当・マネージャー層など採用活動に関わる全員が参加するMTGを開き、採用活動の基準や目線合わせをするのも有効です。
アルダグラムさんやグロービズさん、ispecさんは一定頻度で採用活動の定例MTGを行っています。ログラスさんやJDSCさんが、候補者チェックやスカウトメール送信など、特定の採用アクションを関係者全員が行う機会を設けている例も参考になると思います。
4.3 候補者プールの作成にエンジニアが関与する
ダイレクトリクルーティングでは、採用候補者を集めた候補者プールの作成が必要になります。この候補者プールの作成にエンジニアさんに参加してもらいましょう。候補者プールへの追加は技術スタックが基準になるケースが多いため、それを評価できるエンジニアの方の目線が必要なためです。
実際、先に取り上げた企業のほとんどでは候補者プールへのピックアップにエンジニアの方が関与しています。
4.4 採用フローを定義し部門別の役割を明確にする
ダイレクトリクルーティングをより良く進めていくためには、採用フローを全社的に定義し、その流れに沿ってエンジニア・採用担当・マネージャー層がどの領域でどんな役割を果たすべきか明確にしておくとスムーズです。
採用フローの例については次の章で詳しく説明します。
5 エンジニアの方に採用活動に協力してもらう場合の採用フロー例
これまでに紹介した事例をベースに、エンジニアの方に採用活動に協力してもらう場合によくある「採用フローの例」をご紹介します。
5.1 候補者プールの作成・新しい候補者の追加
最初にやることは、候補者プールの作成と新しい候補者の追加です。採用へ参加するエンジニアさんが気になる人材をピックアップし、技術スタックなどをベースに候補者プールに追加、というのが一般的な流れです。
自社でダイレクトリクルーティングをする場合は候補者の情報を自分たちで集める必要があります。SNSの情報であればGithub、Qiita、connpassを始め、Twitter、noteなどを候補者が利用しているプラットフォームを調べなくてはならないですし、それ以外の場合だと自社でITエンジニア向けイベントを開催して連絡先を伺い、候補者リストとしてプールするなどあります。
ちなみにLAPRAS SCOUTを使えば、そうした候補者集めの大変な部分も簡単にでき、また多くのSNSやブログの情報を一元的にチェックできるため、効率よく多角的な視点から候補者を集める事ができます。
5.2 定例MTGでアプローチ対象者を絞り込み
採用活動の関係者全員でMTGを開き、候補者プールの中からアプローチ対象者を絞り込みます。エンジニア、採用担当、マネージャー層で十分に議論して対象者を吟味する必要があります
5.3 スカウトを行う
候補者をピックアップして、アプローチの方針を固めたらスカウトを実施しましょう。スカウトはエンジニアの方の状況に合わせた、個別のアプローチが非常に重要です。転職を強く希望している場合は、自社の魅力とその方の今後こうしていきたい、というキャリアの方向性に合わせたスカウト文面を書くことが重要です。また、転職を考えていない「潜在期」のエンジニアの方の場合、最初から自社への転職を前提とした文面を送ると抵抗感があることも少なくないため、可能であればできるだけ気軽なスカウトのほうがよく状況を伺いのメールであったり、カジュアル面談の誘いなどまずは軽めの接触を始めるほうがいいでしょう。
5.4 カジュアル面談を行う
対象者から反応があった場合、転職顕在層も転職潜在層であってもいきなり採用面談ではなく、まずはカジュアル面談を行いましょう。本格的な面談の前に「今までどのようなことに取り組んできたか」「候補者の方がどういうキャリア志向があるか」「自社のカルチャーとマッチするか」を確認して相手のことをまず知ろう!ということがポイントです。そのポイントに合わせて自社の魅力もアピールすることでミスマッチのないマッチングが実現することができます。
5.5 技術面談、役員面談を行う
カジュアル面談を経て双方のマッチングのイメージが湧いたら、候補者の方の希望に応じて技術面談、役員面談を経て採用に至ります。特にハイスキルなエンジニアの方の場合、自社が現時点で求めるスキルと今後必要になる可能性があるスキルと、候補者本人の「できること」「これからやりたいこと」がマッチしているかをチェックし、ミスマッチを回避することがポイントです。
例えばヤマップさんの場合、技術面談に前後して簡単な技術課題があるのですが、これは技術力の確認というよりも、課題のやり取りを通じてコミュニケーションに問題がないかを確かめる、という意図で技術課題を設定する場合もあります。
6 おわりに
LAPRAS SCOUTの事例などを振り返ってみても、「事業拡大に伴うITエンジニアのダイレクトリクルーティングの本格化」には、社内エンジニアの方の採用活動への協力が重要です。また、とはいえエンジニアの方に採用へフルコミットしてもらうのは非常にハードルが高いので全社的な協力体制が難しい場合は、一部のエンジニアの方に協力してもらうところからスタートという場合もありました。
今回の事例を参考に、ITエンジニアのダイレクトリクルーティングを社内のエンジニアの方々と一緒に試してみましょう!
LAPRAS SCOUTはエンジニアの方と協業しながらダイレクトリクルーティングができるツールなため、今回の事例ではそれが中心のご紹介ではありますが、現在はLAPRAS社員が現役ITエンジニアとスカウト業務を代行する「LAPRAS SCOUT Pro」というサービスもあります。なかなか自社でエンジニアの方と協業しながら採用を進められない場合は、ぜひこちらの代行サービスも覗いてみてください!
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